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2013年2月12日 (火曜日)

バグスのもう一枚の初期の秀作

彼の個性が十分に理解でき、演奏のレベルの高い、つまりは、手っ取り早くミルト・ジャクソンを理解できるアルバムは何か、ということになるが、僕は、初期のリーダーアルバムの中から、ズバリ彼の名前(Milt Jackson)を冠した2作をあげることにしている。

と、昨日、『Milt Jackson And The Thelonious Monk Quintet』をご紹介した際に書いたのだが、もう一枚は何か、ということになる。きょうはその「もう一枚」のミルト・ジャクソンの初期のリーダーアルバムについて語ります。

その「もう一枚」とは、『Milt Jackson Quartet』(写真左)。プレスティッジ・レーベルに吹き込まれた。バグスのリーダー作になる。1955年3月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), Horace Silver (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。

このアルバムを録音した頃は、既に、ミルト・ジャクソンは、ジョン・ルイス、パーシー・ヒース、コニー・ケイと、モダン・ジャズ・カルテット(以下MJQと略す)として活動しており、前にご紹介した、ブルーノートからリリースされた『Milt Jackson And The Thelonious Monk Quintet』が、彼のビ・バップ期を捉えた秀作だとすれば、このアルバムは、ハードバップ初期のミルト・ジャクソンを捉えた秀作と言える。

このプレスティッジのリーダー作のパーソネルを見ると、MJQのピアニストを、レギュラー・ピアニストのジョン・ルイスから、ファンキーなホレス・シルバーに変えただけのカルテット編成である。ピアノが替わっただけなので、このアルバムは、MJQのあの荘厳な形式美あふれる演奏が踏襲されているだろう、と思いきや、そうでないところがジャズの面白いところ。
 

Milt_jackson_qurtet

 
ピアニストが、ファンキーなホレス・シルバーに変わっただけで、カルテットとしての雰囲気がガラッと変わってしまうのだ。ミルト・ジャクソンと他の2人が、ホレスのファンキーなピアノの雰囲気に合わせたのだろうが、これがまあ、実にリラックスした、実に雰囲気の良い、そこはかとなくファンキーな香りを漂わせた、上質なハードバップな演奏になっていて楽しい。

曲の構成を見てみると、全6曲中、ミルト・ジャクソン自作の1曲、5曲目の「Stonewall」を除いて、他の5曲は全てスタンダードで構成されており、この曲の構成自体も、アルバム全体のリラックスした雰囲気に貢献している。まあ、一度、聴いてみて下さい。どれもが素晴らしい曲、どれもが素晴らしい演奏です。

個人的な趣味からすると、1曲目の「Wonder Why」、3曲目の「Moonray」、4曲目の「The Nearness Of You」あたりが、好みです。どれもが、美しい旋律を持つ曲ばかりで、美しい旋律に、ビブラフォンの音は映えますね。

「ミルト・ジャクソンは、MJQを離れると、ファンキーでスインギーでグルービーな演奏する」なんて言われますが(この一方的な意見に対しては、私は異論があるのですが・・・)、このアルバムは、その「ファンキーでスインギーでグルービーな」ミルト・ジャクソンを愛でること出来る、代表的なアルバムの一枚だと思います。

とにかく、バグスのヴァイブが奏でるモダン・ジャズの楽しさ、美しさが満載です。地味なジャケット・デザインで、ちょっと損をしている感じですが、良いアルバムです。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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コメント

いつもこちらを拝見して思うのですが、マスターの音楽への愛情の深さ、造詣の深さには共感とともに畏怖の念さえ感じております。

「(ろくに)聴かず書き」の批評家の書きなぐり文章より、こうした本当の愛好家の愛情に満ちた文章にこそ惹かれる由縁でもあります。^^

私の連れ合いはクラシックが好きでジャズはあまり聴きませんが、このミルトの盤と、同じくヴァイブのデイブパイクの「パイクスピーク」がとてもお気に入りであります。笑

SJ誌の某ベテラン批評家はMJQのラストコンサート評で「MJQのレコードの中で一番ベースの音が強力で」云々と書いており、(・・・なら以前のヨーロピアンコンサートライブは聴いてないんか?)とますます不信感をつのらせたものでした。(~_~;)

マスターとはかなり嗜好性が近い、と勝手に思っておりますが、自分がこれまでほとんど他人とはジャズの共感を求めてこなかっただけに、こちらのブログはとてもうれしく思っております。^^

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