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2013年3月18日 (月曜日)

マイルスの強烈な矜持を感じる

さあ、アコ・マイルスの聴き直しも、残すところあと2枚。このあと2枚という『Sorcerer』と『Nefertiti』は、録音時期が2ヶ月程度しか離れておらず、同時期に録音された、対を成す兄弟盤として取り扱って良いだろう。で、今日は、1967年5月録音の Miles Davis『Sorcerer』(写真左)を採り上げる。

タイトルの「Sorcerer」とは「魔法使い」のこと。う〜んこれは黒魔術などが大好きなウェイン・ショーターの趣味なんだろうなあ、と思ったら、この「Sorcerer」の作曲はハービー・ハンコックだった。あれれ(笑)。

マイルス(トランペット)、ウェイン・ショーター(テナー・サックス)、ロン・カーター(ベース)、トニー・ウィリアムス(ドラム)、ハービー・ハンコック(ピアノ)。1960年代マイルスの黄金のクインテットの3枚目のスタジオ録音盤になる。さすがに3枚目ともなると、クインテットとしては完成の域に達しており、演奏内容はそれはそれは高度で高尚でアーティスティックなもの。

収録曲と作曲者を挙げてみると以下の様になる。

1. Prince of Darkness (Shorter)
2. Pee Wee (Tony Williams)
3. Masqualero (Shorter)
4. The Sorcerer (Hancock)
5. Limbo (Shorter)
6. Vonetta (Shorter)
7. Nothing Like You (Bob Dorough/Fran Landesman)

ちなみに7曲目の「Nothing Like You」だけは、録音日も異なる、ボブ・ドローのボーカル入りのへんてこりんな曲で、全くの蛇足な曲なので、無視して良いと思います。というか、僕はCDでは曲指定で飛ばして聴きますし、iTunesではアルバムをリッピングしたら、この「Nothing Like You」は削除します(笑)。

さて、余談はさておき、このアルバムの作曲者を眺めてみると、トニーとハービーが1曲づつ担当しますが、残りの4曲はショーターの手になるもの。この1960年代マイルスの黄金のクインテットの3枚目のスタジオ録音盤では、ウェインが音楽監督の位置づけで、その手腕を発揮しており、マイルスは自分の納得いくまでのブロウのみを追求しています。
 

Miles_sorcerer

 
アルバム全体の音作りは、トニーやハービー作曲のものも含めて、ウェイン色というか、全く持って「ウェイン・ショーターの世界」なフレーズ満載なんだが、演奏全体を覆うグループ・サウンズの雰囲気は「マイルス」そのもの。そこのマイルスのトランペットの音がプププ〜ッと乗ってきたら、もうそこは徹頭徹尾「マイルスの音世界」にドップリと染まる。

この辺がマイルスの凄いところだし、マイルスの不思議なところ。こんなにコッテコテに「ウェイン・ショーターの世界」一色な曲ばかりなのに、一度演奏が始まると「マイルスの音世界」にドップリと染め上げることが出来るのか。マイルス恐るべしである。

アルバムの内容としては、先ほどから書いているように「ウェイン・ショーターの世界」一色である。でも、演奏内容は徹頭徹尾「マイルスの音世界」。
 
ウェインお得意のモーダルで自由な展開を、マイルスを始め、ショーターを加えたクインテットの面々が、更に自由度の高い、個性的で唯一無二で、誰にも真似出来ない、独特の個性的なインプロビゼーションを展開していく。

そして、僕がこの『Sorcerer』の密かな楽しみは、ハービー・ハンコックのピアノ。この『Sorcerer』では、ハービー・ハンコックのピアノが凄い。マイルス・クインテットでのハービーのピアノ演奏については、この『Sorcerer』にとどめを刺すと言っても良いだろう。

ちなみに、トニー・ウィリアムスのドラムを聴くなら『Miles Smiles』、ウェイン・ショーターのテナーを聴くなら『Nefertiti』、そして、ロン・カーターのベースを聴くなら『E.S.P. 』である。

このアルバムが録音された1967年と言えば、フリー・ジャズとソウル・ジャズの流行りの真っ只中。この『Sorcerer』の音世界は、汗飛び散る自由で魂の咆哮なフリー・ジャズでも無く、大衆に迎合したファンキーなソウル・ジャズな雰囲気は皆無。ましてや、スタンダード曲は全く無く、バラード曲も無い。そんなところに、伝統的なジャズのルールを踏襲しつつ、限りなく自由で限りなくジャジーな音世界は、もの凄く「クール」だ。

我が感性を信じて、常に我が道を行く。そんなマイルスの強烈な矜持を感じる、素晴らしいアルバムである。

 
 

大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

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