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2013年3月30日 (土曜日)

Carpentersの『Now & Then』

このアルバム・ジャケットを見る度に、中学時代の甘酸っぱい思い出に包まれる。大阪出身の僕ではあるが、中学時代の大半だけは岡山で暮らした。その岡山時代の思い出がぶゎ〜と押し寄せてくる。1973年にリリースされた、Carpentersの『Now & Then』(写真)である。

なんといってもきら星の如く並んだ名曲の数々が圧倒的。この『Now & Then』は、カーペンターズのコンセプトアルバムとして、唯一無二、彼らの最高傑作に位置する名盤中の名盤である。

なんせ、ジャケットからして粋だよな。古き良き1960年代を彷彿とさせるような絵柄。レトロな懐かしさが漂い、なんともいえんなあ。まあ、しかし、1曲目の「Sing(シング)」や4曲目の「Jambalaya (ジャンバラヤ)」などは、学校の音楽の時間やNHKの健康的な歌番組などで、散々歌わされたり聴いたりで、当時は聴き飽きて、遂には辟易したのを懐かしく思い出す。

しかし、今、こうして、当時、食傷気味だった、カーペンターズのポピュラーソングの数々に耳を傾けてみると、そのアレンジやスタジオワークが巧みで、聴く者を圧倒する迫力。それでいて、実に全編耳あたりの良い、実に健康的なその雰囲気。これが、アメリカン・ポップスのひとつの到達点といっても良いであろう、その成熟感。
 

Now_and_then

 
そして、その最良のものが、当時、LPではB面を全面使って一気に聴かせるメドレー(CDでは6曲目以降)だろう。かの流れるような透き通った永遠の名曲「Yesterday Once More(イエスタディ・ワンスモア)」から始まり(今でもこの曲のアレンジは素晴らしいと思う)、次々ときら星の如く繰り出されるオールディズの数々。

息もつかせぬ展開と煌めくようなそれでいて洒脱なアレンジと目眩くコーラス、よどみのないスピード感。そして、曲の合間合間に、小粋に流れるDJアナウンス(これがなかなかグッとくるのだ)。選曲も実に秀逸で、聴き進むごとにノリノリ、バラードでシットリ、そして、聴き終えたときには「これぞ、アメリカン・ポップス!!」と叫びたくなるような爽快感。例えば、ビートルズの「アビーロード」のLPのB面のメドレーに匹敵するような構成美。

振り返ってみれば、このアルバムこそが、カーペンターズの歴史の中で、彼らのピークの印だったのだ。そして、遠く懐かしい1973年の思い出がここにあった。
 
小さなAMラジオを縦にして受信感度を上げて聴いた大阪の深夜放送。毎夜、ヤング・リクエストから流れてくる「Yesterday Once More」。アメリカン・ポップスに親しんでいた中学時代。のんびりした良い時代だった。

 
 

大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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