最近のトラックバック

« 現代ジャズのトレンドがギッシリ | トップページ | 小曽根渾身の純ジャズ・トリオ盤 »

2013年4月 9日 (火曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・32

当時、ジャズ雑誌「スイング・ジャーナル」が名付けた『新伝承派』。手短かに言えば「伝統的なアコースティック・ジャズを継承するグループ」。実は、「伝承」という言葉について、ジャズは「過去の伝統」の様に聞こえるところが引っ掛かったみたいで、あまり定着しなかったんだけどね。

しかし、僕はこの新伝承派の連中のジャズを意外と気に入っている。過去の伝統的なアコースティック・ジャズを物真似するのでは無く、しっかりと自らが解釈して、自らのオリジナリティーを付加して、新しい展開やスタイルのアコースティック・ジャズに昇華させているところが良い。伝統的な演奏スタイルではあるが、明らかに新しい響きを宿している、といって良い。温故知新といったことろか。

その『新伝承派』のピアニストの代表格のひとりが、Mulgrew Miller(マルグリュー・ミラー)。当ブログでも2枚ほど、彼の代表作をご紹介している。ピアノ・トリオのデビュー作が『Keys To The City』(2012年11月19日のブログ・左をクリック)。セクステット編成の『Wingspan』(2012年6月22日のブログ・左をクリック)。

彼のピアノのスタイルは「ありそうでない」スタイル。部分部分を聴くと、過去の誰かのスタイルと同じじゃないか、と思うんだが、良く聴くと、どれも過去のスタイルとはちょっと違う。

そういう「過去のスタイルとはちょっと違った」スタイルをいくつか散りばめて、プレイ全体で、伝統に根ざした新しい響きのスタイルを獲得している。つまりは、新伝承派のモットーを地で行っているということ。
 

Mulgrew_miller_work

 
古いところではスイング・ジャズのマナーを感じるフレーズから、1960年代の新主流派のモーダルなフレーズまで、明らかにアブストラクトでフリーキーなスタイルを避けながら、正統派でメインストリームなジャズ・ピアノ。音の重ね方も少しだけ変わった重ね方をしているみたいで、音の響きがそこはかとなく個性的。端正ではあるが、四角四面なカクテル・ピアノ風では絶対に無い。高度なジャズ・ピアノである。

そんなマルグリュー・ミラーのピアノの個性を愛でるには「これ」、と言ったアルバムがある。1987年に発表されたMulgrew Miller(マルグリュー・ミラー)の2作目のリーダーアルバム『Work』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Mulgrew Miller (p), Charnett Moffett (b), Terri Lyne Carrington (ds)。1986年のリリース。

このピアノ・トリオ盤には、マルグリュー・ミラーの個性、マルグリュー・ミラーの良いところが全て詰まっています。端正でキッチリとしていながら、決して窮屈では無い、スケールの大きい展開、スインギーな節回し、疾走感溢れる指回し。エネルギッシュなユニゾン&ハーモニー。そして、印象的な、個性の全てを注ぎ込んだソロピアノ。マルグリュー・ミラーのピアノを感じ、愛でるのであれば、このピアノ・トリオ盤が一番でしょう。

優れたピアノ・トリオ盤と言われるものは、当然、バックに控えるベースとドラムも優れている。この盤でも、ベースのチャーネット・モフェットも、ドラムのテリリン・キャリントンも、それはそれは素晴らしい。この盤を録音した当時、二人は弱冠20歳前後だったとか。そんな若さを全く感じさせない、堅実で成熟したベテラン風のプレイを聴かせてくれる。モフェットの超弩級のベース音。多彩でエネルギッシュで爽快なキャリントンのドラム。

良いピアノ・トリオ盤です。トリオの演奏がどの曲でもバッチリと決まっていて、単純に聴いていて「格好良い」ピアノ・トリオです。ピアノ、ベース、ドラム、それぞれが実に優れた演奏を繰り広げていて立派。伝統に根ざしつつ新しい響きのジャズを展開する、という「新伝承派」のピアノ・トリオの代表作の一枚です。

 
 

大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« 現代ジャズのトレンドがギッシリ | トップページ | 小曽根渾身の純ジャズ・トリオ盤 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80793/51161134

この記事へのトラックバック一覧です: ピアノ・トリオの代表的名盤・32:

« 現代ジャズのトレンドがギッシリ | トップページ | 小曽根渾身の純ジャズ・トリオ盤 »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ