これぞ「ジャズ・ロック」な一枚
ジャズ・ロックってどんな音楽なんですか、と問われれば、大体、このアルバムを聴いてもらう。『Introducing The Eleventh House with Larry Coryell』(写真)である。
1974年のリリースになる。ちなみにパーソネルは、Larry Coryell (g), Randy Brecker (tp), Mike Mandel (p,syn), Danny Trifan (b), Alphonse Mouzon (ds)。今の目から見れば、クロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズの名うての若手(当時)メンバーばかりがズラリ。改めて、凄いメンバーですね〜。
このアルバム『Introducing The Eleventh House with Larry Coryell』は、1974年というリリース時期をバッチリと反映している、絵に描いた様な、ロックとジャズの融合が基本の「クロスオーバー・ジャズ」の演奏がてんこ盛り。ロックのメイン楽器であるエレギをフロントに、8ビート〜16ビートのエレクトリック・ジャズをガンガン展開する。
やたらと手数の多い(何本手があるんやと思ってしまう)ムザーンのドラム。ブンブンと低音を響かせるダニー・トリファンのエレベ。ラリー・コリエルのエレクトリック・ギターが、アタッチメントを介した歪んだ音で高らかに旋律を奏で、マイク・マンデルのエレピ+シンセが唸りを上げ、ランディ・ブレッカーの電気トランペットが咆哮する。超弩級の電気クロスオーバー・ジャズ。
音の作りとしては、殆どプログレッシブ・ロック(以降プログレと略)といって良いのだが、リズム&ビートが全く異なる。そもそもフロントに電気トランペットの存在が「ジャズ」らしい。
プログレのフロントにトランペットは存在しない。そして、エレギのインプロビゼーションのビートがオフビートで「ジャジー」。
オフビートと言えば、クロスオーバー・ジャズのリズム&ビートは、コッテコテの「オフビート」。このコッテコテの「オフビート」を前提とした8ビート〜16ビートは、クロスオーバー・ジャズの、ジャズ・ロックの「旗印」。このコッテコテの「オフビート」な8ビート〜16ビートが、ジャズ・ロックの個性。聴けば判る。
プログレに、これまで極端な「オフビート」は存在しない。コッテコテの「オフビート」な8ビート〜16ビートはジャズ・ロックの印。どれだけ、エレギが唸りを上げ、シンセが唸りを上げ、いかに超絶技巧なインストメンタルを展開しようが、コッテコテの「オフビート」な8ビート〜16ビートは「プログレ」には存在しない。
メロウな響きの変則拍子エレピに度肝を抜かれるジャズ・ロック「Adam Smasher」。エレピもギターもベースもドラムも、そしてワウワウをかました電気トランペットも変則拍子。超絶技巧の極みである。
何も疾走感溢れる超絶技巧な演奏ばかりが「ジャズ・ロック」では無い。ゆったりしたギター&エレピの優しい響きに包まれる「Theme For A Dream」。モーダルでフリーキーでエレギ・ソロがユニークな「Gratitude "A So Low"」。
ジャズ・ロックってどんな音楽なんですか、と問われれば、大体、このアルバムを聴いてもらう。『Introducing The Eleventh House with Larry Coryell』。1970年代のクロスオーバー・ジャズの音を体感出来る、歴史的建造物の様な、優れものクロスオーバーなアルバムです。これぞ「ジャズ・ロック」って感じが実に良いです。
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