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2012年11月 5日 (月曜日)

ゲイリー・バートンとは何者か

ゲイリー・バートンは、僕のお気に入りのヴァイブ奏者である。ジャズ・ヴァイブと言えば「ミルト・ジャクソン」。ミルトのヴァイブは芳しきファンクネスが色濃く漂う、限りなくジャジーなヴァイブ。しかし、バートンのヴァイブは、ファンクネスは限りなく希薄、逆に透明度の高い、クリスタルな響きのヴァイヴである。

この透明度の高い、クリスタルな響きのヴァイブが僕は大好きだ。クラシックな香りもほのかに漂い、特にジャズ者初心者駆け出しの頃、初心者の僕にとっては、取っ付き易いヴァイブだった。

もうひとつ、バートンのヴァイブの特徴に「4本マレット奏法」がある。最初、何故、ヴァイブでピアノの様な和音が出るのかが判らなかった。ようやくその理由が判ったのは、ジャズ雑誌でバートンの演奏時の写真を見た時である。なんと、右手、左手にマレットを2本ずつ持っている。なるほど。

しかし、この「4本マレット奏法」は、バートンが発明した訳では無い。ビ・バップ時代に、レッド・ノーヴォが始めたと記録されている。しかし、この「4本マレット奏法」を再現し、より高度によりテクニカルに昇華させ、その奏法を確立させたのはバートンの功績である。そういう意味で、現代ヴィブラフォン奏法のイノヴェーターと評価して良いと思う。

そんなバートンのヴァイブを理解するに格好のアルバムがある。『Who Is Gary Burton?』(写真左)。バートンが19才の時にリリースしたRCAレーベルでのセカンド・アルバム。

ちなみにパーソネルは、Phil Woods (as), John Neves (b), Chris Swansen, Joe Morello (ds), Tommy Flanagan (p), Bob Brookmeyer (tb), Clark Terry (tp), Gary Burton (vib)。1962年9月の録音になる。
 

Who_is_gary_burton

 
バートンは、1960年代後半はジャズ・ロックに走り、1970年代に入ってからは、ECMレーベルで欧州のコンテンポラリー・ジャズの展開、チック・コリアとのデュオなど、ジャズの先端部分での活動が主だった。故に、なかなかオーソドックスでハードバップなジャズのフォーマットで、バートンのヴァイブを愛でることが出来ない。

そんな環境の中での、この『Who Is Gary Burton?』は貴重なアルバムである。演奏のフォーマットは、オーソドックスでハードバップなジャズ。バックでサポートするメンバーも、アルトのフィル・ウッズやピアノのトミー・フラナガン、トロンボーンのボブ・ブルックマイヤー、トランペットのクラーク・テリーなど、ハードバップを代表するジャズメンがズラリ。

ハードバップな演奏ではあるが、さすがバートンのリーダーアルバム。栴檀は双葉より芳し。ファンクネスは限りなく希薄、欧州ジャズ風の洗練された響きの「健康優良児的なハードバップ」。「飛び散る汗と煙とファンクネス」とは全く離れた、洗練されたコンテンポラリーな響きが特徴の「バートンの考えるハードバップ」盤である。

バートンのクリスタルな響きのヴァイブは既に健在、控えめではあるが「4本マレット奏法」も、要所要所で個性の輝きを放っている。こうやって改めてバートンのヴァイブをハードバップなフォーマットで聴くと、バートンのヴァイブの個性がとても良く判る。確かに、それまでに無い、新しいヴァイブの響きである。
 
 
 
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Never_giveup_4

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