男女二人ずつの構成のコーラス
知らんかった。ハイファイセットのアルファ時代の音源全てを網羅したボックス盤が出てたなんて。即ポチッとな、である。あの頃のハイファイが好きでねえ。今から手元に来るのが楽しみだ。
僕はコーラス・グループが大好きである。子供の頃から、ボニー・ジャックスとかデューク・エイセス、ダークダックス、それからキング・トーンズなど、とにかくコーラス・グループが大好き。恐らく、肉声のユニゾン&ハーモニーの響きが好きなんだろう。ソロ・ボーカルとコーラス・グループとどちらが好きか、と問われれば、即答で「コーラス・グループ」と答える(笑)。
1970年代、フォークからニューミュージックに音楽のトレンドが移りゆく中で、特筆すべきコーラス・グループが幾つか出現した。その最初が「赤い鳥」から別れ出た、ハイファイセット。このハイファイセットについては、先の「ボックス盤」が来てから、ゆっくりとコメントすることとして、今日は、ハイファイセットと双璧を成す、もうひとつの僕の好きなコーラス・グループ、サーカスについては語ってみたい。
サーカスは、長年に渡り絶妙なコーラスワークで日本の歌謡界を席巻した、男女二人ずつの構成のコーラス・グループ。1978年のデビュー。マイナーチェンジ風にちょこっとメンバーが入れ替わっているが、基本的にメインは叶正子のボーカルなので、音楽的な統一感は損なわれていない。
結成時のメンバーは、叶正子、卯月節子、菅健、茂村泰彦の4人だったが、本格デビュー時には、叶正子、卯月節子、叶高、叶央介の三人姉弟と従姉の血縁者グループになった。そして、1984年から、叶正子、原順子、叶高、嶋田徹になり血縁者グループでは無くなり、1988年には、叶正子、原順子、叶高、叶央介というメンバー構成となり、ここで、原順子と叶央介が結婚したために、なんと再び血縁者グループになった。
当時、日本において、このような構成のボーカル・グループは存在しなかった。しかも、歌う曲がソウル・ミュージックやR&B風の曲調が多く、そのしっかりとしたコーラス・ワークと男女ボーカルの独特な響きのユニゾン&ハーモニーで、あっさりとした、日本人らしからぬファンキーなグルーブ感を漂わせているところが実に個性的。
そんなあっさりとしたファンキーなグルーブ感は、サーカスの1st.アルバム『Circus 1』(写真左)で十分に堪能することが出来る。
Michel Fugain作なるフリーソウル・クラシックな『愛で殺したい』の日本語カバーは「サンバ風ディスコ・ソング」の傑作でしょう。そして、吉田美奈子の名曲である『ケッペキにいさん』や大滝詠一『夢で逢えたら』のファンキー&グルーヴィーなカバー。その他、Boz Scaggs、Barry Manilow、Bee Gees、MichelI Legrandの名曲を日本語でカバーしており、どれもが、日本人らしからぬファンキーなグルーブ感を漂わせている。
この日本人らしからぬファンキーなグルーブ感を漂わせているところが、僕達の心の吟線に触れて、このサーカスのファーストアルバム『Circus 1』は、いきつけの喫茶店でヘビーローテーションでしたね。よく夕暮れ時から薄暮の時間帯を狙って流していました。
オリジナル至上主義の連中は、カバー中心のアルバム内容を揶揄することもありましたが、そんなことは全く気にしない。とにかく、このあっさりとした、日本人らしからぬファンキーなグルーブ感を漂わせているところが良くて、今までの日本に無かった、そんなコーラス・グループの音を聴くということが、当時、大学生として「粋」な振る舞いやったんですね。
ジャパニーズ・シティポップの名作の一枚として挙げても良い内容だと思います。とにかく、この男女二人ずつの構成のコーラス・グループは個性的。男性二人女性一人のハイファイセットと双璧の日本を代表するシティポップなコーラス・グループだと評価しています。70年代ニューミュージックが生んだ成果のひとつだと思います。
大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« 境界線が曖昧な故の「成果」 | トップページ | マイルスの強烈な矜持『Sorcerer』 »
コメント