こんなアルバムあったんや・12
Sahib Shihab(サヒブ・シハブ)はジャズ・サクソフォン(主にバリトン・サックス)奏者ならびにジャズ・フルート奏者。その音楽性はちょっと風変わり。
ビ・バップ〜ハード・バップ全盛時、サヒブ・シハブは1925年生まれなので20歳〜30歳辺りと、ジャズ・ミュージシャンとして、一番、エネルギッシュに活動する年頃なのだが、取り立てて、ジャズ・シーンの表舞台に立ってバリバリに活躍していた形跡は無い。但し、要所要所でサイドメンとして、個性的な演奏を繰り広げていたことだけは確かで、NYジャズ・シーンの中では、個性的なサイドメンといった感じ。
サヒブ・シハブの活動が目立ち始めたのは欧州に渡ってからと言って良いだろう。1959年に、アメリカ国内の人種問題に辟易して、クインシー・ジョーンズとともにヨーロッパに渡り、最終的に北欧に永住している。サヒブ・シハブは、基本的に、欧州ジャズの中堅バリサク奏者として、その名と活躍を残している。
このSahib Shihab(サヒブ・シハブ)は、ユニークな存在。取り立てて凄い演奏をする訳ではないんだが、演奏もメロディも判り易く、聴き易く、ラテン、ジャズ・ワルツから高速アフロ・キューバンまで、バリエーションに富んだ、魅力的で楽しい演奏を聴かせてくれるのだ。
そんなサヒブ・シハブの佳作が『Summer Dawn』(写真左)。1963年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Ake Persson (tb), Sahib Shihab (as, bar and fl), Francy Boland (p), Jimmy Woode (b), Joe Harris (bongos), Kenny Clarke (ds)。
ハードなダンス・ジャズ、2曲目の「Please Don't Leave Me」、フルートが美しい1曲目の「Lillemor」、グルーヴィーなワルツ曲、3曲目の「Waltz For Seth」等々、魅力的な演奏がてんこ盛りである。
純粋なハードバップでは無いんだけど、と言って、1963年当時流行っていたファンキー・ジャズでもなければ、ボサノバ・ジャズでも無い。でも、凄く聴きやすくて、凄く親しみ易い演奏。大袈裟に言えば、1970年代後半のフュージョン・ジャズの先駆的な演奏と言えるのではないでしょうか。
そういう意味で、1963年の録音ということを加味すると、なかなか内容に優れた、ジャズ・ロックの先駆的な盤として評価しても良いのでは無いかと思います。まさに「こんなアルバムあったんや」って感じです(笑)。
このアルバムは、リーダー・ミュージシャンを始めとして、参加ジャズメンらの個々の演奏を愛でるアルバムではありません。何て言ったら良いのか、そう、演奏自体を楽しむ、演奏の雰囲気全体を楽しむアルバムだと思います。とにかく、ながら聴きに最適。決して耳障りにならず、リズム&ビートが効いていることもあって、「ながら」で何をやっても、テンポ良くことが進みます(笑)。
大震災から1年が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« よくぞリリースしてくれました | トップページ | 夏はボサノバ・ジャズ・その13 『Desafinado』Coleman Hawkins »
« よくぞリリースしてくれました | トップページ | 夏はボサノバ・ジャズ・その13 『Desafinado』Coleman Hawkins »
コメント