最近のトラックバック

« 耳直しにハードバップは如何? | トップページ | ギターとトロンボーンの相性抜群 »

2013年4月24日 (水曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・33

ブラッド・メルドーは非常に面白い個性をしている。ジャズの歴史の中で、現在までの優秀な「スタイリスト」と呼ばれる、自らの個性を確立したジャズ・ピアニストの個性を集約した様な「個性」をしている。

ある部分はビ・バップであり、ある部分はモードであり、ある部分はフリー。そして、ある部分はセロニアス・モンクであり、ある部分はビル・エバンスであり、ある部分はキース・ジャレットであり、ある部分はチック・コリアだったりする。マッコイ・タイナーの「シーツ・オブ・サウンド」的な奏法も披露するし、レニー・トリスターノの様な「クール奏法」もちらりと顔を出す。

つまり、ブラッド・メルドーのピアノの個性は、それまでのジャズ・ピアノのスタイリスト達の個性のショーケース的なところ。しかし、ブラッド・メルドーの非凡なところは、その「それまでのジャズ・ピアノのスタイリスト達の個性」が単なる物真似になっていないところ。そして、個性のごった煮的雰囲気なんだが、演奏のトーンがバラバラにならずに「一貫性」を保っている。

ブラッド・メルドーのピアノは、「それまでのジャズ・ピアノのスタイリスト達の個性」を自らのものにして、自らの個性を反映し、一貫性を保った、独特の弾き回しになっているのだ。これが素晴らしい。

僕のジャズ・ピアノの基準のひとり、ブラッド・メルドー。彼が率いるトリオ「Art Of The Trio」が素晴らしい。パーソネルは、Brad Mehldau (p), Larry Grenadier (b), Jorge Rossy (ds)。このトリオが素晴らしい。

その「Art Of The Trio」は、シリーズで、Vol.5までのアルバムを立て続けにリリースした時代があった。そのシリーズでリリースされた、Vol.5までのアルバムがこれまた素晴らしい。
 

Art_of_the_trio_vol4

 
そのシリーズでリリースされた盤、どれもが素晴らしい出来だが、僕はこの4枚目の、Brad Mehldau『Art Of The Trio, Vol. 4: Back At The Vanguard』(写真左)が一番、ブラッド・メルドーのピアノを愛でるに相応しい、「Art Of The Trio」としての最高の出来を示した逸品だと思う。1999年1月5〜10日、NYはヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ録音。

メルドーのピアノはストイックで堅実。理知的な響きでペダルも適度。キース・ジャレットの様に、ペダル豊かにロマンチシズムに流れることは無い。ユニゾン&ハーモニーにはモンク的な不協和音的な響きが混在する。これはキースには無い。一時、メルドーはキースのフォロワーであり後継者である、なんていう、とんでもない勘違い的な評論がもてはやされた時期があったがとんでも無い。メルドーのピアノとキースのピアノは非なるもの、である。

右手と左手、別々の旋律を弾くという離れ業も十二分に聴かせてくれる。やはり、スタンダードが良い。スタンダードを聴くと、メルドーの個性が浮かび上がってくる。他のピアニストに無い、複合的な個性。テクニックも非常に優秀。破綻の非常に少ないところは天下一品。

冒頭の「All the Things That You Are」にメルドーの独特の個性をふんだんに聴くことが出来る。4曲目の「Solar」はマイルスの名曲。6曲目の「I'll Be Seeing You」の出来も良好。ラストの「Exit Music (For A Film)」はRadioheadの作。いわゆるニュー・スタンダードである。メルドーの先取性は素晴らしい。やはり、個性を確認するにはスタンダードやなあ。

弾きまくるメルドー。バッキングに回ったベースとドラムも素晴らしい出来。ジャズ・ピアノのダイナミズムをも同時に体験出来る。メルドー初期の傑作ライブ盤である。ヴィレッジ・ヴァンガードらしいデッドな音もグッド。でも、ジャケット・イマイチで、ちょっと損をしている。でも、内容は素晴らしい。メルドーのピアノを聴き込みたい時のヘビロテ盤。

Brad Mehldau『Art Of The Trio, Vol. 4: Back At The Vanguard』を謹んで、ピアノ・トリオの代表的名盤にノミネートしたい。

 
 

大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« 耳直しにハードバップは如何? | トップページ | ギターとトロンボーンの相性抜群 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80793/51360383

この記事へのトラックバック一覧です: ピアノ・トリオの代表的名盤・33:

« 耳直しにハードバップは如何? | トップページ | ギターとトロンボーンの相性抜群 »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ