不思議な魅力のスイング・ジャズ
今年は季節の足が「速い」。秋の深まる速度がかなり速い。日に日に涼しく、肌寒くなっていく。今朝の朝の気温は12度の千葉県北西部地方である。
これだけ秋が深まると、選択するジャズもそのスタイルはバリエーションに富んでくる。これだけ涼しくなると、フリー・ジャズも暑苦しく無くてOKやし、熱気溢れるビ・バップだって、涼しく爽快に聴けてOK.。
オールド・スタイルで、音もさほど良く無く、その良さを理解するのに、その良さを体験できるのに、ちょっと時間がかかって、夏にはその時間のかかるところが我慢できなくて、どうしても敬遠してしまう「スイング・ジャズ」も、涼しく湿気も少ない心地良い気候の中、余裕を持って聴ける。
今日は、その余裕を持って聴くことが必要な「スイング・ジャズ」を久し振りに選択する。Louis Armstrong『Satchmo At Symphony Hall』。1947年11月30日、米国はボストンでのライブ録音。
ルイ・アームストロング(愛称サッチモ)は明朗な性格と高い音楽的技術をあわせ持つカリスマ的かつ独創的な演奏者。このライブ盤でのサッチモのトランペットは、そのテクニック、その音の張り、その歌心、どれをとっても超一流で。
1947年、ジャズの演奏スタイルとして、ビ・バップが全盛の時代に、こんな優れたトランペットがスイング・ジャズとして君臨していることにジャズの奥深さを感じる。1947年という時代に、従来のスタイルであったスイング・ジャズと最新のスタイルのビ・バップが混在していることに、ジャズの懐の深さを感じる。
スイング・ジャズは「踊るための音楽」。気持ち良く踊ることが出来れば演奏内容は問わない。しかし、サッチモは違った。このライブ盤の演奏を聴けば判る。
その演奏内容、演奏レベルは、かなり高いものを感じる。アレンジもしっかりとしていて、聴き応え十分。演奏もしっかりと練習をリハーサルを積んでいるのが良く判る、ユニゾン&ハーモニーは良く合い、ブレイクのタイミングはキッチリと決まる。
スイング・ジャズは踊るための音楽、と軽くみてはいけない。サッチモのスイング・ジャズは、洗練されたダンス・ミュージックである、アーティスティックなジャズである。演奏テクニック、アレンジ、共に優秀。しかも、良く練習を積んでいる。後の時代を通じて、ジャズの良さ、ジャズの優れた個性が、このスイング・ジャズのライブ盤に溢れている。
確かに音は、オーディオ的に聴いて「イマイチ」。その内容の良さを理解するのにちょっと時間が必要で、その内容を楽しむには経験が必要になる。そんなスイング・ジャズではあるが、このライブ盤でのスイング・ジャズは、洗練されており、アーティスティックである。こんな音源が残っている。ジャズって素晴らしい。
サッチモを愛でるまでには、ジャズ者として、経験が必要で時間がかかる。しかし、サッチモの良さを理解し、サッチモの個性を楽しむことが出来る様になる頃、不思議と、ジャズ者としての幸せを感じることが出来る様になる。
このライブ盤は、ジャズの良さが様々な形で織り込まれている。不思議な魅力を湛えたスイング・ジャズである。
大震災から1年半が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。
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