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2012年10月 3日 (水曜日)

ショーターのお披露目ライブ盤

Miles Davis『Miles in Berlin』 (写真左)。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。1960年代マイルス「黄金のクインテット」の揃い踏みである。

録音は1964年9月25日、西ドイツ(当時)はベルリンのライブ録音になる。そう、このライブ盤は、マイルスが渇望していたウェイン・ショーター参加後、初の正式盤。つまり、ショーターのお披露目ライブ盤である。タイトルは『Miles in Berlin』(写真左)。

収録された曲は以下の通り。基本的に、これまでのマイルス・グループのライブでの十八番的な曲がズラリと並ぶ。

1. Milestones
2. Autumn Leaves
3. So What
4. Stella By Starlight
5. Walkin'
6. Go-Go (Theme And Announcement)

マイルスは常にメンバーに言い続けた。『常に新しい方法で表現しろ』。トニーのドラミングとハービーのピアノを聴いて、なるほどと思う。

冒頭を飾る「Milesrones」での、トニー・ウィリアムスの超高速レガートに度肝を抜かれる。この超高速レガードは凄い。唯一無二。他の追従を許さないハイ・テクニックで馬力のある、切れ味鋭いドラミング。このライブ盤全体を通じて、トニー・ウィリアムスのドラミングの革新性が群を抜いている。凄い迫力&テンションである。
 

Miles_in_berlin1

 
続いて、2曲目の「Autumn Leaves」の後半のハービー・ハンコックのピアノも実に革新的。ハービーのピアノの革新性は、このライブ盤で最初のピークを迎える。ハービーのピアノの個性の確立を感じる。間を活かした耽美的な面あり、ブロックコードを切れ切れに打鍵する幾何学的な面あり、この時代のハービーのピアノは常に「新しい」。

さて、お披露目ライブの中心人物のウェイン・ショーターのテナーはどうかと言えば、まだまだ革新的とは言い難い。切れ味の鋭いコルトレーンという風情で、1964年の時点で、マイルス・クインテットにコルトレーンが在籍していたら、きっとこういうブロウをしただろうなあ、と強く思わせる、コルトレーンを意識したブロウ。モーダルな展開に後のショーターの個性を感じるが、まだ、それが大々的に全面に押し出されているとは言えない。

ロンのベースは堅実一筋。マイルスをはじめ、クインテットの他のメンバーの音の底辺をしっかりと支える。縁の下の力持ち。この堅実なベースが、この時代のマイルス・クインテットの特徴。フロント楽器はさぞかし演奏し易かっただろうな。

そして、マイルス御大と言えば、結局、このライブ盤、なんやかんや言ってもマイルスのトランペットが最高。最高に格好良く、最高に粋でクール。切れ味、馬力、スピード感、爽快感、どれをとっても超一流。高テンションでスリリング。マイルスのペットは実に上手い。誰だ、マイルスのペットは下手、なんて言ったのは・・・。

マイルス・クインテットは、このライブ盤で、1950年代後半のハードバップを総括し、モーダルな側面を全面に押し出しながら、当時の流行になりつつあるフリー・ジャズへのアンチテーゼの様な演奏を繰り広げている。音楽はクールで聴いて楽しくなくてはならない。そんな当たり前なことを改めて教えてくれる、ハードバップの総括的なマイルス・クインテットの秀作である。
 
 
 
★大震災から1年半が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

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