引き締まった寛ぎのセッション
このブログではこれまで、ブルーノート・レーベルの諸作品に触れることがほとんど無かった。それもそのはず、何時の日か、ブルーノート・レーベル専用のアルバムご紹介ブログを立ち上げようと思っていたからだ。
しかし、ブルーノート・レーベルの諸作品については、紙本、ネット情報に溢れかえっている。様々な人達がブルーノートの諸作品について語っている。いわんや、今更、僕が特別に語る必要もなかろうと、ブルーノート・レーベル専用のアルバムご紹介ブログを立ち上げることはしばし諦めた。よって、これからは、ブルーノートの諸作品についても、このブログで折に触れてご紹介していこうと思っている。
とにかく、僕はブルーノート・レーベルの諸作品が大好きだ。ジャズを聴き始めた35年前から、ブルーノートの諸作品は折に触れて耳を傾けてきた。そんな大好きなブルーノート・レーベルの諸作品の中から、癒やしと安らぎ、寛ぎのアルバムは無いか、と思案を巡らせた。家でゆったりと耳を傾けることが出来る「これぞジャズ」って感じの盤ってどれだろう。
真っ先に頭に浮かんだのが、ブルーノートの1513番。Thad Jones(サド・ジョーンズ)の『Detroit-New York Junction』(写真左)。1956年3月13日の録音。ちなみにパーソネルは、Thad Jones (tp), Billy Mitchell (ts), Tommy Flanagan (p), Kenny Burrell (g), Oscar Pettiford (b), Shadow Wilson (ds)。タイトルから類推されるとおり、デトロイト出身のジャズメン中心に構成されたセッションである。
これがまあ、実に「玄人好み」の内容なのだ。とにかく、派手な立ち回りや大向こう張る展開は全く無い。ハイテンポでグイグイ迫るような演奏も無い。ミッド・テンポからスロー・テンポな、寛ぎと安定感のある演奏ばかりがズラリと並ぶ。しかし、その演奏は、寛ぎと安定感のある演奏の底に、玄人としての「引き締まった緊張感」がしっかりと横たわり、ジャズメンそれぞれが紡ぎ出すフレーズは内容の濃い、ハイテクニックなものばかり。
つまりは、実に「渋い内容」のセッション盤である。とにかく「渋い」。渋くても演奏のテンションは高く、そのインプロビゼーションは水準以上をいくものばかり。とっても「ジャズ」を感じることが出来る、とっても「ハードバップ」を感じることが出来る好盤である。どの曲がどうという訳では無い。収録された全ての曲が良い。
特にリーダーのサド・ジョーンズのペットが堪能できる。若き日のトミ−・フラナガンのピアノは実に心憎いフレーズを出しまくり、新顔駆け出しのケニー・バレルのギターはファンクネス漂う上質な音色が素晴らしく、当時、ベテランの域に達しつつあったオスカー・ペティフォードのベースはいつになく盛り上がりを見せ、ブンブンとフロントを煽る。シャドウ・ウイルソンのドラムは堅実。ビリー・ミッチェルのテナーは意外にも結構健闘している。
良いアルバムです。この1513番、Thad Jones『Detroit-New York Junction』は、1500番台屈指の「引き締まった寛ぎのセッション」の記録です。参加ジャズメンそれぞれの個性もふんだんに楽しめ、さらにアレンジも良好で、アンサンブルとしてのまとまりも楽しめる、実に「ジャジー」な一枚。ブルノート盤の中で「癒やしと安らぎ、寛ぎのアルバム」のイチ押しですね。
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