はっぴいえんど『風街ろまん』
昔、誰かにカセットテープにダビングしてもらって聴きまくった時期があって、そのカセットがいつの間にかどこかへいってしまった。そうこうしているうちにジャズにのめり込み、「はっぴいえんど」なんぞ、すっかり忘れてしまっていた。
が、今から6〜7年前だろうか。テレビを観ていて、東レグループのコマーシャルで、「風をあつめて」を女性が力強く唄うシーンがあって、これを聴いて、「あっ、この曲どっかで聴いたことがある」。そのCMとは『東レグループCM「駈けぬける風」篇』で、使用された曲は、玲葉奈(れよな)の『風をあつめて』。
カセットで聴いていたという記憶だけで、誰の曲か暫く判らなかったが、70年代の日本のロックに関する本を読んでいて、「そうだ、はっぴいえんどの『風街ろまん』に入っていた曲だ!」。
そう、はっぴいえんどの『風街ろまん』(写真)です。はっぴいえんどの2枚目のアルバム。1971年11月20日のリリース。はっぴいえんどのメンバーは、細野晴臣 (b,vo,key,g), 大滝詠一 (vo,g), 鈴木茂 (g), 松本隆 (ds,per)。
いや〜、今見ても凄いメンバーですね。こんな凄いメンバー構成のバンドがあったんですね。1970年代前半って、日本の音楽シーンって混沌としていて、玉石混淆、振り返って見ると改めて凄かったなあ、と思います。
このアルバム『風街ろまん』は、先にご紹介した「風をあつめて」が収録されているアルバムとして、今では有名な存在になりました。このアルバムの中でもその出来は突出していて、この曲一曲の存在によって、アルバム全体の印象が決定付けられる程に影響力の強い、楽曲単体としての完成度が非常に高い曲です。
後に、様々なミュージシャンにカバーされています。先にご紹介した 玲葉奈(れよな)の『風をあつめて』も、その秀逸なカバーの一つです。「風をあつめて」という曲は、今の耳で聴き直してみても、確かに良い曲です。
さて、アルバム全体の印象としては、1970年代半ば、高校時代にやせ我慢して聴きまくって、それでも「さぱりわからん」ところが多々あったが、それから20年以上の月日が経った今、耳を傾けてみると、その時代ならではの、彼らの揺れる気持ちが感じられて、共感できる部分が多々ある。
バッファーロー・スプリングフィールドのスタイルをベースに、渋いどころの米国フォーク・ロックのテイストをしっかりとパクりながら(僕は、ザ・バンドやグレイトフル・デッド、CSN&Yなんかがパクられていると睨んでいる)、それでいて、米国フォーク・ロックをデッドコピーすることは絶対に無い。これが微妙でこれが複雑。
あくまで、日本人としてのオリジナリティを無理をしてでも表現しようとする精神と葛藤が溢れんばかりで、そのアンバランスさがたまらない魅力を醸し出している。そこが僕は好きだ。
70年代前半とはそういう時代だった。日本人の日本人による日本人の為の、フォーク・ロック、もしくはポップスをやろうとしている気概が伝わってきて、その清々しい雰囲気と隔靴掻痒な感覚が、いわゆる「70年代Jポップ」なんだろう。
歌詞は全編、若かりし頃の松本隆が担当しているが、どの歌詞も当時流行っていた「政治的な、思想的な、無気力的な世界」を全く避けて、独特で中性的な、良い意味で中途半端な、当時の時代ならではの個性的な「はっぴえんど」の世界がある。
大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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コメント
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マスター!お久しぶりです!
はっぴいえんどはリアルタイムでどっぷりでした!
1stの「ゆでめん」から3rdの「はっぴいえんど」までで捉えた方がいいですよ。
その中で2ndの「風街ろまん」が中核なのですが・・・私は3部作と勝手に思い込んでいます・・・。
私はやっぱり松本隆の「詞」が大好きで、若かりし頃は影響を受けました。一番好きなのは「夏なんです」かな?J・テイラーの音をパクってますが・・・こんなバンドは今はないんじゃないかな?バッファロー、モビーグレープ、プロコル・・・等々のエッセンスがいたるとこに散らばっています。偉大なバンドでした。
投稿: N1号 | 2013年4月12日 (金曜日) 07時51分
お久しぶりです、N1号さん。松和のマスターです。
そうですか。「ゆでめん」「風街ろまん」「はっぴいえんど」の3部作
ですか。なるほどなるほど。確かに一貫性がありますね。
はっぴいえんどの音楽性は当時は情報不足でさっぱり判りませんでしたが、
やっと今になって良く理解出来ます。J・テイラー、プロコルハルム、
バッファロー、などなど、オイシイところを上手くパクッていますよね〜。
投稿: 松和のマスター | 2013年4月12日 (金曜日) 21時31分