最近のトラックバック

« 安心のデュオ、安心の一枚 | トップページ | 米国西海岸の清純派SSWです »

2012年10月 5日 (金曜日)

日本ジャズの女子力に脱帽だ

最近、リーダー作を手にして「これは」と思った若手女性アルト奏者がいる。「纐纈歩美」である。「纐纈」って、どう読むのか。「こうけつ」と読みます。「纐纈歩美」=「こうけつあゆみ」。

彼女は、1988年生まれ。岐阜県土岐市出身。岐阜、名古屋を中心にライブ活動を展開しつつ、2010 年7月に『ストラッティン』でデビュー。2011年4月にセカンドアルバム『Daybreak』(写真左)をリリース。この『Datbreak』がなかなかの内容で、最近、お気に入りとなっている。

日本の女子アルト・サックスは実に活況で、矢野沙織、寺久保エレナ、小林香織など、なかなか内容のあるアルバムをリリース、そのルックスの良さも相まって、それぞれが人気急上昇。なかなかの活況を呈していたのではあるが・・・。

人気という点では、矢野沙織は昨年だったか、ブログの一件でミソを付けて低空飛行を余儀なくされ、寺久保エレナは、なんとなく、ちょっと伸び悩み。小林香織はスムース・ジャズ路線まっしぐらは良いのだが、ちょっとマンネリ気味。一時の活況はどんどん下火になっている。

アルト奏者としての個性という点では、先にデビューを飾っていた、矢野沙織、寺久保エレナは、完全にパーカー派という感じではないにしろ、基本は「ビ・バップ」。ハイテクニックに高速フレーズが武器。小林香織は徹底してスムース・ジャズ路線をまっしぐら。テクニックはイマイチではあるが、雰囲気で聴かせるアルトは個性的。

で、そんなところに「纐纈歩美」である。じゃあ、纐纈歩美のアルトは、と言えば、これはそう「ナベサダ」である。渡辺貞夫さんのフュージョン〜スムース・ジャズ路線のアルトの音色を踏襲している。所謂、ナベサダさんのフォロワーだと僕は解釈している。
 

Daybreak

 
とにかく、ポジティブに、心地良く鳴るアルトである。女性でこれだけブラスの響きを鳴らせるサックス吹きはなかなかいない。加えて、テクニックもまずまず優秀。速いフレーズもその速さは「分相応」。速いフレーズでも破綻することは無い。実にクレバーで、実に個性を表現することに長けたアルトサックス奏者である。意外と良いんですよ、これが。

冒頭のタイトル曲「Daybreak」を聴けば判る。とにかく明るくて、ポジティブで、聴いていて楽しいアルトの響き。親しみ易い、印象的なフレーズの積み重ね。聴き易く、追い易い、テクニックに優れたインプロビゼーション。

また、5曲目の「ハナミズキ」を聴けば、彼女のバラード表現にも非凡なものを感じる。日本の歌は良いフレーズ、良いコードを持っていても、なかなかジャズに乗りにくい。しかし、この「ハナミヅキ」は良い。上手くデフォルメしているが、一青窈の原曲の雰囲気をしっかりとキープしつつ、しっかりとしたジャズ・バラードになっている。彼女のアレンジとテクニックの勝利である。

良いアルトです。音的には「ナベサダさんのフォロワー」。でも、女性アルトらしく、女性ならではの繊細な表現、丁寧な語り尽くしが、そこかしこに感じることができて、基本的には「質実剛健」なアルトであるナベサダさんのアルトとはちょっと異なる、「女性アルト奏者」としての個性が実に心地良い。

バックで纐纈を支えるピアノ・トリオ、納谷嘉彦 (p), 俵山昌之 (ds), マーク・テイラー (ds)も大健闘。なかなか滋味溢れるピアノ・トリオを展開し、フロントの纐纈のアルトサックスを全面的にバックアップする。意外とこのピアノ・トリオは「いける」。とにかく、伴奏上手という言葉がピッタリである。

良いアルバムです。気軽にスムース・ジャズ系のアルトを聴くに相応しい、最近のアルバムの一枚です。いやはや、日本ジャズの女子力には恐れ入りますね。今後が実に楽しみな、女性若手アルト・サックスの奏者の誕生です。

 
 

大震災から1年半が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。

がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« 安心のデュオ、安心の一枚 | トップページ | 米国西海岸の清純派SSWです »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80793/47323415

この記事へのトラックバック一覧です: 日本ジャズの女子力に脱帽だ:

« 安心のデュオ、安心の一枚 | トップページ | 米国西海岸の清純派SSWです »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ