« 2012年12月 | トップページ | 2013年2月 »

2013年1月の記事

2013年1月31日 (木曜日)

アルト大集合の「企画盤」

ジャズは「即興の音楽」なので、あまりレーベルやプロデューサーが意識しお膳立てし、周到に準備された企画盤は、概して面白くない。しかも、困ったことに、この「企画盤」の類は、日本のジャズ・レーベルに多い。これには「閉口」の一言。

さて、そんな僕に取って評判の悪い「企画盤」ではあるが、時たま、そんな「企画盤」でも、なかなか聴かせてくれる盤もある。今回、出会った盤もそんな「企画盤」だった。日本語タイトルだけ見ると、僕としては絶対に触手が伸びないのだが、パーソネルを見て、これはもしかしたら当たりかも、と思って、即入手。

その日本語タイトルは『アルト伝説』(写真)。英語のタイトルは『Alto Summit』。日本語に訳して、なんで「伝説」になるのかが不明(笑)。この日本語のタイトルは、かなりセンスが無い。同じ日本人として、ちょっと恥ずかしい(笑)。

そんな『Alto Summit』、ちなみにパーソネルは、Phil Woods (as) Antonio Hart (as) Vincent Herring (as) Reuben Rogers (b) Carl Allen (ds) Anthony Wonsey (pf)。
 
アルトの巨匠フィル・ウッズを筆頭に、キャノンボール・アダレイの再来とされる二人のアルト奏者、ヴィンセント・ハーリングとアントニオ・ハートの合計3人のアルト奏者がフロントを張っている。1995年6月の録音。

これは、ちょっと「買い」でしょう。フィル・ウッズは言うに及ばず、ヴィンセント・ハーリングとアントニオ・ハートでっせ。しかも、バックのリズム・セクションもなかなかのメンバー。フロント良し、リズム・セクション良し、これは、企画盤でありながら、かなり「触手が伸びる」。 
 

Alto_summit

 
収録された曲もこれまた魅力的。ハードバップで小粋なスタンダード曲がズラリと並ぶ。僕的には、5曲目の「Autumn in New York」が入っているところが堪らない。この「Autumn in New York」は大好きな曲で、この曲が入っている盤は、基本的に「なんでも通し」(笑)。ちなみに、収録曲は以下の通り。

1. Blue Minor
2. Summer Knows (Theme from Summer of '42)
3. Minority
4. Stars Fell on Alabama
5. Autumn in New York
6. All the Things You Are
7. Song for Sass
8. God Bless the Child 

企画盤ではありながら、メンバー全員、結構ノリノリで演奏していて、アルバム全編に渡って溌剌としているところが実に良い。アルトの音も良く録れており、肉声の楽器と言われるサックス。そんなサックスの中で、ややキーが高めアルト・サックス。高速で吹きまくられると、ちょっと五月蠅くなるが、そこは十分心得た感じで、腹八分目の余裕を持ったブロウがとても良い雰囲気。

アルトが3本あるので、テーマ部でユニゾン&ハーモニーの展開で可能となっており、実際、このアルト3本のユニゾン&ハーモニーは、この企画盤での「聴きもの」となっている。ウッズ、ハーリング、ハート、それぞれのインプロビゼーションは個性が豊かで、決して被らない。バリエーションに富むインプロビゼーションは聴いていて楽しい。

意外と良い内容の「企画盤」だと思います。日本のレーベルであるビデオアーツの企画盤なのとタイトルの日本語訳で、まずは「どん引き」して触手が伸びないのですが、パーソネル期待で入手して正解でした。「煙と汗」的な熱気溢れるジャズではありませんが、良く準備され、良く整った、聴いていて楽しい佳作だと思います。たまにはこういう盤を聴き流すのも一興かと・・・。 

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2013年1月30日 (水曜日)

うわ〜っ懐かしいフュージョン

1970年代後半はフュージョン・ジャズ全盛期。日本のジャズも軒並みフュージョン・ジャズに手を染める。渡辺貞夫、日野皓正、渡辺香津美などなど、日本のジャズの中核をなすミュージシャンがフュージョン・ジャズにチャレンジし、大きな成果を挙げた。当時、優れたジャズメンは何をやっても成果を出すんだなあ、と妙に感心した。

このフュージョン・ブームに乗って、新進気鋭のミュージシャン達が表舞台にデビューしてきた。本多俊之もそんな新進気鋭のミュージシャンの一人だった。本多自身、当時は学生だったはずで、学生の身分で1978年に、デビューアルバム『Burnin' Waves(バーニング・ウェイブ)』(写真左)をリリースしたのには、同じ学生だった僕は痛く感心したのを覚えている。

この本多俊之のデビューアルバム『バーニング・ウェイブ』は、なんと、LA出身の、当時人気のフュージョン・グループだった「シーウインド」をバックに従えてのスタジオ録音盤なので、その内容が悪い筈が無い。輝く様なブラスの響き、バーカッションが効果的に絡んだリズム・セクション、爽やかな女性コーラス、そして、妙にシンセ(アープだと思う)の音が気持ち良い。

この『バーニング・ウェイブ』、全編に渡って捨て曲無し。どの曲も溌剌としていて爽やかで、聴き応え十分、雰囲気十分のフュージョン・ジャズである。そして、このアルバムで感じ入るのは、本多俊之のアルトとソプラノ・サックスの音の良さ。
 

Burnin_waves

 
ストレートに伸びが良く、管が良く鳴って、指も良く回る。テクニック十分にも拘わらず、テクニックをひけらかすこと無く、十分に抑制を効かせて吹きまくる余裕あるブロウ。

本多に関する記事を読んでいて、なるほどなあ、と合点のいく記事があった。「そもそも、本多俊之は自己のブログで1972年、中学3年の時チック・コリアの『リターン・トゥ・フォーエヴァー』(ECM)のジョー・ファレルに衝撃を受けてソプラノを始めたと語っている。」

なるほどなあ、ジョー・ファレルかあ。なるほどなあ、リターン・トゥ・フォーエヴァーかあ。確かに、このデビューアルバム『バーニング・ウェイブ』の本多のプレイを聴いていると合点がいく。ジョー・ファレルね。なるほど、実に筋が良い、というか、実に我々の世代っぽくて良い。

この『バーニング・ウェイブ』は、僕の学生時代、ヘビー・ローテションの一枚でした。特に、車に乗っての古墳調査、奈良路や飛鳥路を疾走する際、この『バーニング・ウェイブ』はカーステから必ずといいほど、流れていました(笑)。どの曲も溌剌としていて爽やか、春夏秋冬、「いにしえの道」を爽やかに疾走するにピッタリの雰囲気でした。

実はこのアルバム、カセットで持っていたんですが、5年ほど前、カセットを全て整理した時に、併せて捨ててしまったので、未所有の状態でした。最近、iTunesストアを徘徊していて、偶然見つけました。思わず「うわ〜っ懐かしい」と叫んで、思わず「ポチッ」とな、です(笑)。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2013年1月28日 (月曜日)

ハービー・ハンコックの後継者

Robert Glasper(ロバート・グラスパー)と言えば、ジャズやゴスペル、ヒップホップ、R&B、オルタナティブなロックなどのエッセンスを取り入れた革新的なスタイルで注目されている新進気鋭のピアニスト。1978年4月6日生まれなので、今年で35歳。いわゆる「中堅ミュージシャン」的な年齢になる。

ロバート・グラスパーについては、昨年の2月にリリースされた『Black Radio』が優れたアルバムとしてお勧め。昨年の6月29日の当ブログでご紹介している。この『Black Radio』には、ジャズをベースとした、新しい「音の融合」を強く感じます。

さて、そんなロバート・グラスパーのアルバムをもう一枚、ご紹介したい。Robert Glasper『Double Booked』(写真左)。グラスパーが2009年にリリースした作品で、Blue Noteからの3枚目のアルバムになります。

このアルバムのタイトルが「Double Booked」。このタイトルの通り、2つのセッション・セットの演奏を併せた構成になっています。前半は、Vicente Archer (b), Chris Dave (ds)とのトリオ、後半は、Derrick Hodge (b), Chris Dave (ds) のリズム・セクションに、Casey Benjamin (sax), Bilal (vo), Mos Def (vo)が加わったセッション。

前半部は、ハービー・ハンコック風の新主流派的な響きから、デビット・ベノワ風のフュージョン印象派的な響きが中心なコンテンポラリー・ジャズ。これがなかなかに聴かせてくれます。音の底に、しっかりとモダン・ジャズの存在を感じさせてくれる、意外と硬派なコンテンポラリー・ジャズです。
 

Double_bookend

 
6曲目に、セロニアス・モンク作の『Think Of One』をさり気なく収録されているところが「ニクイ」ですね。なかなか聴かせてくれます。 

後半部は、打って変わって、クラブ・ジャズ〜ヒップ・ホップ的な演奏に早変わり。昨年の優秀作『Black Radio』に通じる、ジャズ〜ソウル〜ファンク〜ヒップ・ホップの融合。今までありそうで無かった、グラスパー独特の個性。

1970年代後半、ハービー・ハンコックがチャレンジした、懐かしの「ボコーダー」の響きが新しく響く。ハービー・ハンコックの「後を継ぐ者」として、類い希なセンスを感じる。シンセサイザーなど、エレピ系鍵盤楽器の使い方もセンスが良い。

前半部、後半部、どちらにも「ジャズにおける新たな進化」を感じることが出来ます。どちらのアプローチを聴いても、強く感じる印象は「ハービー・ハンコックの後継者」。マイルス〜ハービーが追求してきたブラック・ミュージックの融合。21世紀に入って、新たな展開、新たな成果を見ることになった感じで、なんだかワクワクする。

今までありそうで無かった「融合」の成果。ジャズの懐の深さ、許容量の広さを再認識させてくれる、実に聴き応えのあるコンテンポラリー・ジャズです。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

 

2013年1月27日 (日曜日)

1970年代初頭のハードバップ

1970年代のジャズは、電気楽器を交えたクロスオーバー&フュージョン一色という印象が強いが、どうして、そんなクロスオーバー&フュージョンな雰囲気を踏まえつつ、純ジャズ系のハードバップもしっかりと生き残っていた。

CTIレーベルと言えば、1960年代後半から1980年初頭辺りまで、クロスオーバー&フュージョン・ジャズの代表的なレーベルとして一世を風靡したレーベルだが、このCTIが、当時、レーベル所属のミュージシャンを集めて、CTIレーベルの認知度向上を狙いに、Hollywood Palladiumにてコンサートを開いている。

このコンサートのライブ音源が、CTI All Stars『California Concert: Hollywood Palladium』(写真)。1971年7月18日の録音。ちなみにパーソネルは、Freddie Hubbard (tp), Hank Crawford (as), Stanley Turrentine (ts), Hubert Laws (fl), George Benson (g), Jonnny Hammond (org,elp), Ron Carter (b), Billy Cobham (ds), Airto(per)。

パーソネルを見渡すと、ハードバップ時代からのベテランとクロスオーバー初期に台頭してきた期待の若手が上手くミックスされた、今から振り返ると、そうそうたるメンバーで構成されている。

時は1971年、クロスオーバー・ジャズ華やかかりし頃。当然、CTIレーベルのオールスター・メンバーでのライブなので、バリバリ、クロスオーバー・ジャズな演奏が繰り広げられていると思いきや、これがまあ、どちらかと言えば、ハードバップの範疇でのソウル・ジャズやファンキー・ジャズに近い演奏なのだから面白い。
 
 
Cti_california_conceet
 
 
確かに、ビリー・コブハムやアイアートが叩き出すリズム&ビートは8ビートが中心なので、4ビート中心のソウル・ジャズやファンキー・ジャズとは趣きは異なるが、ロックを聴き馴れた耳にも馴染む演奏で、これはこれで、なかなか格好良いライブ演奏です。

フロントは、トランペットのハバード、アルトサックスのクロウフォード、テナーサックスとタレンタインと、ハードバップ時代からのベテランで固められいて、いずれも、演奏テクニック的にも一番充実している時代で、素晴らしく格好良いブロウを繰り広げています。とにかくファンキーで上手くて決めるところはバシッと決めて、格好良いことこの上ないフロント隊です。

当時、若手ギタリスト、ジョージ・ベンソンも凄く良い。新しい時代の新しいジャズ・ギターの響きをプンプンと振り撒きながら、渋いバッキングを聴かせてくれます。栴檀は双葉より芳し、とはこのことですね。フルートのヒューバート・ロウズも熱演。ストレートでフュージョンな響きのフルートは、当時、個性的でした。 

ロンのベースがちょっとアンプ増幅されたブヨブヨのベース音で、ピッチも少しずれていてガッカリですが、耳触りになる程ではないので我慢我慢。1970年代、クロスオーバー&フュージョン時代のロンのベースって、押し並べてこんな感じのベースで、あまり良い印象がありません(苦笑)。

僕が所有する盤は、CTIレーベル創立40周年記念盤として、LP時代よりも3曲増量の2枚組仕様で、トータルの演奏時間が2時間を越える「大盛り」な内容です。どの曲も演奏のレベルは高く、当時のクロスオーバー&フュージョンな雰囲気を踏まえた、純ジャズ系のハードバップな演奏を心ゆくまで楽しめます。

ジャズの歴史上、重要な位置付けを占めるライブ盤ではありませんが、クロスオーバー&フュージョン時代のハードバップ的な演奏を堪能するには欠かすことの出来ないライブ盤です。なかなか良い感じの盤で、意外と愛聴盤的に時々、CDトレイに載せては聴いています。
 
 
 
大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 
 
Never_giveup_4
 
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2013年1月26日 (土曜日)

やっと満足する音で聴けた・・・

我がバーチャル音楽喫茶『松和』は、ジャズがメインであるが、その傍らで、70年代ロックや1970年代Jポップも守備範囲としている。

特に、70年代ロックについては、僕がリアルタイムで体験した70年代ロックの「自分の好み」のアルバムをマニアックに蒐集している。まあ、高校〜大学時代に貧乏で買えなかったアルバムを、社会人になってからの財力をバックに「大人買い」している感じですね(笑)。

とにかく、高校〜大学時代は貧乏だったので、なかなか思うようにアルバムが買えない。大人になって、社会人としての財力をバックに「大人買い」を始めたが、最初の頃は、学生時代に欲しくても買えなかったアルバムを手に入れ、その演奏を、その音を聴くだけで満足していた。 

が、1990年代に入った頃、やっとリーズナブルな価格で、70年代ロックのアルバムがCDでリイシューされはじめたのだが、そのCDの音を聴くと、どうも具合が良くない。70年代ロックをリアルタイムで体験した頃は、当然「LPレコード」の時代。この時、体験した音とCDから出てくる音がどうも違う。

聴くステレオセットも、学生時代のチープなステレオでは無く、それなりに投資をして、オーディオ的にもまずまず満足がいくものである。そのまずまずのステレオセットで聴くCDの音が、学生時代のチープなステレオで聴くLPになんだか負けているのだ。

まあ、その理屈はそれから、また、どっぷりとオーディオの世界に填まって、なぜ当時のCDの音がLPの音に劣るのか、その理屈も判る様になった。そして、CDの世界でも、21世紀に入った頃から、70年代ロックのアルバムについても、デジタル・リマスターを施したCDリイシューがなされるようになった。これで、かなり音質は改善され、LP時代の音にかなり近づくことになる。

しかし、そのデジタル・リマスターという作業も、いろいろとテクニックや手法があって、変にリマスターすると、LP時代のオリジナルな音とは似ても似つかない音になってしまうという弊害も生まれた。僕の考えは、70年代ロックの音の基準はやはりLP時代のアナログチックな音が基準で、やはり、限りなくアナログチックな音に近づかないと、耳が落ち着かない。
 

Leadies_and_gentleman

 
デジタル・リマスターを施しても、なかなか音質改善されないアルバムも幾つかある。僕にとって、長年、その「なかなか音質改善されないアルバム」の筆頭が、70年代ロックの代表的ジャンルであるプログレッシブ・ロックにおける体育会系バンド、Emerson, Lake & Palmerのライブ盤『Welcome Back My Friends to the Show That Never Ends... Ladies and Gentlemen』(写真)である。

このアルバムは難物で、もともとマスターテープ自体の音質が問題とされる。それでも、LP時代はそれなりに、アナログチックな厚みのある音で再生されていた記憶がある。特に、エマーソンのムーグ・シンセの音、レイクのベースとエレギ、そして、パーマーのスネア、いづでもなかなかライブ感豊かな音で再生されていた想い出がある。

しかし、CDになってからこれがまあ、なんとも痩せたチープな音で出てきたから、ガッカリである。最初のCDを入手してからも、LPを聴いていた位だ。21世紀になって、デジタル・リマスター盤が出始める。しかし、いずれの盤も一長一短。決め手に欠ける状態が続いた。

僕が持っている『Ladies and Gentlemen』のCDは、全部で6種類。1990年辺りにでたワーナーの日本盤から始まり、英Castle/Sanctuary盤、米Rhino盤、米Victory盤、そしての日本におけるビクターのK2リマスター盤とK2HDリマスター盤。いずれも決め手に欠けるのだが、敢えて選ぶのならば、英Castle/Sanctuary盤が一番耳に馴染む。音圧は低めだが、LP盤に近い音質と音のバランスが良い。

そして、最近、PCオーディオ+ハイレゾ音源という世界に填まり、ある日ふと思い立った。この英Castle/Sanctuary盤の『Ladies and Gentlemen』をMacにリッピングして、PCオーディオで再生したらどうなるか。再生環境はMacBook Proにaudirvana plusという再生ソフトを入れて、USBーDACはパイオニアN-50を活用し、既存のステレオ環境でアナログ再生している。

これがまあ、大当たり(笑)。USBーDACでアップサンプリングした効果とパイオニアN-50の持つ「Hi-bit 32 Audio Processing」の効果が相まって、実にアナログチックな再生が出来た。うへ〜、これは嬉しい。音の伸び、太さ、奥行き、艶など、だいぶLP時代の音に近づいた。これはいける。

やっと満足する音で聴けた、Emerson, Lake & Palmerのライブ盤『Welcome Back My Friends to the Show That Never Ends... Ladies and Gentlemen』。1990年代初めに最初のCDを入手して以来、20年余り、課題となっていた事がやっと解決した。技術の進歩とは尊いものである。PCオーディオの環境が手に入って、やっと念願かなった気分である。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 
 

2013年1月25日 (金曜日)

一度だけの「素晴らしい出会い」

ジャズのパーソネルの組合せは、基本的に演奏面における相性で決まるのが大半だろう。ジャズの演奏に対するスタイル、嗜好、考え方など、演奏の方向性についての相性が良いメンバーをリーダーは集めるのだろうと推察される。

しかし、中には、ジャズメン同士の演奏の方向性についての相性はともあれ、共演するジャズメン同士の意向はさておき、我々、聴く側だけから感じる「演奏する音の相性」がとびきり心地良い組合せというのを幾つか経験してきた。

例えば、僕の一番のお気に入りピアニストの一人、チック・コリアと、これまた僕の一番のお気に入りのギタリストの一人、パット・メセニー。このコリアとメセニー、ジャズにおけるスタンス、アプローチ、個性とも、僕から見ると実に良く似ている。

純ジャズからフュージョン・ジャズまで、多様なスタイルに対応し、どの演奏スタイルにおいても素晴らしい成果を残しているところや、様々なジャズメンとの「他流試合」を実施していて、共演者との相性はとても柔軟なところや、アコースティックからエレクトリックまで、多種多様な楽器を操ることができるところ等々、とにかく僕から見ると、コリアとメセニーは良く似ている。

しかし、相性と出会いというのは面白いもので、この僕から見ると「似たもの同士」で「相性抜群」なコリアとメセニーの共演は、僕が知る限り、スタジオ盤ではこの一枚しかない。

そのスタジオ盤とは、 Gary Burton, Chick Corea, Pat Metheny, Roy Haynes, Dave Holland『Like Minds』(写真左)である。ちなみにパーソネルを改めて列挙すると、Gary Burton (vib), Chick Corea (p), Pat Metheny (g), Roy Haynes (ds), Dave Holland (b)。1997年の12月15〜17日の録音。
 

Like_minds

 
この盤のリーダーについては、ヴァイブのバートン(写真右)から、ピアノのコリア、ドラムのヘインズ、ベースのホランド、4人の名前が並列して列挙されているので、4人の共同リーダー作と解釈できる。まあ、バートンが一番先頭に来ているので、バートンが便宜的なリーダーとしてとりまとめ役を担ったのだろう。

この演奏は、コリアとバートンのデュエットを聴き親しんだ耳には実に新鮮に響く。ドラムとベースが入ることによって、リズム&ビートについては、ドラムのヘインズ、ベースのホランドに任せることが出来て、コリアとバートンは、インプロビゼーションに力点を置いている風。デュエットの演奏よりも、グループサウンズ的にこなれた、流麗なインプロビゼーションが素敵だ。

そして、このアルバムの聴きどころは、現代ジャズ・ギターの雄、パット・メセニーの参加である。もともとメセニーの若かりし頃は、ヴァイブのバートンに師事して、バートンのグループに参加していたこともあって、バートンのヴァイブとメセニーのギターの相性はとても良い。この組合せについては、以前から評判が高いので、安心して聴くことができる。

加えて「目から鱗」だったのは、コリアのピアノとメセニーのギターの相性の良さ。このアルバムが録音された1997年まで、共演が無かったのが不思議。もともと両者とも「勘の良い」演奏家である。初めての手合いでも、しっかりと演奏を合わせることが出来るのだが、その演奏の合わせ方が、何度も何十度もセッションを重ねた様な「ピタッと合った」雰囲気なのだ。このコリアとメセニーの共演を聴くだけでも、このアルバムは価値がある。

でも、演奏家同士の相性の面白いところは、このアルバムのセッションの後、コリアとメセニーが共演を重ねたか、と言えばそうではない。この後、この二人がセッションで共演した話を僕は知らない。まあ、演奏する側が感じる相性と、我々、その演奏を聴く側が感じる相性とは、その解釈が大きく異なるところがあるんだろう。

でもなあ、コリアとメセニーの共演、もう一度、聴きたいなあ〜。ビル・エバンスとジム・ホールの様に、チック・コリアとパット・メセニーで、難物とされるピアノとギターのデュオに挑戦して欲しいなあ。コリアとメセニーであれば絶対に素晴らしい成果を出してくれると思うんだがなあ。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

保存

2013年1月23日 (水曜日)

ロックな『CREATION』を聴く

1970年代前半〜中盤にかけて、日本では、ちょっとした「日本人ロック」のブームだった。欧米の商業ロックに刺激を受けて、日本人自らが日本人の感性でロック・バンドを立ち上げた。そんな中に「クリエイション」というバンドがある。

クリエイションは、ブリティッシュ・ロックの雄、エリック・クラプトンらのホワイト・ブルースに傾倒したギタリスト・竹田和夫を中心に1969年に結成されたブルース・クリエーションを前身としている。竹田は、このブルース・クリエイションをアルバム一枚で解散。単身、ロンドンに渡り、武者修行を重ねた竹田は、英国から帰国後、1974年にクリエイションを結成。

結成当時のメンバーは、竹田和夫 (g)、飯島よしあき (g)、松本茂 (b)、樋口晶之 (ds)の4人。ブルージーなツイン・ギターと走り抜けるような疾走感が特徴のバンドだった。日本では珍しいというか、振り返ってみると唯一無二の存在でしたね。

クラプトンらのブルースロックに傾倒しているという触れ込みでしたが、竹田+飯島でなるクリエイションのツインギターの印象の方が強くて、ブルースロックというよりは、当時、ブリティッシュ・ロックで人気を博していた「ウイッシュボーン・アッシュ」のコピー・バンドという印象の方が今でも強い。今回は、そんなクリエイションのファーストアルバムについて語ります。

さて、このデビュー盤『CREATION』(写真左)、1975年のリリースになる。冒頭のイントロは「なんだなんだ、グループサウンズか〜」とのけぞってしまう様な、ノスタルジックなフレーズ。この一曲目『YOU BETTER FIND OUT』の、1960年代グループ・サウンズ風なレトロな響きの前奏に失望してはならない。間奏の小粋なツイン・リードまで、「カタカナ英語」のボーカルにもジッと耐えることだ。
 

Creation_1

 
当時、日本のバンドが英語で歌うのが流行っていた時代で、そのなかでも、クリエイションは、結構格好良かった。彼らのルーツは、エリック・クラプトンらのホワイト・ブルース。聴きこんでいくと、それが手に取るように判る。ちょうど、1970年代前半のブリティッシュ・ロック。ブルースとスワンプとが、まぜこぜになって、そして、適度にレイドバックしている。

そして、どう聴いても、ウイッシュボーン・アッシュのパクリとしか思えないツイン・リード。でも、どれもが、完全コピーでは無く、十分にオリジナリティーを感じさせるのが、このバンドの良いところ。当時は、このツイン・リードが堪らんかったなあ。そして、竹田のギタ・テクは凄く格好良かった。ギターバンドの極みである。

ところどころ、なんとなく歌謡曲風していて、なんとなく、1960年代後半のグループ・サウンズ風のフレーズが見え隠れしたりする。これって、当時の日本人ロック独特の、日本人ロックの個性である。リアルタイムで聴いていた若かりし頃は、これがなんとなく気恥ずかしかったんだが、今では、これが「日本人ロックの個性」と評価できる。うん、年を取るのも悪くないなあ(笑)。

しかし、「カタカナ英語」のボーカルは弱い。ジャズ・ボーカルと同様に、やはり発音は重要やね。ホワイト・ブルースを踏襲するなら、もう少し、発音の上手いボーカルを配しておればと悔やまれる。

「俺は所詮Yellowだけど、この国にだって、Bluesはあるんだぜ」。このアルバムを締めくくる曲『BLUES FROM THE YELLOW』にはそんなフレーズが出てくる。これには、当時、いたく感動した。今では、「そんなにツッパらなくても良い、日本人の音には日本人の音なりに、他の国に真似できないクールな面がある」と思うんだが、当時は、外国の音に対して、密かな「劣等感」があったからね。

全編通じて、今の耳で聴いても、良い出来のロック・アルバムだと思います。1970年代Jポップ者の方々に、是非、一度は聴いて欲しいアルバムのひとつです。特に、ギターバンドが好きな方にはお勧め。結構「はまります」。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2013年1月22日 (火曜日)

久保田早紀『夢がたり』を聴く

我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、1970年代の「Jポップ」も守備範囲である。控えめだが、1970年代の日本のロック、ニューミュージックのマニアでもある。

大震災以降、部屋中に散乱したCDを収納しなおして、PCオーディオとしてCD音源をリッピングして、1970年代を中心とした日本のロックなどの「Jポップ」のiTunesライブラリの整備が終わった。第一線から退いたiPhone4にアップして、Jポップ専用ネット・プレイヤーとして活用するつもり。ジャズのアルバム鑑賞の「耳休め」に、70年代ロックに加えて、70年代Jポップの音源が加わったことになる。

今日は朝から冷たい雨。リハビリ・ウォーキングに出ることも出来ず、朝から、入院していた頃に溜まった雑誌の整理の傍らで、久し振りに、70年代Jポップのアルバムに耳を傾けた。選択したアルバムは、久保田早紀の『夢がたり』(写真左)。あの永遠の名曲「異邦人」が収録された、久保田早紀のファースト・アルバムである。

『夢がたり』は、1979年12月のリリースになる。名曲「異邦人」は、シングルとして、アルバムに先行して1979年10月1日にリリースされている。まあ、当時は、まずシングル曲を発売して、そのシングル曲が当たれば、そのシングル曲をベースにアルバムを制作するというのが常態だったので、シングル曲の発売→アルバムの発売という順番は当時としては当たり前。

僕は、この『夢がたり』については、1979年12月、発売と共に友人に買わせて、ダビング音源として入手している。実は、当時、僕はこの『夢がたり』の内容については、あまり高い評価をしていない。曲毎のアレンジが耳に馴染まないというか、薄っぺらというか、どうも、その音作りそのものが気に入らなかったようだ。
 

Yumegatari

 
が、しかし。今の耳で聴くと、この『夢がたり』というアルバムは名作と言える。1979年当時、耳に馴染まなかったアレンジは、今で言う「ワールドミュージック的な」、若しくは「エスニックな」アレンジで、中近東から南欧に至る、加えて、ボサノバなど南米のルーツミュージック的な要素を織り交ぜた、当時としては実に斬新な音作りがなされている。音の印象としては「オリエンタル+中東風」がベース。

そんな「ワールドミュージック的な」、若しくは「エスニックな」アレンジに乗って、久保田早紀の透明度の高い、伸びの良いボーカルが豊かなエコーと共に響き渡る。ピアノ、ギター、ケーナ、ダルシマなどの楽器が全て、「ワールドミュージック的な」、若しくは「エスニックな」響きを宿している。ドラムを中心としたリズム&ビートもちょっと複雑なパターンを織り交ぜていて、なんとなくエスニックな雰囲気。

面白いことに、このアルバムを通して聴くと、実はシングルとして先行発売された「異邦人」が、ちょっと異質なことに気が付く。「ワールドミュージック的な」、若しくは「エスニックな」アレンジを施してはいるが、弦を入れたり、伴奏の楽器を重ねて、厚みを出したりで、いわゆる「シングル曲」としての「重厚なアレンジ」になっていることが原因だろう。アルバムに収録された他の曲については、そのアレンジについては意外とシンプルにまとめられている。

しかし、良いアルバムですね〜。「ワールドミュージック的な」、若しくは「エスニックな」アレンジをベースに、「オリエンタル+中東風」な音の印象で統一された、いわゆる「トータルアルバム」として、実に良く出来たアルバムだと思います。とても丁寧に作り込まれたアルバムという印象です。録音も良く、70年代Jポップのマニアとしては、マスト・アイテムでしょう。

このシングル「異邦人」でピアノを弾いているのは、久保田早紀本人では無く、今は亡き、故羽田健太郎さんとのこと。この曲はCMでも使用されていて、確かサンヨーのカラーテレビのCMだったと記憶しています。なんだか懐かしいですね〜。ちなみに、この「異邦人」は、当時、我が大学の史学研究室のテーマソングでもありました。コンパの度に合唱してました(笑)。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2013年1月21日 (月曜日)

ミルト・ジャクソンに駄作無し

ジャズのヴァイブ奏者は数少ない。逝去したなお第一人者として君臨するのは、やはり、ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)だろう。1999年10月に逝去しているので、ミルトが鬼籍に入ってから、早13年が経過したのであるが、ミルトの残した成果は時の流れに色褪せることは無い。

ミルトのヴァイブは大好きなので、時折、思い出したように彼のリーダー作を引っ張り出して来ては聴いている。ミルトはMJQを離れてプレイする場合は、とてもファンキーでポップになる。聴いていて楽しくなるような、ウキウキするような、ポップなアルバムが多い。

そんなポップなアルバムの中で、今日は、Milt Jackson『Vibrations』(写真左)を選んで「ながら聴き」。ビッグバンド様な響きが魅力の大編成のセッション2つと、通常よくあるクインテットの演奏にボーカルコーラスを加えたセッションと、1960年から1961年にかけて行われた3つのセッションをカップリングしている。正確に言うと、1960年2月23日、2月24日、1961年3月14日録音の寄せ集めになる。

アトランティック・レーベルのアルバムなので、パーソネルを眺めても、意外と知らないジャズメンが要所要所を担当していたりする。この寄せ集めた3つのセッションを通して、継続的にサポートしているのは、ピアノのトミー・フラナガンとドラムのコニー・ケイ。

そして、ベースには、大編成のセッションには、アルヴィン・ジャクソンが、クインテット編成のセッションには、ジョージ・デュヴィヴィエがそれぞれ担当している。とまあ、要のリズム・セクションには、ハードバップ時代からの旧知の手練を配しているところは、さすがミルト・ジャクソン、手抜かり無し、というところかな。
 

Vibrations

 
3つのセッションの寄せ集めではあるが、それなりに演奏の雰囲気は統一されている。つまりは、ミルト・ジャクソンのヴァイブの個性は、バックの編成やメンバー構成などに左右されることがない、一貫して「ファンキーでポップ」なところが、この統一感を強くバインドしているということだろう。

どの演奏も聴いていて楽しいし、リラックスして聴くことが出来る。上質のイージーリスニング・ジャズと言えないことも無い。タイトル曲は混成コーラスとの共演であり、後の時代に流行する「ソウル・ジャズ」の走りの様な響きが魅力的。ミルトは常に「時代の好み」というものを意識していたのだろう。クラブ・シーンでも人気のトラックというもの頷ける。

アトランティック・レーベルに残したミルトのソロ・リーダー作は結構な数があるのだが、なぜかマイナーであまり話題に上ることが無い。が、どのアルバムも聴いて見ると、なかなかの内容、なかなかの水準を維持した佳作揃いなのだ。う〜ん「ミルト・ジャクソンに駄作無し」ですね〜。

ちなみに、このアルバム・ジャケット、ちょっと変で趣味の悪そうなデザインなのですが、これって、この時期にアトランティック・レーベルが何枚かやった、写真のから、イズラエルという画家が抽象画を描くという趣向なのです。

他にジョン・コルトレーン、ソニー・スティット、チャール・ミンガスがこの「ちょっと変で趣味の悪そうなデザイン」の被害に遭っています(笑)。 

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 
 

 
                                       

 

2013年1月20日 (日曜日)

動くマイルス、動くクインテット

今日は午後から風が強くて、まるで台風が来た時のよう。これではリハビリの散歩どころではない。今日の午後は、ゆっくりと昼寝をしつつ、資料の整理や録画した番組を観たりで、ゆったりと「仕事のリハビリ的な」時間を過ごした。

そんな録画した番組の中に、ジャズのライブ映像があった。WOWOWで2013年1月8日の21時から放映された「マイルス・デイヴィス・クインテット ライブ・イン・ヨーロッパ 1967」の録画である。

番組は、1967年10月31日、ストックホルム(スウェーデン)の「Konserthuset」と、11月7日、カールスルーエ(西ドイツ・当時)の「Stadthalle」でのライブで、どちらもテレビ番組用に収録されたもの。

ちなみに、この時のマイルス・クインテットのパーソネルを改めて並べておくと、Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。1960年代マイルスの「黄金のクインテット」である。

CD音源も良いが、たまには映像による「動くジャズメン」を観るのも良い。どんな格好で、どんな姿勢で、どんな指捌きで、どんな吹きっぷりで演奏しているのかが、映像では手に取るように判るので、これはこれで観ていてとても楽しい。とにかく、一流ジャズメンの至芸を動画で追体験することが出来るのだから、楽しいことこの上ない。
 

Miles_quintet

 
このマイルス・クインテットの動画もそうで、動くマイルス、動くショーター、動くハービー、動くロン、動くトニーが、とにかく素晴らしい。

演奏的にもなかなか充実した映像で、フリー一歩手前極限までいった、限りなく尖った演奏では無いが、ハードバップの演奏スタイルに則りながらも、それぞれのソロは完全にモーダルな演奏が貫かれており、当時、ジャズの最先端を行くマイルス・クインテットの勇姿が確認できて楽しい。

こうやって、マイルスの演奏の映像を見ていると、やっぱりマイルスのトランペットって上手いですよね。僕がジャズ者初心者の頃、マイルスのペットは下手だ、なんていう評論もあったんですが、とんでも無い(笑)。上手いです。さすが「帝王」と冠を付けて呼ばれるだけはある。

というか、テナーのショーターも、ピアノのハービーも、ベースのロンも、ドラムのトニーも素晴らしい演奏で、マイルスを盛り立てている。いやほんと、この「黄金のクインテット」って、圧倒的に演奏が上手い(当たり前か・笑)。改めて、久し振りの動く「黄金のクインテット」の映像に接して、その偉大さを再認識しました。

たまには、ジャズ関係の動画を観るのも良いものですね。温かい部屋の中で、ちょっとした「ライブ感」を体感できて、ちょっと楽しい日曜の午後でした。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2013年1月19日 (土曜日)

プレスティッジの得意技である

昨日は、コルトレーンがサイドマンに回って、実に絵に描いた様な「ハードバップ」しているアルバムがもう一枚ある、として、Mal Waldronの『Mal-2』を取り上げた。

Mal Waldron(マル・ウォルドロン)のリーダー作『Mal-2』を取り上げてみて、そう言えば、マルの参加したアルバムで、絵に描いた様な「ハードバップ」しているアルバムが他にもあったぞ、と思い当たった。何だったかな、そのアルバムのタイトルは・・・。

実はプレスティッジ・レーベルお得意のジャズメンを適当に借り集めての「ジャム・セッション」の記録を、これまた、やっつけな編集をしてアルバムに仕立て上げた中に、そんな絵に描いた様な「ハードバップ」しているアルバムが幾つかある。

そう、マルの参加したアルバムの中で、絵に描いた様な「ハードバップ」しているアルバム、それは、The Prestige All Stars 『Interplay For 2 Trumpets And 2 Tenors』(写真左)である。アルバムのリーダーは明確に選定せず、プレスティッジ・オール・スターズとなっている。

これって、とりもなおさず、プレスティッジ・レーベルお得意のジャズメンを適当に借り集めての「ジャム・セッション」の記録であり、やっつけな編集をしてアルバムに仕立て上げた「プラスの成果」である。こういう「やっつけな」対応の中で、絵に描いた様なハードバップの素晴らしい瞬間を、さりげなく切り取って聴かせてくれるようなことを、時折、プレスティッジ・レーベルはやってくれる。

ちなみにパーソネルは、Idrees Sulieman, Webster Young (tp), John Coltrane, Bobby Jaspar (ts), Mal Waldron (p), Kenny Burrell (g), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。1957年3月22日の録音。昨日、ご紹介した『Mal-2』の2ヶ月前のジャム・背ションの記録である。
 

2tp_2ts

 
ジャズメンを適当に借り集めてのリーダーを特定しない「ジャム・セッション」なので、アレンジも参加メンバーで、適当にヘッドアレンジ風に事前打ち合わせしただけで、ほぼ、ぶっつけ本番のジャム・セッションだと推察される。
 
が、当時のハードバップの一流ジャズメンって凄い演奏能力の持ち主が集まっていたんだろう、アレンジもインプロビゼーションも、フロント楽器のソロもリズム・セクションのバッキングもかなりの水準である。

とにかく聴いていて楽しい。収録された演奏は4曲であるが、約8分〜17分のロング・プレイばかり。タイトル通り、フロント楽器に2本のテナーと2本のトランペットが陣取り、そこに、ギターが加わって、代わる代わるソロを取る。これがまあ、素晴らしいソロばかり。甲乙付けがたいソロ・パフォーマンスが延々と続く。

バックのリズム・セクションがこれまた良い。まあ、メンバーを見渡せば、ピアノにはマル・ウォルドロン、ベースは当時ファースト・コール・ベーシストだったポール・チェンバース、ドラムには、いぶし銀ドラマーのアート・テイラーと当時、最高峰レベルのリズム・セクションである。悪かろうはずがない。どころか、特に、歌伴に強いマルは素晴らしいバッキングを聴かせてくれる。

ジャズメンを適当に借り集めての「ジャム・セッション」の成果なので、所謂「偶然の成果、偶然の産物」ではあるのだろうが、即興が命のジャズとしては、時たま、この「偶然の成果、偶然の産物」の中で、プラスの化学反応が起きて、ジャズとして素晴らしい成果を残してくれることがある。これがまた、ジャズの面白いところ。

この『Interplay For 2 Trumpets And 2 Tenors』は、ジャズの歴史に名盤として名を残す様なアルバムではありませんが、絵に描いた様な「ハードバップ」しているアルバムとして、長く愛聴できる「ヘビロテ盤」として、そっと推薦したいアルバムではあります。ちょっと入手し難いアルバムかもしれませんが、頑張って入手にトライしてみてはいかがでしょう。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2013年1月18日 (金曜日)

実にハードバップなコルトレーン

短音符を敷き詰めた様に高速でテクニック豊かに吹きまくる、所謂、シーツ・オブ・サウンドなる奏法に至ったコルトレーンは実に「賑やか」。時に五月蠅すぎるかもしれない。特に、コルトレーンがリーダー作での「シーツ・オブ・サウンドな演奏」は、コルトレーンが執拗なまでに高速でテクニック豊かに吹きまくる。時と場合、時と体調によっては「どっと疲れる」(笑)。

そういう意味では、コルトレーンのテクニック豊かなブロウを楽しむには、コルトレーンがサイドマンに回ったセッションの演奏の方が良いかもしれない。コルトレーンは律儀が故にリーダーに遠慮して、コルトレーン特有の高速でテクニック豊かに吹きまくるところをグッと押さえて、演奏全体の雰囲気を壊さないように、グループ・サウンズ優先でちょっと抑制してインプロビゼーションを展開する。そんなちょっと奥ゆかしいコルトレーンに、良質な「ハードバップ」を感じる。

昨日は、コルトレーンが、ピアニスト、レッド・ガーランドのリーダー作でサイドマンに回って、絵に描いた様な「ハードバップ」な雰囲気を湛えた佳作をご紹介した。そんなコルトレーンがサイドマンに回って、実に絵に描いた様な「ハードバップ」しているアルバムがもう一枚ある。Mal Waldronの『Mal-2』(写真左)である。

1957年4月19日と5月17日の二つの録音に別れる。どちらにせよ、1957年と言えば「ハードバップ時代」ど真ん中。ちなみにパーソネルは、4月19日のセッションが、Bill Hardman (tp), Jackie McLean (as), John Coltrane (ts), Mal Waldron (p), Julian Euell (b), Art Taylor (ds)。5月17日のセッションは、John Coltrane (ts), Mal Waldron (p), Julian Euell (b)は変わらず、Idrees Sulieman (tp), Sahib Shihab (bs,as), Ed Thigpen (ds)がそれぞれ替わって入っている。

前に、Mal Waldronの『Mal-1』の評で、マル・ウォルドロンというピアニストを聴く時、彼のアレンジの才を感じる必要な無いと思う。彼のピアニストとしての個性を感じることが、一番、マルを愛でることにつながる、と書いた。確かにその通りだと今でも思ってはいるが、この『Mal-2』では、マルのアレンジがなかなか上手く填まっている。『Mal-1』では「なんだかなあ」と感じた、マルのアレンジの才が、この『Mal-2』では形になってきている。少なくとも、『Mal-1』よりは良い。聴き易いし、聴いていてちょっと楽しい。
 

Mal2

 
このアルバムでは、マルのなかなかのアレンジがあって、フロント楽器の、コルトレーンのテナーや、ジャキー・マクリーンとサヒブ・シハブのアルト、はたまたビル・ハードマンやアイドリース・シュリーマンのトランペットが、実に良い雰囲気でリラックスしつつ、心地良いテンションで吹きまくっている。フロント楽器のユニゾン&ハーモニー、そして、個々のインプロビゼーションの響き、どれをとっても「ハードバップ」の芳しき香りがプンプンする。

このアルバムでのコルトレーンのブロウは「シーツ・オブ・サウンド一歩手前」の、実にハードバップらしい、そしてコルトレーンらしいストレートで伸びのあるブロウで、様々なフレーズを吹き上げている。ハードバップの王道を行くコルトレーンのテナー演奏。このアルバムでのコルトレーンはなかなかの聴きものです。「シーツ・オブ・サウンド一歩手前」の、ハードバップの王道を行く、ストレートトーンで朗々としたフレーズを吹きまくるコルトレーンは実に魅力的です。

この『Mal-2』は、マル・ウォルドロンのリーダー作ではあるが、演奏的にはフロント楽器を愛でるハードバップ盤だと思います。コルトレーンのテナーや、ジャキー・マクリーンとサヒブ・シハブのアルト、はたまたビル・ハードマンやアイドリース・シュリーマンのトランペット、いずれの溌剌としたインプロビゼーションを繰り広げていて立派です。

このアルバムは、実に絵に描いた様な「ハードバップ」していて素敵な内容です。冒頭1曲目の「From This Moment On」の前奏からテーマ部分のフロント楽器、テナー、アルト、トランペットのユニゾン&ハーモニーを聴くだけで、思いっきり、ハードバップを感じることが出来ます。良いアルバムです。

そして、リーダーのマルには悪いのですが、こってこてにハードバップな「シーツ・オブ・サウンド一歩手前」のコルトレーンのテナーを心ゆくまで愛でることが出来る佳作です。「隠れ佳作」と言えます。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 
 

2013年1月17日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・40

ジャズの世界で人気のあるモダン・ジャズの演奏スタイルは「ハードバップ」だろう。「ハードバップ」は、アメリカ東海岸を中心に、1950年代半ばをピークに1960年代まで続いた演奏スタイルで、ソロのアドリブ演奏面において、ロング・プレイが基本を基本とし、ハードドライビングしつつ、メロディアスに洗練されたインプロビゼーションが特徴のスタイルである。

と言われても何のこっちゃ判らないのが、ジャズのややこしいところ。これは模範となる演奏を聴いて貰った方が手っ取り早い。我がバーチャル音楽喫茶『松和』において、「マスター、ハードバップでどんな演奏ですか」と問われた時に、聴いて貰うアルバムが何枚かあります。そんな「ハードバップが手に取るように判る」アルバムの一枚が、Red Garland『Soul Janction』(写真左)です。

1957年11月15日の録音。1957年と言えば、ハードバップ時代の「ど真ん中」。アルバムの全ての演奏が、ハードバップのサンプルの様な演奏です。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd(tp), John Coltrane(ts), Red Garland(p), George Joyner(b), Art Taylor(ds)のクインテット編成。テナーに若き日のジョン・コルトレーンが入っていることが目玉です。

冒頭のタイトル曲「Soul Janction」を聴くと、「ああ、これはハードバップやなあ」と思わず感嘆の溜息が漏れます。それほど、ハードバップした演奏です。曲の前半部は、ガーランドを中心とするピアノ・トリオな演奏で、ゆったりとしたテンポで、しっかりとテンション張りつつ、ジャジーでファンクネス仄かに漂う、実にコクのあるピアノ・トリオな演奏を展開しています。このピアノ・トリオな展開だけでも、十分にハードバップしていますね。
 

Soul_janction_40

 
そして、曲の後半部に入るや否や、テナーのコルトレーンがブワーッと入ってきて、個性溢れるインプロビゼーションを展開するところなんざあ、鳥肌モノ。音符を敷き詰めるように高速に吹き上げる「シーツ・オブ・サウンド」は控えめに、朗々とテナーを吹き上げていくコルトレーンは絶好調。すぐにコルトレーンと判る個性、そしてハイテクニック。やっぱり、コルトレーンって凄いですね。

この冒頭のタイトル曲「Soul Janction」の曲全体の所要時間が15分30秒。ハードバップの前の流行の演奏スタイルだった「ビ・バップ」が、1曲当たり3分程度だったことを考えると、かなりのロング・プレイです。このロング・プレイの中で、しっかりとアレンジされた曲展開と、それぞれのジャズメンのインプロビゼーションが心ゆくまで展開される。これぞ「ハードバップ」です。

2曲目以降の曲も、1曲当たり6分30秒から7分30秒程度の、やはり「ロング・プレイ」な演奏ばかりで、このロング・プレイの中で、それぞれのジャズメンは心ゆくまで、それぞれの技術の粋を尽くして、ロング・プレイなインプロビゼーションを展開していきます。このアルバムの良さは、参加ジャズメンが皆、絶好調な演奏を聴かせてくれる点です。特に、テナーのコルトレーンとトランペットのドナルド・バードの演奏は白眉です。

このアルバムの中に詰まっているそれぞれの演奏は、本当に強く「ハードバップ」な演奏スタイルを感じさせてくれます。何度聴いても飽きない佳作でしょう。ジャケットも何かと問題のあるプレスティッジ・レーベルのジャケット・デザインからすると秀逸な出来で、このジャケット・デザインからも、しっかりと「ハードバップ」な雰囲気を感じ取ることが出来ます。良いアルバムです。 

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 


 

2013年1月15日 (火曜日)

フュージョン時代のハバード

フレディー・ハバードは、帝王マイルスの後を継ぐべきトランペッターだった。テクニックがずば抜けており、1960年代、ハバードが若手売り出し中の時代のハバードのテクニックは、帝王マイルスを凌駕するほどだった。

上手過ぎるというのは、何かと「出る杭は打たれる」風な扱いを受ける訳で、それでいて、これまた若かりし頃のハバードは、自らのハイテクニックを全面に押し出した演奏をドバーッと仕掛けたりしたものだから、1960年代のハバードのトランペットに対する評価は、その実力に比して、結構、厳しいものがあったと記憶する。

かの帝王マイルスですら、ハバードはテクニックに頼りすぎる、なんて言うものだから、ハードバップ〜新主流派時代のハバードの評価は、このマイルスの「ハバード評」で定着した感がある。確かに、1960年代のハバードの諸作を聴くと、確かにハイテクニックを駆使して吹きまくる的な展開が主流だったことは否めない。

1970年代に入り、クロスオーバー〜フュージョンの時代に入ると、やっとハバードはその高度なテクニックを押さえつつ、小出しにしながら、流麗に歌うようなトランペットを吹きこなすようになり、1970年代〜1980年代のフュージョン系のリーダー作に、ハバードの面目躍如的な素晴らしいトランペットを聴くことが出来る。

しかし、1970年代、特に1970年代後半になると、フレディー・ハバードは、1960年代に活躍した「過去の人」的な扱いを受けることが間々あり、本人としては不本意だったと思う。それほど、クロスオーバー〜フュージョン時代のフレディー・ハバードの演奏は優れたものが多い。
 

Windjammer

 
そんなハバードのトランペットを愛でることの出来るアルバムのひとつが『Windjammer』(写真左)。1976年の録音になる。1976年と言えば、フュージョン全盛時代ど真ん中。このアルバムも徹頭徹尾、フュージョン・ジャズで貫かれている。

アレンジとキーボード、プロデュースを担当しているのは、今やフュージョン・ジャズの大御所、ボブ・ジェームズ。このボブ・ジェームスのアレンジが実に絶妙で、ハバードがペットを気持ちよさそうに吹きまくっているのが良く判る。ボブ・ジェームス独特のファンキー&ジャジーでポップな感覚がフレディー・ハバードのペットの良く似合う。

パーソネルを眺めてみると、Gary King (b), Steve Gadd, Andy Newmark, Chris Parker (ds), Ralph MacDonald (per), Lew Soloff (tp), Patti Austin (vo) 等々、今から振り返ると、錚々たるフュージョン・ジャズの手練のオンパレード。その演奏については悪かろうはずが無い。破綻の無い、充実した高度なバッキングが素晴らしい。

歌うようにペットを奏でるハバード。その高度なテクニックを押さえつつ、小出しにしながら、流麗に歌うようなトランペットを吹きこなすハバード。よくよく耳を傾けると、そのさり気ないブロウには、かなり高度なテクニックが織り込まれていることが判る。この盤でのハバードは「歌っている」。

派手で趣味の悪いジャケットに騙されてはいけない。これまでの「ハバード評」に惑わされてはいけない。まずはしっかりと自分の耳で感じて欲しい。この「歌っている」トランペットこそ、かの帝王マイルスが得意とするものだった。やっぱり、フレディー・ハバードは、帝王マイルスを継ぐべきトランペッターだったと僕は思う。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2013年1月13日 (日曜日)

「途方もない」サド・ジョーンズ

今日は寒さも一休み。最高気温は12度を超えた、我が千葉県北西部地方。豊かな陽射し、風も無く、実に穏やかな午後。何かゆったりとしつつもしみじみとしてしまう、穏やかな冬の日の午後。

こんな穏やかな冬の日には、このアルバムが良く似合う。Thad Jones『The Magnificent Thad Jones』(写真左)。ブルーノートの1527番。ちなみにパーソネルは、Thad Jones (tp), Billy Mitchell (ts), Barry Harris (p), Percy Heath (b), Max Roach (ds), Kenny Burrell (g)。1956年7月9日と14日の録音。

リーダーのサド・ジョーンズは、後の1960年代後半から1970年代に活躍した伝説のビッグバンド「サド・メル・オーケストラ」の双頭リーダーとしての印象が強くて、元々トランペッターとしての実績は、なにかと省略される傾向にあるが、どうして、サド・ジョーンズのトランペットは、実に個性に溢れ、実に味わい深いもの。聴かずにいるのは「ジャズ者の名折れ」である。

もともと、サド・ジョーンズは、1953年より、カウント・ベイシー楽団で人気No.1のトランペッターとして活躍しており、1955年、カウント・ベイシー楽団の人気盤『エイプリル・イン・パリ』を通じて、その名を知られるようになった訳で、トランペッターとしてのサドの成果を確認することは実に大切なことである。
 
 
Magnificent_thad
 
 
サド・ジョーンズのトランペットの特徴は、中音域を中心とした「ふくよかで温かい丸みのある」音が個性のフレーズと、ミッドテンポを中心とした余裕のあるブロウ。聴いていて心地良いこと限りなし、という感じのトランペット。そんなサド・ジョーンズのトランペットを最大限に愛でることが出来るアルバムが『The Magnificent Thad Jones』(和訳すると「途方もない」サド・ジョーンズ)。

冒頭の「April in Paris(パリの4月)」を聴くだけで、サド・ジョーンズのトランペットの個性を十分に確認することが出来るだろう。スローなテンポのアレンジの中で、サドは朗々とトランペットを吹き上げていきます。実に良く鳴るトランペットです。

4曲目の「If Someone Had Told Me」でのサドのトランペットも秀逸。ミッド・テンポな演奏の中で、しっかりと抑制を効かせながら、オープン・ホーンで朗々と鳴るトランペットは絶品です。ミス・トーンも無く、テクニックも確か。ジャズ・トランペットをしっかりと体感できる、素晴らしいブロウです。

バックのサポートも秀逸。ピアノのバリー・ハリスが実に趣味の良いバッキングを提供し、パーシー・ヒースのベースが堅実に切れ味の良いスイング感を提供する。そして、マックス・ローチの素晴らしいドラムが演奏全体のリズム&ビートを支える。これだけ秀逸なバックのサポートがあってこそ、サドのトランペットが映えるのだ。

良いアルバムです。ハードバップの演奏にありがちな、明快な「激しさ」や「熱さ」とは無縁の演奏ですが、程良いテンションが心地良い、ミッド・テンポからスロー・テンポの演奏の中で、内に秘めた「激しさ」や「熱さ」が見え隠れするところが実に良いですね。

アルバム全体の悠然とした雰囲気が堪らない、サド・ジョーンズのトランペッターとしての代表盤の一枚です。
 
 
 
大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2013年1月11日 (金曜日)

ハードバップの大名盤の一枚

昨日から、ブルーノート・レーベルのアルバムについて触れるようになったが、ブルーノート・レーベルの諸作品の中で、ジャズを聴き初めて、最初にヘビーローテーションになったアルバムってどれかしら、と思って思案を巡らせてみた。

ジャズを聴き初めて1年余り。ブルーノートというレーベルとは何者か、なんてことをジャズ本やジャズ雑誌で知識として仕入れて、なんとか、このブルーノートのアルバムを手に入れたいと思うようになっていた。

意外と1970年代後半って、日本盤として、ブルーノート・レーベルのアルバムは入手し難かった想い出がある。どのレコード屋にも置いてある代物では無い。ジャズを専門的に扱っているレコード屋で無いと、ブルーノート・レーベルの日本盤って置いていなかった。

確か、この盤だと思う。John Coltrane『Blue Train』(写真左)。ブルーノートの1577番。1957年9月15日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Lee Morgan (tp), Curtis Fuller (tb), Kenny Drew (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。テナーの聖人コルトレーンがブルーノートに残した唯一のリーダー作である。

この盤については、ジャズ本、ジャズ雑誌、ネット投稿等々で、様々な評価、コメント、エピソードが語り尽くされている。今更、僕がこの盤について語ったところで意味は無いだろう。それほどの大名盤である。

逆に、ジャズ者として、この盤を聴いたことが無いというほうが「マズイ」(笑)。この盤を知らないとすると、ジャズ者として「パチモン」扱いされることは必至。
 

Blue_train

 
それほどの大名盤である。しかし、ジャズ者初心者駆け出し1年余りの僕は、このアルバムがそんなに大名盤だということは知らなかった。コルトレーンの代表盤の一枚くらいにしか認識が無かった。じゃあ、何故、このアルバムを手に入れたのか。答は簡単です。ジャケットが良かった。思索にふけるような雰囲気のコルトレーンのジャケ写が格好良かった。それだけです(笑)。

入手の理由は、そんな他愛も無い理由なんですが、ヘビーローテーションになった理由は明確です。このアルバムに詰まった演奏全てが、絵に描いた様な「ハードバップ」的な演奏であるということ。言い換えると、ハードバップの良いところの全てが詰まった名作であるということです。

曲全体の展開をしっかりと考慮し、良く練られたアレンジ。豊かなユニゾン&ハーモニー。テクニックと閃きをベースとした魅力的なロング・ソロ。ファンキーでジャジーなトーン。参加ジャズメンの個性が手に取るように判るプロデュース。このコルトレーンの『Blue Train』には、そんなハードバップの良いところの全てが詰まっています。

このアルバムについては、あれこれ蘊蓄(うんちく)を語る前に、あれこれ事前情報を調べる前に、とにかく入手して聴いて欲しいアルバムです。ジャズ者であれば、絶対に必須のアイテムですからね。

逆に、このコルトレーンの『Blue Train』を聴いて、ジャズって良いなあ、とか、良い雰囲気の演奏だなあ、と感じることが出来無ければ、その方は残念ながら、ジャズ者には向かないと思います。それほど、ジャズの基本的要素がギッシリと詰まった「ジャズの教科書的な」アルバムだと思います。

ジャズの基本的要素がギッシリと詰まった「ジャズの教科書的な」アルバムですから、ジャズ者歴35年、僕は、ことある毎に、このアルバムを引っ張り出して来ては聴き耳を立てています。ジャズ者歴を重ねる毎に新しい発見があって、全く飽きることがありません。ジャズの名盤とはそういうものだと思います。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2013年1月10日 (木曜日)

引き締まった寛ぎのセッション

このブログではこれまで、ブルーノート・レーベルの諸作品に触れることがほとんど無かった。それもそのはず、何時の日か、ブルーノート・レーベル専用のアルバムご紹介ブログを立ち上げようと思っていたからだ。

しかし、ブルーノート・レーベルの諸作品については、紙本、ネット情報に溢れかえっている。様々な人達がブルーノートの諸作品について語っている。いわんや、今更、僕が特別に語る必要もなかろうと、ブルーノート・レーベル専用のアルバムご紹介ブログを立ち上げることはしばし諦めた。よって、これからは、ブルーノートの諸作品についても、このブログで折に触れてご紹介していこうと思っている。

とにかく、僕はブルーノート・レーベルの諸作品が大好きだ。ジャズを聴き始めた35年前から、ブルーノートの諸作品は折に触れて耳を傾けてきた。そんな大好きなブルーノート・レーベルの諸作品の中から、癒やしと安らぎ、寛ぎのアルバムは無いか、と思案を巡らせた。家でゆったりと耳を傾けることが出来る「これぞジャズ」って感じの盤ってどれだろう。

真っ先に頭に浮かんだのが、ブルーノートの1513番。Thad Jones(サド・ジョーンズ)の『Detroit-New York Junction』(写真左)。1956年3月13日の録音。ちなみにパーソネルは、Thad Jones (tp), Billy Mitchell (ts), Tommy Flanagan (p), Kenny Burrell (g), Oscar Pettiford (b), Shadow Wilson (ds)。タイトルから類推されるとおり、デトロイト出身のジャズメン中心に構成されたセッションである。
 

1513_detroit_ny_junction

 
これがまあ、実に「玄人好み」の内容なのだ。とにかく、派手な立ち回りや大向こう張る展開は全く無い。ハイテンポでグイグイ迫るような演奏も無い。ミッド・テンポからスロー・テンポな、寛ぎと安定感のある演奏ばかりがズラリと並ぶ。しかし、その演奏は、寛ぎと安定感のある演奏の底に、玄人としての「引き締まった緊張感」がしっかりと横たわり、ジャズメンそれぞれが紡ぎ出すフレーズは内容の濃い、ハイテクニックなものばかり。

つまりは、実に「渋い内容」のセッション盤である。とにかく「渋い」。渋くても演奏のテンションは高く、そのインプロビゼーションは水準以上をいくものばかり。とっても「ジャズ」を感じることが出来る、とっても「ハードバップ」を感じることが出来る好盤である。どの曲がどうという訳では無い。収録された全ての曲が良い。

特にリーダーのサド・ジョーンズのペットが堪能できる。若き日のトミ−・フラナガンのピアノは実に心憎いフレーズを出しまくり、新顔駆け出しのケニー・バレルのギターはファンクネス漂う上質な音色が素晴らしく、当時、ベテランの域に達しつつあったオスカー・ペティフォードのベースはいつになく盛り上がりを見せ、ブンブンとフロントを煽る。シャドウ・ウイルソンのドラムは堅実。ビリー・ミッチェルのテナーは意外にも結構健闘している。

良いアルバムです。この1513番、Thad Jones『Detroit-New York Junction』は、1500番台屈指の「引き締まった寛ぎのセッション」の記録です。参加ジャズメンそれぞれの個性もふんだんに楽しめ、さらにアレンジも良好で、アンサンブルとしてのまとまりも楽しめる、実に「ジャジー」な一枚。ブルノート盤の中で「癒やしと安らぎ、寛ぎのアルバム」のイチ押しですね。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2013年1月 8日 (火曜日)

レイ・ブライアントとの出会い

レイ・ブライアント(Ray Bryant)は、僕のお気に入りのジャズ・ピアニストの一人なんだが、レイ・ブライアントとの最初の出会いって、どのアルバムなんだろうと想い出を手繰ってみた。

僕が大学に入ってジャズを聴き始めたのが1978年。大学の近くの「隠れ家のような優雅な喫茶店」の存在に気が付いて、その喫茶店に通い出したのが、1979年、大学2回生の夏である。その「隠れ家の様な優雅な喫茶店」で、僕はレイ・ブライアントに出会った。

出会いのアルバムは、Ray Bryant『Alone at Montreux』(写真)である。このアルバムが、この「隠れ家の様な優雅な喫茶店」でかかっていたのが、1979年の秋、晩秋の頃であったと記憶する。

喫茶店に足を踏み入れて、直ぐにこのアルバムがかかった。冒頭の「Gotta Travel On」のソロ・ピアノに仰け反った。凄い迫力。ゴスペル・フィーリングを踏まえたファンキーでソウルフルなフレーズ。ノリノリのインプロビゼーション。合いの手の様に叩き付ける左手の重低音。30秒も聴けば直ぐ判る、ピアノ・テクニックの確かさ。

続く「Blues #3 - Willow Weep For Me」で、もう僕はメロメロである。こんなファンクネス漂う、ゴスペルチックな「Willow Weep For Me(柳よ泣いておくれ)」を聴いたことが無い。オフビートを強調した左手の低音に思わず唸る。凄いピアノ・ソロだ。思わず、カウンターに駆け寄り、このアルバムのジャケットを確認させて貰った。この「隠れ家の様な優雅な喫茶店」の妙齢のママさんと初めて声を交わした瞬間でもあった(笑)。
 

Bryant_montreux

 
改めて、このRay Bryant『Alone at Montreux』は、1972年のモントルー・ジャズ・フェスティバルでのピアノソロ・ライブの音源である。実は、当初、ブライアントはモントルー・ジャズ・フェスティバルで演奏の予定は無かったそうだ。当初の予定はオスカー・ピーターソン。そのピーターソンが急遽、出演不可となり、主催者サイドが慌ててその代役を探していたところ、その代役の「白羽の矢」が立ったのが、レイ・ブライアントだったらしい。

当然、ブライアントは気合いが入る。ピーターソンの代役、役に不足は無い。やってやろうじゃないか。そんな気合いを胸に冒頭の「Gotta Travel On」を弾き始める。なるほど、そういう出演背景があったので、この「Gotta Travel On」の演奏の迫力とテンションが並大抵では無い訳だ。とにかく凄い迫力とテンション、そしてタッチ。前のめりというか、もう前ががりで「ひっくり返りそう」な程の強くてポジティブなノリ。

そのノリにのって、どんどんブライアントは、ソロ・ピアノを弾き進めていく。ソロ・プレーヤーが演奏しているとは感じられない程の、手数の多い音の洪水。決して喧しくない音符の連鎖。それに応える様に、曲が進むにつれ、聴衆もどんどん盛り上がる。ブライアントのノリと聴衆の盛り上がりが手に取るように判る、秀逸なライブ盤である。

ソロ・ピアノのライブ音源なので、心ゆくまで、レイ・ブライアントのピアノの個性を堪能することが出来る。ゴスペルチックなブルース・フィーリング溢れる、レイ・ブライアントの代表盤であり、ピアノ・ソロの名盤である。ジャズ者であれば一度は聴いて頂きたい。

ちなみに、このアルバムを仲の良いジャズ喫茶でリクエストする時は、ジャケット写真のブライアントの様に、両手の手のひらを無言で突きだせば、リクエストOK(笑)。「隠れ家の様な優雅な喫茶店」の妙齢のママさんに、幾度と無くやりましたねえ(笑)。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2013年1月 6日 (日曜日)

オーディオ的なリファレンス盤

レイ・ブライアント(Ray Bryant)。僕の大好きなジャズ・ピアニストのひとりである。1931年、米国ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれ。惜しくも、2011年6月に逝去した。逝去して暫くは、ブライアントが他界したショックで、ブログなどでブライアントの事を語ることが出来なかった。

逝去して1年半が経過し、やっとブライアントが他界したショックも癒えた。そんな時、自分自身もちょっと命が危ない状態があって、その状態を癒すプロセスで、やはり好きな音楽を聴くことは絶対に必要で、そんな時は、やはり、ジャズ・ピアニストとしては、レイ・ブライアントを選択したりするのだ。

最近、バーチャル音楽喫茶『松和』のオーディオ環境をちょっと改善した。改善した効果を確認するのに、リファレンスとなるCDがある。やはり、自分自身、アコピを弾いていた経験があるので、オーディオ的なリファレンスCDは、ジャズの場合、ピアノ・トリオのアルバムが主になる。

そんなジャズ・ピアノ・トリオのオーディオ的リファレンス盤の一枚に、レイ・ブライアント(Ray Bryant)の『Plays Basie & Ellington』(写真左)がある。ちなみにパーソネルは、Ray Bryant (p), Rufus Reid (b), Freddie Waits (ds)。1987年のリリース。 ジャズの老舗レーベルのひとつである、エマーシー・レーベルが復活した時の第1弾として、当時、レイ・ブライアントの7年ぶりのトリオ演奏となったアルバム。
 

Ray_bryant_baisie_ellington

 
ブライアントのピアノは、高度なテクニックに裏打ちされた、良く回る右手が特徴のハッピー・スインガーではあるが、重低音を活かした左手のビートが限りなくファンキー&ブルージーで、メリハリが効いたノリの良い明るいタッチの中にそこはかとなく漂う哀愁が特徴。ポジティブなタッチと大らかで懐深い幅広な展開が心地良く、とにかく聴き応えがある。

そんなブライアントが、デューク・エリントンとカウント・ベイシーの曲を中心に据えて制作したピアノ・トリオ盤が、この『Plays Basie & Ellington』。ポジティブなタッチと大らかで懐深い幅広な展開が、デュークやベイシーの楽曲のフレーズにピッタリである。ピアノ・トリオとしての演奏と、ブライアントのソロ・ピアノの両方が楽しめるところも、この盤の「おいしい」ところ。

職人肌のリードのベースとウエイツのドラムのサポートも申し分無い。ピアノ・トリオにおけるベースとドラムのバッキングは「かくあるべし」的な演奏で、堅実かつダイナミックなベースとドラムのサポートを得て、ブライアントが実に心地良くピアノのフレーズを紡ぎ上げている様子がアルバムの演奏を通じて良く判る。

加えて、ピアノの音、ベースの音、ドラムの音、どれをとっても実に良い響きをしており、この盤の録音の良さを堪能することが出来る。とにかく親しみのある内容のピアノ・トリオ盤で、ジャズ者初心者からベテランまで、幅広くお勧め出来る。肩肘張らずにリラックスして気軽に楽しめる好盤である。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 
 

2013年1月 4日 (金曜日)

これ、一度聴いてみたかった

ジャズ・レーベルの王道「ブルーノート」も、1970年代に入ると、そのアルバム制作の方針は、大衆迎合に傾き、実に「怪しくなる」。しかし、そこは「腐っても鯛」。怪しくなったなりに一本筋が通っているところが心憎い。

その「怪しさ」がギッシリ詰まったシリーズが「ブルーノートBNLA」のシリーズ。ジャケットもほとんどやっつけで怪しいし、その内容は完全に大衆迎合風のやっつけ仕事。それでも、当時の言葉で言うと「ソウル・ジャズ」や「クロスオーバー・ジャズ」ど真ん中なスタジオ録音やライブ録音がズラリ取り揃っているのだからたまらない。

昨年、その「ブルーノートBNLA」のシリーズから50枚選定されて、東芝EMIより「ブルーノートBNLA 999シリーズ」として限定発売された。このラインアップを見ていると楽しくて楽しくて。一度聴いて見たいと思っていた「ソウル・ジャズ」や「クロスオーバー・ジャズ」ど真ん中なアルバムがズラリと並ぶ。

そんな中に、この「ブルーノートBNLA」シリーズに限定された花形ミュージシャン、フルート奏者のBobbi Humphrey(ボビーハンフリー)の『Bobbi Humphrey Live: Cookin' with Blue Note at Montreux』(写真)がある。これ、一度聴いてみたかったんだよね。ということで、即予約して入手。入院していたんで聴くこと叶わなかったのだが、今日、やっと聴くことが出来た。

ボビー・ハンフリーのフルートは、中音域を中心にフレーズを組み立てた、骨太でソウルフルなジャズ・フルートを聴かせてくれる。「ブルーノートBNLA」シリーズに限定された花形ミュージシャンながら、意外と正統派なフルートを聴かせてくれる。ファンキーな香りも芳しく、1970年代前半のクロスオーバー・ジャズの流行時期の旬なフルート奏者として、僕は密かに愛聴している。
 

Bobbi_montreux

 
そういう事で、この『Bobbi Humphrey Live: Cookin' with Blue Note at Montreux』というライブ盤は一度は聴いて見たいアルバムだった訳だが、CDでのリイシューがなかなか叶わず、今回、リイシューされて目出度し目出度しという訳。

改めて、この『Bobbi Humphrey Live: Cookin' with Blue Note at Montreux』は、タイトルの通り、かの有名なスイスはモントルーのジャズ・フェスティバルでのライブ録音で、1973年7月5日の録音になる。ちなみにパーソネルは、Bobbi Humphrey (fl), Kevin Toney (el-p), Berney Perry (g), Henry Franklin (b), Keith Killgo (ds)。ボビー・ハンフリー以外、全く、僕にとっては知らないミュージシャンばかりだが、演奏の内容は充実している。

1973年と言えば、「ソウル・ジャズ」や「クロスオーバー・ジャズ」の流行真っ只中。録音された音も、「ソウル・ジャズ」や「クロスオーバー・ジャズ」ど真ん中。ファンキー・ジャズの名曲「シュガー」や、ビル・ウィザースのヒット曲「エイント・ノー・サンシャイン」をチョイスしているところが、このアルバムの目玉。

収録された曲それぞれ8分を越える長尺であり、内容的も意外と純ジャズ寄りの骨太でソウルフルな、どちらかと言えば「クロスオーバー・ジャズ」的な演奏。エレピ、エレギの音が「クロスオーバー・ジャズ」ど真ん中な音を振りまいて、それはそれは骨太で楽しい演奏内容となっている。うん、ジャズ・ロックと言っても良いかもしれない。

このライブ盤、「ソウル・ジャズ」や「クロスオーバー・ジャズ」のファンの方には、堪えられない内容になっている。逆に「ソウル・ジャズ」や「クロスオーバー・ジャズ」なんて認めないぞ、という方々には、「こんなんジャズじゃないよな」的な内容だろう。

「ソウル・ジャズ」や「クロスオーバー・ジャズ」のファンにのみ、お勧めなライブ盤である。限定盤なので早めに入手することをお勧めする。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

保存

2013年1月 1日 (火曜日)

正月に真っ先にかけるジャズ盤

明けましておめでとうございます。今年もバーチャル音楽喫茶『松和』をよろしくお願いします。

さて、お正月にあたり、我がバーチャル音楽喫茶『松和』で真っ先にかけるジャズ盤って何だろう、と思いを巡らせてみました。

まあ、ジャズは米国発の音楽ジャンルなので、ジャズのアルバムの中に「お正月用の目出度い内容のアルバム」なんていう企画盤は無いはず。いや、あるのかなあ。ちゃんと調べたことが無いのでなんとも言えないが、少なくとも、我がバーチャル音楽喫茶『松和』のライブラリーには見当たらない。

では、我がバーチャル音楽喫茶『松和』で、お正月に真っ先にかけるアルバムは何か。ジャズを聴き始めて35年になりますが、お正月に真っ先にかかる回数が一番多かったアルバムが、Chick Corea『Return To Forever』(写真左)です。この盤を手に入れたのが1979年。以来、結構な回数、年が明けて真っ先にかけるアルバムになっています。

このアルバムは、ジャズのアルバムの中で一番好きなアルバムを一枚だけ挙げよ、と言われたら、僕は十中八九、この『Return to Forever』の名を挙げる。大学1年生の時に出会って以来の、僕にとっての「永遠の名盤」の中の一枚である。1972年の録音。パーソネルは、Joe Farrell (fl, ss), Chick Corea (el-p), Stan Clarke (b), Airto Moreira (ds, per), Flora Purim (v o, per)。
 

Return_to_forever_2012

 
この『Return to Forever』には、音楽の素晴らしさ、音楽を演奏することの喜び、そして、音楽を愛でることの楽しみ、が溢れている。このアルバムの演奏内容は、文句の付けようがない。フュージョン・ブームの先駆けといわれるので、ソフト&メロウなリラックス系の癒し音楽を思い浮かべる方が多いと思うが、それはとんでもない誤解である。

この『Return to Forever』は、全編に渡って、印象的なフレーズが満載ではあるが、演奏の根幹は「骨太なメインストリーム・ジャズ」である。ハード・バップな要素から、フリー・ジャズな要素まで、1972年の録音時点でのジャズの全ての要素を包含し、ジャズのビートに乗せて、印象的なフレーズとリフをかましまくるという、それはそれは素晴らしい技の応酬であり、目眩く、印象的なフレーズとリフの嵐である。

これが良いんですよね〜。このアルバムには、僕にとって、ジャズの良いところがギッシリと詰まっている。全編に渡って聴き通す。至福のひとときである。

今日は元旦。今日、初めて聴いたジャズ盤が、やっぱり、このChick Corea『Return To Forever』。いわゆる「聴き初め」である。今年の「聴き初め」には万感の思いがこみ上げる。

昨年の12月3日に手術をして以降、術後やっと、音楽を愛でることができるまで、精神的に肉体的に回復しつつあることが実感できる正月となったからだ。自分の身体のことであり、しかも初めての経験であるが故に、まだまだ不安のほうが先行してはいるが、徐々にではあるが回復しつつある実感がありがたい。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 
 

« 2012年12月 | トップページ | 2013年2月 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2021年4月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

カテゴリー