最近のトラックバック

« 「多様性」が魅力のゴンサロ | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・38 »

2012年9月19日 (水曜日)

判り易さが命の「佳作」ライブ

1970年代後半、ジャズの世界はフュージョン・ジャズ一色。猫も杓子もフュージョンでソフト&メロウ。しかし、その陰で、メインストリーム・ジャズも復権の兆しを見せていた。

1970年代後半のメインストリーム・ジャズはマイナーな存在ではあったが、人気のあったアルバムは、どれもが判り易い、聴いていて楽しいものが多い。1960年代は、メインストリーム・ジャズは、モードからフリーまっしぐらな時代で、とにかく難解で聴き終えてドッと疲れる、とびきり硬派なアルバムがほとんどだった。

1970年代のメインストリーム・ジャズは、モードやフリー、ビ・バップやハードバップを踏襲してはいるんだが、不思議と判り易い、聴いていて楽しいものが多い。モードからフリーな演奏も経験年数が経って、しっかりこなれて、聴く側に優しい、判り易い演奏が出来る様になった、と解釈した方が良いかもしれない。

1970年代と言えば、僕がジャズを聴き始めた、ジャズ者初心者の時代。そんなジャズ者初心者の時代に、この判り易い、聴いていて楽しいメインストリーム・ジャズは「心強い味方」だった。

そんな「心強い味方」の中で、印象的なアルバムが幾枚かある。Richie Cole & Phil Woods『Side By Side』(写真)。1980年7月のライブ録音。

ちなみにパーソネルは、Richie Cole (as), Phil Woods (as), John Hicks (p), Walter Booker (b), Jimmy Cobb (ds), Eddie "Lockjaw" Davis (ts)。アルバム・ジャケットは2種類ありますが、初リリース当時、日本盤LPは左のジャケット。なんだか懐かしいなあ。
 

Cole_woods_side_by_side

 
当時、人気アルト奏者として、絶頂期のリッチー・コールと名手フィル・ウッズとが競演した80年発表の、ジャム・セッション風のライブ演奏が堪らない「佳作」である。リッチー・コールについては、1948年2月生まれなので、当時、32歳の若さ。フィル・ウッズについては、1931年11月生まれなので、当時、49歳の中堅。

リッチー・コールについては、当時、ジャズ雑誌の強烈なプッシュによって、表舞台に躍り出た新鋭アルト奏者で、その実力については「賛否両論」な、なんともはや胡散臭い存在だった。それでも、リッチーのアドリブは、ビ・バップのマナーを踏襲した、超絶技巧な高速アドリブが特徴で、それは実に判り易く、聴く者に対して優しいパフォーマンスを提供してくれた。

しかし、この競演ライブ盤では、フィル・ウッズのアルトの方がリッチーの上を行く。ウッズのアルトの方が楽器が鳴いていて力強く、テクニックについても一枚も二枚も上を行く。ウッズのアルトの前では、リッチーのアルトはまだまだ「発展途上」。速弾きのテクニックだけはリッチーがやや上かな〜、なんて思ったりもするが、基本的にはウッズの凄さが印象に残る。

それでも、このアルバムでの、リッチー・コールとフィル・ウッズのアルト・バトルは聴いていて楽しい。丁々発止とやりあうところなど、手に汗握るスリリングな側面あり、双方のテクニックに舌を巻く瞬間ありで、なかなかに楽しめる内容。とにかく、判り易くて、聴いていて単純に楽しい。

1960年代のモードからフリーが中心のメインストリーム・ジャズは、「旧仮名遣い」的な難解な部分が漂っていた。しかし、1970年代のメインストリーム・ジャズは、「新仮名遣い」的な、ジャズ者初心者にとっても判り易い部分が特徴。この『Side By Side』だって、モーダルな演奏部分も、フリーな演奏部分も、ビ・バップな演奏部分も、ハードバップな演奏部分も、とっても判り易い。

1981年のリリースなので、僕がジャズを聴き始めて、まだ3年。ジャズ者超初心者の耳に、このライブ盤は優しかった。今の耳にも、この判り易さは良い。たまにひっぱり出してきては聴き流す、判り易さが命の「佳作」ライブ盤です。

 
 

大震災から1年半が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。

がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。 
 

« 「多様性」が魅力のゴンサロ | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・38 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80793/47135882

この記事へのトラックバック一覧です: 判り易さが命の「佳作」ライブ:

« 「多様性」が魅力のゴンサロ | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・38 »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ