うわ〜っ懐かしいフュージョン
1970年代後半はフュージョン・ジャズ全盛期。日本のジャズも軒並みフュージョン・ジャズに手を染める。渡辺貞夫、日野皓正、渡辺香津美などなど、日本のジャズの中核をなすミュージシャンがフュージョン・ジャズにチャレンジし、大きな成果を挙げた。当時、優れたジャズメンは何をやっても成果を出すんだなあ、と妙に感心した。
このフュージョン・ブームに乗って、新進気鋭のミュージシャン達が表舞台にデビューしてきた。本多俊之もそんな新進気鋭のミュージシャンの一人だった。本多自身、当時は学生だったはずで、学生の身分で1978年に、デビューアルバム『Burnin' Waves(バーニング・ウェイブ)』(写真左)をリリースしたのには、同じ学生だった僕は痛く感心したのを覚えている。
この本多俊之のデビューアルバム『バーニング・ウェイブ』は、なんと、LA出身の、当時人気のフュージョン・グループだった「シーウインド」をバックに従えてのスタジオ録音盤なので、その内容が悪い筈が無い。輝く様なブラスの響き、バーカッションが効果的に絡んだリズム・セクション、爽やかな女性コーラス、そして、妙にシンセ(アープだと思う)の音が気持ち良い。
この『バーニング・ウェイブ』、全編に渡って捨て曲無し。どの曲も溌剌としていて爽やかで、聴き応え十分、雰囲気十分のフュージョン・ジャズである。そして、このアルバムで感じ入るのは、本多俊之のアルトとソプラノ・サックスの音の良さ。
ストレートに伸びが良く、管が良く鳴って、指も良く回る。テクニック十分にも拘わらず、テクニックをひけらかすこと無く、十分に抑制を効かせて吹きまくる余裕あるブロウ。
本多に関する記事を読んでいて、なるほどなあ、と合点のいく記事があった。「そもそも、本多俊之は自己のブログで1972年、中学3年の時チック・コリアの『リターン・トゥ・フォーエヴァー』(ECM)のジョー・ファレルに衝撃を受けてソプラノを始めた」と語っている。
なるほどなあ、ジョー・ファレルかあ。なるほどなあ、リターン・トゥ・フォーエヴァーかあ。確かに、このデビューアルバム『バーニング・ウェイブ』の本多のプレイを聴いていると合点がいく。ジョー・ファレルね。なるほど、実に筋が良い、というか、実に我々の世代っぽくて良い。
この『バーニング・ウェイブ』は、僕の学生時代、ヘビー・ローテションの一枚でした。特に、車に乗っての古墳調査、奈良路や飛鳥路を疾走する際、この『バーニング・ウェイブ』はカーステから必ずといいほど、流れていました(笑)。どの曲も溌剌としていて爽やか、春夏秋冬、「いにしえの道」を爽やかに疾走するにピッタリの雰囲気でした。
実はこのアルバム、カセットで持っていたんですが、5年ほど前、カセットを全て整理した時に、併せて捨ててしまったので、未所有の状態でした。最近、iTunesストアを徘徊していて、偶然見つけました。思わず「うわ〜っ懐かしい」と叫んで、思わず「ポチッ」とな、です(笑)。
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