すなわち「第三の流れ」
昔々、僕がジャズ者初心者の頃、モダン・ジャズ・カルテットがお気に入りになって、そして、この言葉にぶち当たった。
「サード・ストリーム・ミュージック」。すなわち「第三の流れ」と呼ばれるタイプの音楽。1950年代後期、ジャズの良いところとクラシックの良いところを融合して、新しい音楽の「波」を作る。
このジャズとクラシックの良きイディオムをクロスオーバーすることから創造する「新しい音楽の確立」を目指して、これを「サード・ストリーム・ミュージック」と名付けて実践に移したのは、メトロポリタン・オペラ・ハウスの首席ホルン奏者であったガンサー・シュラーであった。
そして、モダン・ジャズ・カルテットのリーダー、ジョン・ルイスが共鳴し、ガンサー・シュラーとジョン・ルイス、二人の作編曲と指揮から生まれたアルバムが幾枚かある。
学生時代、このアルバムに出会い、このアルバムに感じ入る。アルバムタイトルは、その名もズバリ『Third Stream Music』(写真左)。1957年8月、1959年9月、1960年1月の3回にその録音は分かれていますが、その演奏内容は、しっかりとした一貫性を保っています。
モダン・ジャズ・カルテットとジミー・ジュフリー・トリオの演奏に、クラシックなスモール・オケを交えて、ジャズの良いところとクラシックの良いところを融合して、新しい音楽の「波」を作る。すなわち「第三の流れ」。
このアルバムの演奏は、厳密に言うとジャズではない。全ての演奏は、恐らく譜面に書かれ、コンダクターに完全にコントロールされている。即興演奏を旨とするジャズとは、ちょっと離れた「第三の流れ」。
1950年代後半のジャズのトレンドである、熱気溢れるファンクネス漂う即興演奏とは全く異なる、程良くコントロールされた、ファンクネスを押さえた、ジャジーでクールな演奏が特徴。
ジミー・ジュフリー・トリオの参加が良いアクセントになっている。ちょっと前衛傾向な演奏が、伝統的で端正なモダン・ジャズ・カルテットの演奏と相まって、なかなか個性的な音になっている。そこに、良くアレンジメントされたスモール・オケが被さっていく。
その後、主流にはならなかったが、この『Third Stream Music』には、非常に趣味の良い、統制されたジャジーでクールなオーケストラルな演奏が詰まっている。前衛的な変則的な旋律も多く聴かれ、ジャズとクラシックの融合なんて聞くと、イージーリスニング・ジャズ的な耳当たりの良い演奏を思い浮かべるのですが、この『Third Stream Music』はそうでは無い。
譜面に書かれたジャズ。ジャズは即興演奏しか認めないという硬派なジャズ者の方々には、絶対に受け入れられないでしょうが、音楽という広い聴き方からすると、内容のある演奏内容ゆえ、これはこれで「あり」かな、と僕は評価しています。とにかく渋い内容のジャズ者中級者向けかな。これもジャズ。
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