「耳休め」のハードバップ
最近、コルトレーンのフォロワーの結構ハードなジャズを聴いてきたので、ここらでちょっと一休み。コッテコテのハードバップ・ジャズを聴いてみたりする。
で、選んだアルバムが、Milt Jackson『Bags & Flutes』(写真左)。タイトルの「Bags」はミルト・ジャクソンのあだ名。タイトルを読み解くと「ミルト・ジャクソンとフルート達」となる。「Flutes」という複数形なところが「ミソ」。
1957年5月21日、6月10日と17日の録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), Bobby Jaspar (fl,tracks 1/7), Frank Wess (fl,tracks 2-6), Tommy Flanagan (p,tracks 1/7), Hank Jones (p,tracks 2-6), Kenny Burrell (g), Percy Heath (b), Art Taylor (ds)。
ギターのバレルとベースのヒース、そして、ドラムのテイラーは固定。フルートは2人いる。ボビー・ジャスパーとフランク・ウエス。ジャスパーがフルートの時のピアノはフラナガン、ウエスがフルートの時のピアノはハンク・ジョーンズ。まあ、簡単に言うと、フルートのボビー・ジャスパー+フランク・ウエスとヴァイブのミルト・ジャクソンとの共演。
フランク・ウエスとミルト・ジャクソンとの共演と言えば『Opus De Jazz』という大名盤があるんだが、このアルバムでは、7曲中5曲の共演となっている。『Opus De Jazz』が1955年10月28日の録音だから、この『Bags & Flutes』は再会セッションっていうことになるのかな。
この『Bags & Flutes』は、実に寛いだ味のあるセッション集。細部に拘らず、アレンジも大雑把で、とにかく、ドバーッとハードバップなセッションを繰り広げるんで、どちらかと言えば大味なセッション集です。決して、名盤の類のアルバムではありませんが、どうして、なかなか魅力的な内容を隠し持っている魅力的な盤です。
ミルトはヴァイブを叩きまくり、ドライブ感抜群。ジャスパーもウエスもフルートを全開で吹くまくる。バレルのギターも太くて黒くて派手なフレーズを弾きまくり、テイラーはファンキーなビートを叩き出す。ヒースのベースだけが冷静にセッション全体を締めて、セッションの底を支えています。
ミルトの丸くて転がるようなドライブ感のあるヴァイブとウエス&ジャスパーの切れ味良いストレートな吹きっぷりのフルートの音色って相性が良いですよね。
録音も音が割れ気味で、あまり良く無いんですが、アルバムの演奏全体からは、ハードバップの覇気とようなものがビンビンに伝わってきます。適度にリラックスして、適度なドライブ感があり、そこはかとなくテクニックを忍ばせ、アンサンブルをバッチリ決める。いや〜、このアルバム、実にハードバップですよね〜。
ジャケット・デザインも直接的で大雑把。ミルト・ジャクソンの代表的名盤に名を連ねる盤ではありませんが、たまに引きずり出してきては繰り返し聴く、そんな長いスパンでの「ヘビロテ盤」ではあります。意外と気に入っています。
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