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2013年3月12日 (火曜日)

エレクトリック・ジャズの佳作

昨日、ピアノの野人ボビー・エンリケスとアルトの狂人リッチー・コールの演奏スタイルは「ビ・バップ」。ビ・バップの演奏スタイルを、ハードバップなマナーに則ったロングプレイを基本とした長時間のアドリブ展開が特徴、と書いた。

ビ・バップの演奏スタイルを、ハードバップなマナーに則ったロングプレイを基本とした長時間のアドリブ展開、と書いて、ふと、フィル・ウッズ&ヨーロピアン・リズム・マシーン(略して「ERM」)を思い出した。

当ブログでは、2012年10月30日(左をクリック)、2013年2月13日(左をクリック)のブログで、それぞれ、フィル・ウッズ&ERMのアルバムをご紹介している。

フィル・ウッズ&ERMとは如何なるバンドか、ということは、この先の2つのブログ記事を読んで頂くこととして、このフィル・ウッズ&ERMの演奏の個性が、ビ・バップの演奏スタイルを、ハードバップなマナーに則ったロングプレイを基本とした長時間のアドリブ展開に通ずる。

このフィル・ウッズ&ERMの演奏の個性は、まず、リーダーのフィル・ウッズのアルト・サックスの音はと言えば、完璧な「ビ・バップ」。ビ・バップなアルト・サックスを心ゆくまで楽しませてくれます。ハイテクニックを駆使した、高速フレーズ、高速アドリブな展開。実に芸術性豊かなアルト・サックス。
 

Phil_woods_erm

 
バックのリズム・セクションは、これまた、骨太なメインストリーム・ジャズなリズム&ビートを供給します。テクニックは優秀。供給されるリズム&ビートは、正統派ハードバップそのもの。実に硬派で骨太なメインストリーム・ジャズ。

実は、このフィル・ウッズ&ERMの活動期間は約4年と意外に短い。活動期間が短いが故に残されたアルバムもそんなに多くもないんだが、残されたアルバムの演奏内容については、かなりバリエーションに富んでいて、聴いていて楽しい。

例えば、この『Phil Woods & His European Rhythm Machine』(写真左)。ファッション・デザイナー、ピエール・カルダンのレーベルよりリリースされた変わり種アルバムなんだが、このアルバムの内容が面白い。

何が面白いのかと言えば、「8ビートの採用」「エレクトリック・ジャズの展開」「電気ピアノと電気サックス」「フリー・ジャズの要素」の4点。この4点の個性を振り撒きながら、ビ・バップの演奏スタイルを、ハードバップなマナーに則ったロングプレイを基本とした長時間のアドリブ展開でガンガンに疾走する。

特に、エレピの演奏が素晴らしい。まるでエレクトリック・マイルスである。ロックなスタイルを取り込みつつ、フィル・ウッズ&ERMの演奏は疾走を続ける。素晴らしいエレクトリック・ジャズ。ジャズロックとしても楽しめる、クロスオーバーな演奏。

エレクトリック・ジャズの佳作としてお勧めの一枚です。リーダーのフィル・ウッズのアルトも絶好調。特に、エレクトリック・ジャズのファンの方にはお勧め。ジャケット・デザインは、チキチキバンバンのマシーンのデザインも担当したRowland Emettの手になるもので「ジャケ買い」御用達な優れもの。良いアルバムです。

 
 

大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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コメント

はじめまして、musselwhite と申します。

oscar peterson :complete London House Sessions を検索して居て此方へたどり着きました。
拾い読みで申し訳有りませんが、興味の或るタイトルを一通り読ませて頂き、簡潔なアルバムの解説を拝見して随所に(生意気ですが)ウンウンとうなずく所が有りコメント欄に手を出させて頂きました。

私はアルバムを買ってもライナーは殆ど読む事は有りませんので、自身のブログでも気の利いたコメントは全く有りません。

これからも寄らせて頂きますので宜しくお願い致します。

musselwhiteさん、はじめまして。松和のマスターです。
当ブログにお立ち寄り頂き、ありがとうございます。
 
自分の感じたことを素直にブログにアップしていますので、
時に、みんなはどう感じているのかな、なんて不安に
なることもあるんですが、musselwhiteさんのお話し、
実に心強い思いです。
 
また、お時間のあるときにお立ち寄り下さい。
お待ち申し上げております m(_ _)m。
 

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