暑かった夏のポップなR&B盤
暑いですね〜。猛暑と言って良いでしょうね。こんな暑い夏をガンガンに感じると、遠い昔、僕が大学時代の頃、汗をダラダラかきながら聴いた、とあるポップなR&B盤のことを思い出す。
そのアルバムの名は『I Am』(写真)。邦題は『黙示録』。モーリス・ホワイト率いる「Earth, Wind & Fire(アース・ウィンド・アンド・ファイアー、以降EWFと略す)」のアルバム。記録によると、最高時ビルボードポップチャート3位、R&Bチャート1位を記録、とある。大ヒットアルバムである。
確か、1979年6月のリリースだと記憶する。その前の大ヒットアルバム『All 'N All(太陽神)』の内容が抜群で、僕の中でもヘビロテになったEWF。流行に安易に乗った形で、あまり気持ちは良く無かったが、良いものは良いので仕方が無い(笑)。
次のオリジナル・アルバムである『黙示録』はレコード屋で予約して、リリース日当日に手に入れた。なかなかに優れた長岡秀星のイラストがあしらわれたジャケットとも相まって、聴く前から、なぜかワクワクした思い出がある。このアルバムもまた、僕の中でヘビロテと化す。
ディスコ・ブームに乗って、この前のスタジオ録音盤『太陽神』収録の「Fantasy(宇宙のファンタジー)」や、ベスト盤『The Best of Earth, Wind & Fire, Vol. 1』収録の「September」が 街中で、はたまたFMで流れまくっている時代で、当然、この『黙示録』も大ヒットした。そして、この『黙示録』からは「Boogie Wonderland」が巷で流れまくった。
さて、この『黙示録』、前のスタジオ録音盤『太陽神』と比較すると、かなりポップな雰囲気が強い。前作『太陽神』は、シンセやパーカッションを効果的に活かした、「プログレッシブ」な雰囲気のする、アーティスティックなR&Bというアルバムだった。アルバム全体の曲の構成もトータル・アルバムを意識した作りで、これまた実にアーティスティックだった。
しかし、この『黙示録』では、そのアーティスティックな雰囲気は後退し、逆に、聴き易い、ポップな雰囲気が前面に押し出た、聴いて楽しいR&Bアルバムに仕上がっていた。そのポップな雰囲気を最大限に振りまいていたのが、先にご紹介した、シングルカットされて大ヒットした「Boogie Wonderland」。米6位、英4位を記録した。
The Emotions の女性ボーカルが強調されて、ポップな雰囲気が最大限に前面に押し出され、もうほとんどディスコ・チューンと化した「Boogie Wonderland」。この「Boogie Wonderland」に代表される様に、この『黙示録』は、ポップなR&Bアルバムの代表格として大ヒットした。
僕はこの「Boogie Wonderland」は好きになれなかった。あまりにポップ過ぎる。ジャズ感覚でいうと「コーニー」だ。前作『太陽神』のアーティスティックな雰囲気がお気に入りだったので、どうしても、この『黙示録』は徹底的に聴き込む気になれなかった。それでも、今でも時たま、無性に聴きたくなる。冒頭「In The Stone」の、高らかに鳴り響くブラスの輝きを感じる度に、心がワクワクする。
この『黙示録』は、やはりポップなR&Bアルバムとしては実に優れていて、発売当時、「ながら聴き」のヘビロテになった。1979年6月のリリース。そして、来る1979年の夏。暑い夏のさなか、汗をダラダラと流しながら、本を読みながら聴いたEWFの『黙示録』。暑かった夏の「ポップなR&B盤」の思い出である。
大震災から1年が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。
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