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2013年3月 8日 (金曜日)

八代亜紀の『夜のアルバム』

昨日の松岡ゆかりに続いて、日本の女性ジャズ・ボーカルの話題作。この企画盤リリースのニュースを聞いた時は、え〜っ、と思った。でも、歌が素晴らしく上手い方である。もしかしたら、凄いことになるかも、と期待もした。

その企画盤とは、八代亜紀の『夜のアルバム』(写真左)。八代亜紀とは、日本演歌の代表的女性歌手の八代亜紀である。そう「雨雨降れ降れもっと降れ」の八代亜紀である(笑)。演歌の女王、八代亜紀がジャズ・ボーカルに挑戦した企画盤がこの『夜のアルバム』。

情報によると、もともと、八代亜紀は若い頃、ジャズ・ボーカルもやっていた、とのことで、ジャズ・ボーカルは初めてのチャレンジではない。昔取った杵柄のひとつの「ジャズ・ボーカル」を、還暦過ぎて、もう一度やってみようじゃないの、というノリだろうか。端で見ていると、実に唐突な企画盤のリリースである。

しかし、その内容はなかなかのもの。さすが、若い頃、ジャズ・ボーカルにも手を染めていただけはある、堂々とした歌いっぷり。もともと、歌が素晴らしく上手い歌手である。とにかく上手い。情感を込めて、きめ細やかに、隅々にまで心配りをしながら、魅力的なジャズ・ボーカルを披露してくれる。

冒頭の「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」を聴けば、それが良く判る。途中で日本語の歌詞に変わるが、これは「ご愛嬌」。

そう、このアルバムには、日本語の歌詞のボーカル曲が幾つかある。リリィの「私は泣いています」、松尾和子の「再会」、伊吹二郎の「ただそれだけのこと」など、純ジャズ風のアレンジに乗って、魅力的なボーカルで歌い上げていく。う〜ん、出来映えは素晴らしいのだが、ジャズ・ボーカルというよりは、どうもジャズ風のムード演歌に聴こえるなあ。
 

An_evening_with_aki_yashiro

 
逆に、2曲目の「クライ・ミー・ア・リヴァー」や、5曲目の「サマータイム」、ラストの「虹の彼方に」の英語の歌詞の歌いっぷりを聴くと、これが素晴らしい出来で、もう「参りました」と謝ってしまいそうな位、素晴らしい歌唱。完璧なジャズ・ボーカル。味わいも豊か、情感がこもっていて、それはそれは素晴らしい。

それぞれ、大スタンダード曲で、何百人何千人というボーカリストが歌った、いわゆる「手垢が付いた」曲で、独特の個性を出しつつ歌いこなすには難しい曲ばかりなんですが、演歌出身の八代亜紀が故に、今までに無い、独特の個性を発揮しつつ、完璧に、これら大スタンダード曲を朗々と歌い上げている。

これならば、日本語の歌詞のボーカル曲なんか織り交ぜずに、完全にジャズのスタンダード曲で勝負すれば良かったのに、と思ってしまうのは僕だけかなあ。

まあ、レコード会社からすると、ジャズのスタンダード曲だけで勝負して「すべった時」の安全保障として、日本語の歌詞のボーカル曲を織り交ぜて、演歌歌手としての八代亜紀のファンの方々にアピールして、いざとなったら助けてもらおう、と思ったんだろうが、それは八代亜紀の才能に対して、失礼なことではないのかなあ。まあ、気持ちは理解できないこともないが・・・。

還暦過ぎて、もう一度やってみようじゃないの、というノリなんだったら、完全にジャズのスタンダード曲だけで勝負して欲しかったなあ。アルバム全体の印象として、日本語の歌詞のボーカル曲を織り交ぜているところに、ちょっとだけの中途半端な感じが漂い、アルバムとして「安全運転」的な雰囲気が見え隠れして、ちょっとノリ切れない感じがするところが実に惜しい。

良い内容のジャズ・ボーカル盤ではあります。八代亜紀のジャズ・ボーカリストとしてのポテンシャルが並外れたものであることは良く理解出来ます。次作は、完全にジャズのスタンダード曲だけで勝負して欲しいですね。プロデュースの方針さえ間違わなければ、とてつもなく素晴らしい、女性ジャズ・ボーカルのアルバムが出来そうな予感がします。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。

がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。 
 

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