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2012年8月24日 (金曜日)

マイルス・イン・トーキョー!

マイルス・デイヴィス、1960年代伝説のクインテットのリズム・セクションを得て、後は、フロント楽器の片割れ、サックス奏者を招き入れるだけとなった、マイルスの1963年。しかし、お目当てのテナー奏者が、アート・ブレイキーとの契約が先になって、お預けとなる。そのテナー奏者とは、ウェイン・ショーター。

理想的なリズム・セクションに恵まれたが、肝心のフロント楽器のパートナーが来ない。仕方が無いので、まずは、ジョージ・コールマンを招き入れる。ジョージ・コールマンのテナーは、ジョン・コルトレーンそっくり。ちょうど、マイルスの下から独立した、アトランティック・レーベル時代のコルトレーンの音にそっくり。

このジョージ・コールマン、マイルスのお気に入りリズム・セクションの中の、ドラムのトニーが全く気に入らなかった様で、どうも上手くマイルス・クインテットに馴染まなかった。でも、マイルスにとっては問題無い。当時、マイルスにとっては、ウェイン・ショーターこそが唯一無二のフロント・パートナーなのだ。

そして、この『Miles In Tokyo』(写真)においては、ジョージ・コールマンが脱退し、替わって、サム・リバースがフロント・パートナーのテナー奏者の位置に座る。ちなみにこの『Miles In Tokyo』、1964年7月14日、新宿厚生年金会館でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp) Sam Rivers (ts) Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Tony Williams (ds)。

このサム・リバースは、ドラムのトニーの推薦。しかしなあ、トニー。このサム・リバースもコルトレーンのそっくりさん。このサム・リバースは、インパルス・レーベルに移籍した頃のコルトレーンの音にそっくり。そっくりというか、コルトレーンよりも、音がこなれていて聴き易い。 でも、マイルスにとっては問題無い。当時、マイルスにとっては、ウェイン・ショーターこそが唯一無二のフロント・パートナーなのだ。

ウェイン・ショーターが来ない間は、フロント楽器のパートナーは、よっぽどおかしなサックス奏者でなければ良い。逆に、圧倒的な若輩者、トニーの意見を抵抗なく取り入れて、サム・リバースを入団させる、マイルスの「太っ腹」。大らかに構えるマイルスの、将来ジャズ背負って経つ優れた人材であるトニーへの「活きた教育」。

Miles_in_tokyo

つまりは、マイルスは、コルトレーンの幻影など追い求めてはいない。マイルスの「間を活かした」、モーダルでクールなハード・バップな表現には、もはやコルトレーンは必要が無かった。トニーは、まだそれを理解していなかった。それをマイルスは、トニーに身を持って体験させた。その成果が『Miles In Tokyo』の音世界である。

トニー、ハービー、ロンのマイルスにとって最高なリズム・セクションに乗りつつ、インプロビゼーションを展開するフロント・テナーの音は、サム・リバースでは無い、ということが、『Miles In Tokyo』を聴き通すことで判る。他の同時期のブートの音源を聴いても思う。つまりは、このサム・リバースは、コルトレーンのそっくりさんではあるが、コルトレーンを越えるものでは無い。そんな唯一無二では無い個性は、当時のマイルスの下では必要が無かった。

とにかく、この時点で、マイルスにとっては、ウェイン・ショーターこそが唯一無二のフロント・パートナーなのだ。もはや、ウェイン・ショーターがマイルスの下に参入してこない限り、マイルスにとっては、テナー奏者は誰でも良いのだし、興味の対象外なのだ。当時のマイルスは、ウェインが来たる日の為に、トニー、ハービー、ロンのマイルスにとって最高なリズム・セクションをマイルス好みに鍛え上げるだけが楽しみだったと推察する。

でも、この『Miles In Tokyo』でのマイルスのトランペットは輝いている。本当にマイルスのトランペットは味が合って「上手い」。そして、トニー、ハービー、ロンのリズム・セクションは、マイルスにとって最高なリズム・セクションである。この『Miles In Tokyo』を聴いていて、それが良く判る。

『Miles In Tokyo』は、マイルスにとっては「旧世界」。ハード・バップの時代からの延長線上で、ハード・バップな演奏を煮詰めに煮詰めて来た、そして、理想的なリズム・セクションに恵まれて、マイルスの究極の「ハードバップな」表現の究極なイメージが、この『Miles In Tokyo』に詰まっている。確かに、この『Miles In Tokyo』の内容以上のハードバップな表現イメージは他に無い。

この『Miles In Tokyo』は、1950年代のハードバップ時代から積み上げてきた「マイルスの最高到達地点の音」の記録である。 

 
 

大震災から1年が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

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