夏はボサノバ・ジャズ・その14 『Blue Bossa』
夕方7時になると、もう日はとっぷり暮れて、なにか物寂しい雰囲気のする8月末の夕暮れ時。ゆく夏を名残惜しむような、少し物寂しさ漂う夕暮れ時。もっとも、今年はまだまだ厳しい残暑が続いていて、日が暮れた後の涼しい風に吹かれながら、ゆく夏を名残惜しむ、という雰囲気にはならないのが玉に瑕ではあるが・・・。
ゆく夏を名残惜しむように、その少し物寂しい雰囲気を愛でるには「ボサノバ・ジャズ」が一番。しかし、今年の8月の終わりは、残暑厳しく猛暑日の連続。身体も心もへとへとである。ということで、ここは、端正でエッジの立った、絵に描いた様な、健康優良児的な純ジャズでガツンと気合いを入れて、あと少し、今年の厳しい残暑を乗り切る、ってことにチャレンジしたい。
そんな想いの中、選んだボサノバ・ジャズが、Manhattan Jazz Quartet『Blue Bossa』(写真左)。2003年2月19〜20日の録音。
ちなみにパーソネルは、David Matthews (p), Lew Soloff (tp), Andy Snitzer (ts), Charnett Moffett (b), Victor Lewis (ds)。いやいや、2003年当時、優れた中堅〜ベテランミュージシャンを集めたような、素晴らしいメンバー構成です。
このアルバムは、表題曲「Blue Bossa」を始めとして、ボサノバやサンバの名曲が半分以上含まれる内容になっています。ボサノバやサンバの名曲以外の曲も、アレンジメントについは「硬派なボサノバ&サンバ」のアレンジメントを踏襲していて、アルバム全体、アルバム・トータルとしては「ボサノバ・ジャズ」の優れものという解釈をしても良いかと思います。
このMJQのアルバム、「ボサノバ・ジャズ」の優れものとはしながらも、ライトで軽快でエキゾチックな雰囲気漂う演奏内容では無くて、シャープで端正でエッジの立った、スピーディーで疾走感溢れる演奏内容が特徴の、実に硬派な内容の「ボサノバ・ジャズ」に仕上がっています。明るく楽しくポジティブなMJQの純ジャズ。
なんといっても、デビッド・マシューズのアレンジメントの勝利でしょう。「硬派なボサノバ&サンバ」なジャズというところで、雰囲気で流すなんてことは全く無くて、決めるところは決める、決めて決めて決めまくる、端正でエッジの立った、絵に描いた様な、健康優良児的な純ジャズを前面に押し出した、実に格好良い仕上がりになっています。
マシューズのアレンジって、2〜3フレーズを聴けば、絶対にマシューズのアレンジって判る位に個性的で、このアルバムの中でも、全編に渡って、マシューズのアレンジが冴え渡っています。フュージョン世代以降の純ジャズという音作りで、聴き応え十分です。
なにもアンニュイでライトで軽快でエキゾチックな雰囲気漂う演奏だけが「ボサノバ&サンバ」ジャズではありません。この『Blue Bossa』の様に、硬派で端正でエッジの立った、絵に描いた様な、健康優良児的な純ジャズをベースとした「ボサノバ&サンバ」ジャズも意外と面白い。
カッチリしていて、実に聴き易い。そういう意味では、今年の様な残暑厳しき折、萎えそうな心と身体をしゃんとさせるような、格好を付けた、どこから聴いても「ハードバップ」な、カッチリとした純ジャズな「ボサノバ&サンバ」ジャズは意外と良いものです。
マシューズのアレンジメントが冴え渡る、どこから聴いても「ハードバップ」な、カッチリとした純ジャズな「ボサノバ&サンバ」ジャズ。ジャズ者初心者からジャズ者ベテランまで、幅広く愛でることが出来る、なかなかの好盤だと思います。
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