盤の邦題は『世紀の転換』
オーネットの盤には仰々しいタイトルの盤が多い。Ornette Coleman『Change of Century』(写真左)。この盤の邦題は『世紀の転換』。なんのこっちゃ(笑)。意味不明な邦題である(笑)。でも、中身はオーネット独特のハードコアな限りなくフリーな純ジャズ。
アトランティック・レーベル第2弾のリーダー作。1959年10月の録音。パーソネルは、Don Cherry (cor), Ornette Coleman (as), Charlie Haden (b), Billy Higgins (ds)。鉄壁の4人である。『The Shape Of Jazz To Come(ジャズ来るべきもの)』が、1959年5月の録音だから、この代表的名盤と同じ年の録音になる。ちなみにパーソネルも一緒。
同じ年の一連の録音なので、内容的には『ジャズ来るべきもの』と同じ流れである。そんなにフリーに吹きまくっている訳でも無いし、アブストラクトに構えている訳でも無い。基本的に、ハードバップのルーティンに則って、コード進行も従来のルーティンでは無いにしろ、拗くれながらちゃんと存在するし、変則的ではあるが、定型なリズム&ビートも存在する。しっかりとした取り決めに則った演奏であることには違いない。
しっかりとした取り決め、と言っても、しっかりとアレンジメントされている訳ではなさそう。ソロを取る所要時間の割り振りとか、テーマ含めた、拗くれたコード進行も一応合意している程度の取り決めだと思う。後は、出来るだけ「自由」に演奏しよう、既成の決め事に則らずに、自分の感覚、自分のテンポで演奏してみよう、という感じの「演奏時の心得」みたいなものがあっただけではないか、と睨んでいる。
オーネットのアルトのインプロビゼーションは、軽快な高速フレーズの連発で、ジャズの奏法としては「ビ・バップ」を踏襲するものだといえよう。チャーリー・パーカーばりの高速フレーズの連発ではあるが、そのフレーズは既成概念を取っ払った、いかにも自由なもの。というか、自由に吹いている様に聴こえる様に、ちゃんと考えて吹いていると言った方が良いかも知れない。全曲、通して聴くと、どの曲も十分に計算され考慮された雰囲気がプンプンする。
オーネット・コールマンが描いた「フリー・ジャズ」は、このアトランティック・レーベル第二弾の『Change of Century』で、一旦の完成を見たのではないか。非常にこなれて非常に整った内容である。オーネットの「フリー・ジャズ」のフリーは、出来るだけ「自由」に演奏しよう、既成の決め事に則らずに、自分の感覚、自分のテンポで演奏してみよう、という感じの「フリー・ジャズ」である。基本的に「既成概念の打破」という思想が、それぞれの演奏に織り込まれている。
この『Change of Century』は、先のアトランティック・レーベル第1弾のリーダー作である『The Shape Of Jazz To Come(ジャズ来るべきもの)』と対で聴いて頂きたいですね。当時の「オーネットの考えるフリー・ジャズ」がしっかりと理解出来ること請け合いです。意外と純ジャズしていて、ちょっと捻れた、ジャズとして美しい演奏の数々です。
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