ジャズのウエストサイド物語・2
Tommy Flanagan『Lonely Town』(写真)。ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan (p), Joe Benjamin (b), Elvin Jones (ds) 。1959年3月10日の録音。
LP時代は超幻の名盤。映画「ウェスト・サイド・ストーリー」をテーマに、エルヴィン・ジョーンズをドラムスに迎えた、もう一枚の『Overseas』(エルヴィンと組んだトミー・フラナガンの名盤)。
トミフラ全盛期の貴重なるピアノ・トリオ・アルバム、という触れ込みで発売されたときには、正直言ってビックリした。ピアニストとして、裏方に徹してでの「いぶし銀的な名演」が多くあるトミー・フラナガンが、こんな大衆受けする、実に趣味の良い、企画もののアルバムを作っていたとは知らなかった。
ジャケット・デザインもなかなかで、ジャケット・デザインが良いジャズ盤に駄盤無しという、そんな「嬉しい期待」を持たせてくれるアルバムだ。
曲を見渡すと「ウエストサイド物語」からの曲は、1曲目と3曲目の2曲のみ。あとは他のミュージカルの楽曲ではあるが、すべてがバーンスタインの作曲。どれもが美しく楽しい佳曲ばかり。
1曲目の「アメリカ」を聴いただけで、「ウエストサイド物語」に代表される、アメリカの現代ミュージカルの、壮大で楽しい雰囲気が広がってくる。その雰囲気を見事に現出しているのが、エルビン・ジョーンズのダイナミックなドラミングと、トミー・フラナガンのしっかりと粒だったピアノ・タッチ。
2曲目以降、その雰囲気は崩れることは無く、アメリカ・ミュージカルの壮大かつ楽しい雰囲気の乗って、エルビンは必殺技であるポリリズムを繰り出し、フラナガンは、そのダイナミックなドラミングに乗って、品の良い、いぶし銀のような、洒落たタッチのピアノで、バースタインの作曲した佳曲を料理していく。
ベースのジョー・ベンジャミンはちょっと音が細いかなあ。バップ・ピアニストのフラナガンとポリリズムの権化であるエルヴィン相手に、ちょっと苦しそうではあるが、なかなかに健闘している。思わず「頑張れ」と声をかけたくなる(笑)。
このアルバムは、良質のピアノ・トリオ・アルバムとして、トミー・フラナガンの「いぶし銀」ピアノとジャズ・ドラミングのひとつの完成形である「ポリリズム」の担い手、エルビン・ジョーンズのダイナミックなドラミングを、ミュージカルの楽曲を通して、心ゆくまで堪能できる佳作である。
大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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