コッテコテなクルセイダーズ
今を去ること30〜40年ほど前。1970年代後半から1980年代前半がフュージョン・ジャズの全盛期であった。
この時代は、僕が大学生になって、ジャズ者になって、ジャズ者初心者駆け出しの頃。純ジャズは何かと難易度が高くて、純ジャズにチャレンジして耳が疲れてきたら、フュージョン・ジャズに走って、耳を和ませていた(笑)。
そんなフュージョン・ジャズのお気に入りのバンドの一つが「The Crusaders(ザ・クルセイダーズ)」。フュージョン・ジャズ全盛の頃、ザ・クルセイダーズのアルバムは聴きに聴いた。
もともとはテキサス州のハイスクールで同級生だったウェイン・ヘンダーソン(tb)、ウィルトン・フェルダー(ts)、ジョー・サンプル(key)、スティックス・フーパー(ds) の4人が結成したグループがベース。何度かグループ名をチェンジして、1971年にグループ名を「ザ・クルセイダーズ」とした。
1971年〜1976年、このオリジナル・メンバー4人に加えて、最初期から準メンバーとして参加しており、1974年に正式メンバーとなっていたラリー・カールトン(g)が加わった時代が、ザ・クルセイダーズの最も充実した活動期だった。
ザ・クルセイダーズのフュージョンの特徴は、スマートで素性の良いファンキー・フュージョンであるというところ。特に、ファンキーとは言え、コッテコテでは無い、非常に洗練されてスマートなファンクネスが、ザ・クルセイダーズの特徴。アレンジも端正で素性が良く、決して破綻することの無い、緻密でありながら豪快に展開する演奏は、かなり聴き応えのあるものだ。
そんなザ・クルセイダーズの充実期のアルバムの中で、僕が一番に推すの盤が『Chain Reaction』(写真左)。1975年のリリースになる。非常に洗練されてスマートなファンクネスをプンプンと漂わせながら、緻密でありながら豪快に展開するグルーブは、ザ・クルセイダーズ独特の個性。
冒頭の「Creole」のファンクネス溢れる前奏、そして、カールトンES-335の「一本弾き」の音を聴くだけで、ドップリとザ・クルセイダーズのファンキー・フュージョンの世界に浸かってしまう。
フェルダーの豪快でファンキーな「泣きのサックス」、フーパーのグルーブ感溢れる「リズム&ビート」。サンプルの緻密で洗練された「ファンキー・キーボード」。重量感溢れるヘンダーソンの輝く様なブラスの響きが極上の「コッテコテなトロンボーン」。そして、カールトンのES-335での「絶妙なカッティング」。
この『Chain Reaction』には、ザ・クルセイダーズのフュージョンの特徴である、スマートで素性の良いファンキー・フュージョンがギッシリと詰まっている。ファンクネス度合いが一番強い、ノリノリでコッテコテなクルセイダーズを愛でるなら、このアルバムがイチ押しです。
アルバム・ジャケットのデザインがちょっと単純なので損をしているが、フュージョン者の方々であれば、このアルバムは聴いて損はありません。というか、ファンキー・フュージョンの代表作として、フュージョン・ジャズの推薦盤として、マスト・アイテムではないでしょうか。
このアルバムでのクルセイダーズのうねるようなグループ感は極上です。ジャズロックの名盤の一枚としてノミネートしても良いかとも思います。
大震災から1年が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
最近のコメント