バートン&パットのリユニオン
今年は秋の足取りが速い。日に日に涼しくなり、肌寒くなっていく。まだ10月の20日を過ぎたところ。冬服に着替えるには早すぎるけど、ここ2〜3日の朝は、夏のジャケットを着ていると、ちょっと肌寒く感じる。
肌寒くはあるが、秋の空気は澄んでいて気持ちが良い。この気持ちの良い空気には、ジャズのヴァイブの音が良く似合う。ジャズ・ヴァイブと言えば「ミルト・ジャクソン」が真っ先に浮かぶ。確かにミルトのヴァイブは良い。でも、僕はこの人のヴァイブも大好きなのだ。
ゲイリー・バートン(Gary Burton)。レッド・ノーヴォが始めた4本マレット奏法をより高度に開拓・確立させた現代ヴィブラフォン奏法のイノヴェーター(Wikipediaより)。まだ、ジャズのトレンドにタイムリーに反応し、コンテンポラリー・ジャズのリーダー格としても有名。30年に及び、バークリー音楽大学で教鞭をとった「ジャズの先生」でもある。
バートンのヴァイヴは、クリスタルでクールで切れ味の良い「ふくよか」な響き。4本マレット奏法で変幻自在にコード奏法をバッキングで繰り広げたり、超絶技巧なソロを繰り広げたり、まるでピアノの様な表現をヴァイブでしてみせる技巧派。
そんなバートンが、2007年6月、パット・メセニー入りのゲイリー・バートン・バンドをリユニオン、オークランドの「ヨシズ」にて、ライブ盤を収録した。タイトルはシンプルに『Quartet Live』(写真左)。確か、発売は2009年の5月だった。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib); Pat Metheny (g); Steve Swallow (el-b); Antonio Sanchez (ds)。うへ〜、錚々たるメンバーやなあ。
冒頭の「Sea Journey」を聴いて、「ああっ」と思わず懐かしさと感嘆の声を上げる。 1977年にリリースされたバートンのリーダー作『Passengers』の1曲目。
そう言えば、この『Passengers』のパーソネルは、Gary Burton (vib); Pat Metheny (g); Steve Swallow (el-b); Eberhard Weber (b); Dan Gottlieb (ds)。ドラムだけが異なるだけで、後の3人は同じメンバー。確かに、パット・メセニー入りのゲイリー・バートン・バンドをリユニオンである。
そう言えば、遠く1974年。ゲイリー・バートンは自らのバンドに、当時、弱冠20歳のパットを起用。ECMにて『Ring』『Dreams So Real』『Passengers』という3枚のアルバムをリリース。パットにとってこれがジャズメンとしてのメジャー・デビューであり、そういう意味で、パットにとってバートンは恩師である。
そんなバートン、パットの元にベースのスワローが馳せ参じ、ドラムのサンチェスが参加した。そんな素晴らしいメンバー構成のカルテット。演奏内容は、実に充実した内容のメインストリーム・ジャズ。内容的にはソフトな純ジャズという感じではあるが、「Question And Answer」や「Missouri Uncompromised」など、要所要所は、結構「硬派」で決めている。
どこまでも美しく涼やか。クールなエキサイティング。このバートンとパットの音色のコンビネーションは独特のテイストだ。溶け合う、共鳴し合う、という感じのユニゾン&ハーモニー。リズム・セクションは、クールなエレベのスティーヴ・スワロウに、メリハリのあるドラミングが素晴らしいアントニオ・サンチェス。実に完成度の高いカルテットである。
21世紀になって、こんなアーティスティックで現代的なメインストリーム・ジャズが生まれ出でる。ジャズはなかなかに懐が深い。
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