ズバリ『これが我々の音楽だ』
オーネット・コールマン(Ornette Coleman)にしっかり相対するには、まずは、変なタイトルの初期の5作品を聴くことだと僕は思っている。確かに、オーネットのアルバムには変なタイトルが多い。特に、この初期5作品は変だ(笑)。
『Something Else!!!! 』から始まって、『Tomorrow Is The Question!』『The Shape Of Jazz To Come』『Change Of The Century』、そして『This Is Our Music』。『格別にすばらしいもの』から始まって、『明日が問題だ』『ジャズ来るべきもの』『世紀の転換』、そして『これが我々の音楽だ』。どう見ても、ジャズのアルバム・タイトルらしからぬ、なんだか哲学的なタイトルやなあ(笑)。
変なタイトルはさておき、この初期5作品を聴くと、オーネット・コールマンのやりたいこと、やったことが良く判る。確かに、この過去の取り決めに縛られること無く「できる限り自由にやるジャズ」は、当時(1958年〜1960年辺り)のジャズ・シーンにあっては、異端も異端、ジャズじゃないというよりは「真っ当な音楽じゃない」という聴かれ方ではなかっただろうか。
必要最低限の取り決めの上で、コード進行は従来のルーティンに則らない「へんてこりんなコード進行」をベースに、ユニゾン&ハーモニーも合わさない良くて、好きなタイミングで吹き続ける。
アドリブ・フレーズも、決して、過去のイメージに囚われない、というか、過去のイメージを絶対に踏襲しないことを心がけてアドリブ・フレーズを演奏する、という、とにかく、周りとの強調など考えずに、個々の自分達が演奏したい様に演奏する、自由を追求した演奏形態。
さて、今日は『This Is Our Music』(写真左)である。『Something Else!!!! 』から始まって、『Tomorrow Is The Question!』『The Shape Of Jazz To Come』『Change Of The Century』と来て、遂に「これが我々の音楽だ」と開き直っちゃいました(笑)。
1960年の7〜8月の録音。3回のセッションに分かれる。ちなみにパーソネルは、3回のセッション共に、同じパーソネルで、Don Cherry (cor), Ornette Coleman (as), Charlie Haden (b), Ed Blackwell (ds)。ドラムが、ヒギンスからブラックウエルに代わっているが、演奏の内容としては、それまでの4作品と変わらない。
特に、このアルバムでは奇をてらっていないところが特徴で、4ビートが主で聴き易い。4ビートの上で、ノビノビと自由に浮遊するそれぞれのメンバーの演奏は圧巻ですらあります。演奏的にも、伝統的なジャズから大きく逸脱することが無いので判り易い。意外と現代のコンテンポラリーなジャズは、この「必要最低限の規律のある自由」を踏襲しているところがあって、そういう意味では、オーネットの音楽性は先取性があったとも解釈出来ます。
このアルバムが、オーネットの初期の、ほぼ完成形なんでしょうね。非常に良くこなれた感じがして、迷いが無いというか、洗練されているというか、素晴らしい演奏がギッシリ詰まっている感じです。逆に、あまりにこなれた感じが、ちょっとマンネリに結びつくというか、この 『This Is Our Music』を聴いていると、「オーネット、ちょっと飽きてきたぜ」というような感じが、ふっと脳裏をよぎります。
このアルバムの後、あのダブル・カルテットの実験作、その名もずばり『Free Jazz』を世に出すことになります。そして、この『Free Jazz』の後に、怒濤の名盤ラッシュがやってくるんですが、それはまた後日、ご紹介したいと思います。
まずは、変なタイトルの初期の5作品。このブログでは、『The Shape Of Jazz To Come』『Change Of The Century』、そして『This Is Our Music』をご紹介したことになりますね。
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