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2012年10月15日 (月曜日)

ロリンズにフリーは似合わない

先週金曜日のブログに書いたが、テナー・タイタン、ソニー・ロリンズは、ジャズ・ミュージシャンの経歴の中で3度、雲隠れしている。3回目の雲隠れは1969年。この雲隠れは2年半にもおよび、ロリンズもいよいよ本当に引退かと噂された雲隠れだった。

しかし、アルバムのリリース状況を振り返ると、正式なリーダー作は、1966年5月9日録音の『East Broadway Run Down』(写真左)を最後に、1972年7月14日録音の『Sonny Rollins' Next Album』まで、約4年間、途絶えている。

このロリンズの1960年代最後のリーダー作を録音した1966年から雲隠れする1969年の間には、ジャズ界には何があったのか。

1966年、ジャズ界のリーダーはマイルスとコルトレーン。同じ、テナー奏者のライバルとしてのコルトレーンは、ジャズ界のリーダーとして君臨し、従来のハードバップ・ジャズを超えて、フリー・ジャズの真っ只中にいた。圧倒的な賛否両論なフリー・ジャズ『Coltrane In Japan』がリリースされたのも1966年。

そして、雲隠れした1969年のジャズ界には、その最大のライバルのコルトレーンは存在しない。1967年7月17日に肝臓癌で亡くなったのだ。最大のライバルであったコルトレーンが存在しないのだ。ロリンズが目標と張り合いを無くし、ジャズ・シーンから姿を消した気持ちは良く判る。

では、その雲隠れの直前のロリンズのリーダー作はどのような内容だったのか。1966年5月9日録音の『East Broadway Run Down』。ちなみにパーソネルは、Freddie Hubbard (tp -1), Sonny Rollins (ts), Jimmy Garrison (b), Elvin Jones (ds)。

パーソネルを眺めると面白い。ロリンズお得意のピアノレスの編成も面白いが、なんと、コルトレーンの伝説のカルテットから、ピアノレスのリズム・セクション、ベースのギャリソンとドラムのエルビンを借りてきているのだ。そして、フリー・ジャズをやらせると、素晴らしいブロウを展開するハバードがトランペットで控えている。

 

East_broadway_run_down

  

ということは、この『East Broadway Run Down』では、ロリンズは、「ロリンズ流のフリー・ジャズ」の範疇を超えて、コルトレーンばりのフリー・ジャズを展開しようとしているのだ。己の個性をかなぐり捨てて、コルトレーンのやり方、コルトレーンの個性に真っ向から相対しようとした。

で、その結果であるが・・・。この『East Broadway Run Down』でのフリー・ジャズは、確かにコルトレーンのやり方、個性を踏襲し模倣して、その模倣の中からロリンズ独特の個性を見出そうともがいているのだが、いかんせん、全く成果が上がっていない。明らかにロリンズは迷っている。悩んでいる。

でも、今の耳で振り返ってみると、フリー・ジャズ的なブロウの部分は明らかにロリンズは無理しているのが良く判る。しかし、ところどころで従来の伝統的なハードバップ的な展開に戻る部分があるんだが、この伝統的な部分での大らかで余裕のあるブロウは一聴に値する。

つまりは、ロリンズにはフリー・ジャズ的展開は全くに不必要なものであり、ロリンズが輝くのは、伝統的なハードバップ的な展開の中にある、ということ。この『East Broadway Run Down』は内容的には無理があるが、ロリンズの本質を再認識させてくれる格好の題材であることには間違い無い。

ロリンズにとっては、このアルバムはリリースしたく無かったんやないかな。契約の関係でやむなくリリースしたのではないかと思ってしまうほど、この『East Broadway Run Down』は、ロリンズの本質にまったくそぐわない内容になっている。

しかし、天才ロリンズのフリー・ジャズを御することは出来なかった訳で、でも、ロリンズって、1966年以降、ジャズのトレンドって、ジャズの主流って、フリー・ジャズになるって思っていたんかなあ。圧倒的にコルトレーンの天下になると思ってたんかなあ。

その後、1967年、コルトレーンが亡くなって、ロリンズは1969年に雲隠れする。そして、ジャズ・シーンについては、フリー・ジャズは特化したジャンルに追いやられ、電気楽器が中心のクロスオーバー・ジャズが台頭し、アコースティック楽器をメインとした純ジャズは、徐々に縮退していく。

 
 

大震災から1年半が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。

がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

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コメント

2度目の投稿です。  私の好きなSAXをひとりといえば 迷わずロリンズです。 (2番目以降は多すぎて) 私が初めて聞いたのはNext Album で 次にきいたのが FM大阪のライブ中継で ソプラノで isn't She Lovely をやっていたもの  サクコロはだいぶあとになってききました。 (JAZZ原理主義者から怒られそうな聞き方ですが 私にとって 同時代的なロリンズは Milestoneレコードでのものなのです) 本当のところは本人にしかわかりませんが マスターも指摘していましたがあるとことからロリンズは音楽的に なに(例えば モードとか フリーとか) をするというのをやめて 自分が気持ちよく SAXをならす  ことに主眼を移したのだと思います。 もう 音程とか リズムとかあまり気にしてないというか そのずれも 気持ちよさにしているようですね。 

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