« 暑かった夏のポップなR&B盤 | トップページ | フェンダー・ローズなエバンス »

2012年8月18日 (土曜日)

SACD仕様の『至上の愛』

このところ、既にCDで持っていて、かなり聴き込んでいるアルバムの中で、どうしてもCDの音が耳に馴染まない盤をSACDやハイレゾ音源で入手し直して、聴き直している。遠い昔のLP時代の音の記憶を辿りながらの聴き直しなんだが、これが意外と良好。CDでの違和感が全面的に払拭されるのだ。

例えば、John Coltraneの大名盤『A Love Supreme(至上の愛)』(写真左)については、今までCDの音がどのリマスター盤を聴いても、どうしても馴染めなかった。カルテットの奏でる音が、モワッとした分離の悪い音の塊になって聴こえる部分、それぞれの楽器の音のエッジのギザギザ感が、どうしても苦痛だった。

LP時代、お気に入りだったアルバムが、CDになって以来、どうしても好きになれず、疎遠になったアルバムが何枚かあるが、このコルトレーンの『至上の愛』など、その最たる例。LP時代はもっと音の分離も良く、楽器それぞれの音も、もっと心地良く聴けたのになあ、と自らの音の記憶を疑ってみたりもした。

ということで、松和のマスターとしては、遂に、SACDで、John Coltraneの『A Love Supreme』を聴き直すことを思い立つ。

しかし、SACDとかハイレゾ音源は、CDのリマスターと同様、それぞれのリマスター担当者、発売年、発売国等々によって音が異なる。これが困る(というか、楽しみでもある)。特に、SACDはリマスターの幅が広いのか、CDのリマスターに比べて、音の変化の度合いが大きいように感じる。これがまた面白い。

僕の選んだSACDは「Verve-米国盤single- layer-sacd(2002年発売)」仕様のもの。2002年にVerveレーベルからリリースされたシングルレイヤー盤で、ルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)によるSACDマスタリング。
 

Coltrane_a_love_supreme_sacd

 
これはネットでも評判の高いSACDで、確かにCDに比べて、音が劇的に改善されている。冒頭のエルビンの「ドラの音」の音の質感を聴けば、これは全くCDとは異なる次元の音だということに気付く。とにかく、全編に渡って、カルテットの奏でる音の厚みと臨場感が圧倒的。

コルトレーンのサックスの音、タイナーのピアノの音、共に、音の輪郭がまろやかになって、本来のサックスの、本来のピアノの音になっている。とても心地良い響き。コルトレーンのサックスが五月蠅く「耳に付かない」。タイナーのピアノが、カルテット演奏の音の波に「埋没」しない。音の輪郭がまろやかになったのに、切れ味は抜群。CDよりも切れ味が良い。

エルビンのドラムの分離が良く、実にシャープで迫力満点。シンバルの揺れやスネアの張りが判別できるくらいになっている。これって凄い。とにかく、エルビンの手数の多いドラミングが耳につかなくなって、エルビンのポリリズミックなドラミングを抵抗なく感じることができる様になった。

そして、一番に驚く変化が、ギャリソンのベースで、その太くて鋼の様にしなやかな存在感には圧倒される。そう、このギャリソンのベースの存在感が前面の押し出た音世界が、LP時代に体験した『至上の愛』だったのだ。CDではギャリソンのベースの分離がどうしても最後の最後で良くならなくて(すっきり抜けた感じにならない)、カルテットの音の中に、輪郭のぼけた音の塊の様な表現になっていたのだ。

やっと、この大名盤、コルトレーンの『至上の愛』を心から楽しめる様になった。そこそのスペックのSACD対応のマルチ・プレイヤーを入手しておいて良かったなあ。アンプもアップグレードしておいて良かった。SACD音源万歳である。

しかし、最近再発されている国内盤SHM-SACDは価格がべらぼうに高い。価格が高いからといって、音が最上とは限らないのがSACDの世界。海外盤に優秀なものも多々あるし、リマスターの状態など、よくよく吟味して選んでいかないといけない。まあ、マニアにとっては「嬉しい悲鳴」とでもいえる悩みかな(笑)。

 
 

大震災から1年が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

保存

« 暑かった夏のポップなR&B盤 | トップページ | フェンダー・ローズなエバンス »

コメント

先日トレーンのジャイアントステップスの「オリジナルモノラルミックスCD」を聴く機会があり「あんれ?」と、そのイメージの違いに驚きつつ、このほうがマッシヴ感があってよいなあ、と思いました。

アトランテックのトレーンはエンジニアのトム・ダウトがもともとジャズ畑の人ではなかった関係でしょうか、「薄っぺらい音」「ベールのかかったナロウレンジ」のイメージが強く、またステレオ初期の典型的な「ピンポン音場」のせいもあり、トレーンの音だけが耳につく感じでずいぶんと損をしている印象でしたが、モノラル盤ではこれが実に良い感じで聞けました。

最近のハイレゾ音源までは自分の衰えた聴力(~_~;)ではききわけできませんので(~_~;)まったく興味がわきませんが、笑、個人的な経験の範囲では、LPのほうがCDより音がいい、なんて経験はクラシック、ジャズを通じてほとんど感じたことがありません。(~_~;)

聞こえない「倍音成分」までがLPではホームオーディオでも再生可能?なんてあくまで「信仰」の領域だ、と本気で思う今日この頃。。(~_~;)

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: SACD仕様の『至上の愛』:

« 暑かった夏のポップなR&B盤 | トップページ | フェンダー・ローズなエバンス »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2022年9月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

カテゴリー