アダムス=ビューレン再び・・・
さて、耳休めのハードバップから、ポスト・コルトレーンというか、コルトレーンのフォロワーの話題に戻そう。
George Adams & Don Pullen Quartet、「アダムス=ビューレン・カルテット」の話題に戻しましょうか。僕は、コルトレーンのフォロワーの音を聴くことが、とても楽しくなってきた1980年代初頭、アダムス=ビューレン・カルテットに出会った(2月20日のブログ参照・左をクリック)。
ジョン・コルトレーンの音世界に根ざしながらも、そのコルトレーン・ミュージックを整理し発展させ、より拡がりと彩りのある、自由度の高い即興音楽に度肝を抜かれ、それから、アダムス=ビューレン・カルテットに「ぞっこん」。今では、アダムス=ビューレン・カルテットの「お気に入りの3部作」が、時々取り出してきては聴く、長いスパンでの「ヘビロテ盤」になっている。
そのアダムス=ビューレン・カルテットの「お気に入りの3部作」の最初は、アダムス=ビューレン・カルテットの出会いであった、1980年8月の録音の『Earth Beams』。2作目が、1981年4月の録音の『Life Line』。そして、3作目が、1984年2月の録音の『Decisions』。この3作がお気に入りである。
今日は、この中から、1984年2月の録音の『Decisions』(写真左)を採り上げる。アダムス=ビューレン・カルテットの9作目に当たる。ちなみにパーソネルは、George Adams (ts,vo), Don Pullen (p), Cameron Brown (b), Dannie Richmond (ds) の鉄壁の4人。
9作目なので、カルテットとしても成熟した味わいを見せた演奏となっていて、どの曲を取ってみても、アダムス=ビューレン・カルテットの音である。これがまあ、感心するばかりである。カルテットとしてのまとまりが抜群。
自由度が高い、適度にアブストラクトな面をみせながらも、十分にアレンジされ、十分にリハーサルされ、しっかりと演奏全体のイメージをバンド全体で共有化した、素晴らしい即興演奏。できる限りの自由度を追求しながらも、必ず伝統のど真ん中に戻ってくる「構築美」。
アダムスのテナーは、かなりアブストラクトに振れる面が強く出て、限りなく自由に吹きまくっていて、遂には歌い出したりする。ボーカルも「楽器」の一部。アダムスは、テナーで歌い、肉声で歌う。ピューレンの十八番「こぶし奏法」は、ちょっと大人しめですが、適度に「グリグリ」しています(笑)。この「グリグリ」が趣味の良いアブストラクトさで僕は好きです。
そして、僕はこのアルバムの2曲目「"His Eye Is on the Sparrow」をこよなく愛しています。アダムスのテナーとピューレンのピアノのデュオ。朗々と歌い上げるテナー・バラード。リリカルにロマンティックに、そしてゴスペルチックに寄り添うピューレンのピアノ。息をのむほどの素晴らしいバラード演奏。至福の4分28秒。
良いアルバムです。ハードで時にフリーキーになる瞬間がありますが、これも適度な度合いで納めて、基本はメインストリームなジャズです。聴き易く、自由度の高い即興演奏。このアルバム、アルバム・ジャケットが何種類もあるんで困るんですが、僕は、写真左のものが馴染みです。
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