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2012年9月 2日 (日曜日)

僕にとって「AORの代表的名盤」

AOR(Adult Oriented Rock)は、何時の頃から日本の音楽シーンに定着したんだろう。1970年代半ば辺りというのが定説ではあるが、未だはっきりとはしない。まあ、音楽ジャンル言葉の話なんで、あまり厳密に追求する必要はないだろう。

では、僕の「AOR化」はどの時点からなのか、を振り返って見ると、どうもこのアルバムを手に入れて、内容が実に気に入って、そして、そのロックの形態は「AOR」と呼ぶらしい、ということを知ってからである。

このアルバムとは、Boz Scaggs(ボズ・スギャックス)の『Silk Degrees』(写真)である。1976年春リリース、全米アルバム・チャートで最高2位を記録したボズの傑作盤。僕は、2年遅れ、1978年の初夏の頃に手に入れている。確か、音楽雑誌で「大人のロック」なんてフレーズが目に入って、その「大人の」の部分が痛く気に入って、このアルバムにたどり着いた。

ちなみに、この『Silk Degrees』に参加したミュージシャンには、後のTOTO のメンバーとなる David Paich、Jeff Porcaro、Steve Porcaro、David Hungate が名を連ねている。発表当時は硬派なロック者の方々から、お洒落なロック、ながらロック、ソフトロックなどと揶揄されたりしたが、どうして、今の耳で聴くと、フュージョン・ジャズに通じる高い演奏技術に裏付けられた、なかなかタイトでテンションの高いパフォーマンスを繰り広げている。

このアルバム『Silk Degrees』は、AORの代表的名盤とされるだけあって、収録された全ての曲が良く練られており、とてもキャッチャーで実に耳当たりの良い、それでいて、しっかりとロック風のリズム&ビートが効いた、確かに、それまでのロックのパフォーマンスとは一線を画する、都会的で大衆的でソフィストケートされたロックと言えるものです。

収録された楽曲は、今の耳で聴いても全て良いのだが、やはりシングル・カットされたヒットした「Lowdown」が、頭一つ抜け出しているかなあ。ドラムとベースが淡々とリズムを刻み、あの「ザ・ハッスル」風なリフも聞けて、ちょっとR&B風な味付けが「粋」なソフトロック。
 

Silk_degrees

 
冒頭の「What Can I Say」も良いなあ。冒頭のイントロから、実にジェフ・ポーカロらしい、タイトなフィルインで始まるところなんか「格好良さ」の極み。適度な重さがあるリズム・セクションが爽快。ボズ流のフィリーソウルといった雰囲気が実に「鯔背」だ。

そして何と言っても、LP時代にはそれぞれの片面の最後に収録された2曲のバラード「Harbor Lights」と「We're All Alone」は外せない。この2曲って、当時シングル・カットされていないんですよね。

しかし、この2曲のバラードの内容は「絶品」で、当時、僕は「ロックにもこんなに洒落た内容のある美しいバラードができるんや」と大感激しました。「We're All Alone」は今やスタンダード曲化し、「Harbor Lights」は今、聴いてもしみじみしてしまう「色褪せない瑞々しさ」を保持しています。

高校時代、プログレ小僧、サザンロック野郎だった「ロック少年」が、このアルバムをきっかけに、急速に「AOR化」していきました。自身が「大人」になって、音楽に対する感性が大きく変化したということもあったし、ジャズを聴き始めた、という変化もあったのでしょうが、振り返ってみると、自分でもビックリするほどの「コペルニクス的転回」です(笑)。

大学に入って初めて、ロックに触れた友人達が、Zepの『プレゼンス』のハードさに感動したり、Pink Floydの『狂気』を聴いて、そのアーティスティックな音世界にドップリ浸かったり、Deep Purpleの『マシンヘッド』のリフを口ずさんだりしているのを、「子供やのう」と微笑ましく見るようになっていましたね〜。Bestlesを話題にする奴なんて「お子ちゃま」として論外でした(笑)。

1970年代後半、米国の音楽シーンが、西海岸の音楽シーンを中心に「AOR」化し、それと呼応する様に、ジャズの世界では、クロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズへの展開が加速。そこはかとなくファンクネス香る「ソフト&メロウ」な音作り、ジャズのフレーバーが漂うクロスオーバー的なサウンド、そして、卓越した優れた演奏力が加わった、都会的で大衆的でソフィストケートされた音楽が主流になっていた。そんなロックやジャズのトレンドに敏感に反応していたと言うことも背景にあったんだろうと思う。

理屈はともかく、1970年代後半と言えば、僕は大学時代真っ只中。ドライブミュージックやリゾートミュージックとして、はたまた、ジャズの聴き込みの合間に、このAORのアダルトでメロウな雰囲気に、ドップリと浸っていましたねえ。そんな僕のAOR化を「覚醒」したボズ・スギャックスの『Silk Degrees』。やはり、僕にとっても「AORの代表的名盤」ですね。 

 
 

大震災から1年半が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。

がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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