『Milt Jackson And The Thelonious Monk Quintet』
ジャズ・ヴァイブといえば、ダントツの第一人者はミルト・ジャクソン。愛称「バグス」。眼下の弛みにちなんでこう呼ばれていたそうです。とにかく、ジャズ・ヴァイブの世界ではダントツの実力者で、ミルト・ジャクソンだけで、ジャズ・ヴァイブを極めてしまった感があるほどです。
ちなみに、ミルト・ジャクソンという人のリーダーアルバムは、駄作というというものが無い。リーダーアルバムのどれもが水準以上の出来で、極端に言えば、どのリーダーアルバムを選んでも、ミルトのバイブが楽しめる、ということになる。
となれば、彼の個性が十分に理解でき、演奏のレベルの高い、つまりは、手っ取り早くミルト・ジャクソンを理解できるアルバムは何か、ということになるが、僕は、初期のリーダーアルバムの中から、ズバリ彼の名前(Milt Jackson)を冠した2作をあげることにしている。
まず、その1つが、このブルーノート・レーベルに吹き込まれた『Milt Jackson And The Thelonious Monk Quintet』(写真左)。ブルーノートの1509番。録音年を見ると、1948年〜1951年とあるので、このアルバムは、ビ・バップ期のミルト・ジャクソンを捉えた秀作と言える。
60年前のバップ期の録音だからとか、あまり入門書に出てこないアルバムだからとか、難しいことを考えずに、このアルバムに耳を傾ければ、ミルト・ジャクソンのスイング感とグルーブ感、そして、その卓越したテクニックの素晴らしさ、そして、その柔軟性の高 さが判ります。良いアルバムです。
今から、60年以上前の録音となるので、その音質を心配される向きもあろうが、ご心配なく。モノラル録音でなかなかのもの。詳しく言うと、このアルバムは3つのセッションから成っている。
まずは、1948年7月2日の録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), Thelonious Monk (p), John Simmons (b) ,Shadow Wilson (ds)。曲としては「Evidence」と「Misterioso」の2曲。
続いては、1951年7月23日の録音。ちなみにパーソネルは、Sahib Shihab (as), Milt Jackson (vib), Thelonious Monk (p), Al McKibbon (b), Art Blakey (ds)。収録された曲は「Four In One」「Criss Cross」「Eronel」「Willow Weep For Me」。
そして最後は、1952年4月7日の録音。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Kenny Clarke (ds)。このセッションで収録された曲は「Tahiti」「Lillie」「Bags' Groove」「What's New」「On The Scene」。
ピアニストは、後に、モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)を結成することになる、クラシックの要素を漂わせながらも端正なバップ・ピアノを聴かせるジョン・ルイスと、その独特のタイムの取り方とその奏法で「ジャズの高僧」と言われたセロニアス・モンクの、個性溢れる2人が担当している。
ミルトは、その個性に左右されることなく、そこはかとなくファンキーな香りを漂わせながら、素晴らしいスイング感とその素晴らしいテクニックで、数々の曲をこなしていく。ジャズにおいて、これだけスイングさせ、これだけグルーブ感溢れたヴァイブを演奏できるのは、ミルト・ジャクソン、この人をおいて他にはいない。
このアルバムは、ミルト・ジャクソンの初リーダー作。さすが、ブルーノート・レーベル、押さえるところは押さえて、良い仕事をしています。
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