夏はボサノバ・ジャズ・その13 『Desafinado』Coleman Hawkins
Coleman Hawkinsの『Desafinado - Plays Bossa Nova & Jazz Samba』(写真左)。1962年9月の録音。テナーの大御所コールマン・ホーキンスが当時流行していたボサノバを演奏したアルバムである。初めて、このアルバムの存在を知った時、ホーキンスがボサノバ・ジャズをやるのか〜、とちょっと躊躇してしまう様なアルバムである(笑)。
ちなみにパーソネルは、Coleman Hawkins (ts), Barry Galbraith, Howard Collins (g), Major Holley (b), Eddie Locke, Tommy Flanagan, Willie Rodriguez (per)。パーカッション(?)のトミフラ以外は、さすがは録音当時、既に大御所レベルであったホーキンス、自らのお気に入りのミュージシャンを周りに侍らせている。つまりは、ホーキンスとトミフラ以外のミュージシャンは、僕にとっては「不明」(笑)。
しかし、さすがはテナーの大御所コールマン・ホーキンス。ボサノバをやらせても、やはり「凄い」。ホーキンスの「正統派」かつ「ど派手」なテナーは、ボサノヴァの緩んだ雰囲気、軽快さに全くあわないと直感的に思うんだが、どうしてどうして、これがピッタリとあっているのだ。テナーの大御所コールマン・ホーキンスは、ボサノバ用に吹き方を完全に変えている。なんという柔軟さ。なんという応用力。
コールマン・ホーキンスは1904年生まれなので、このアルバムを録音した時は、既に58歳。年齢的にも一時代を成した、自らのスタイルを確立した年齢であり、当時の流行とは言え、ボサノバという「緩く軽い新しい流行の音楽」に追従するには抵抗もあったのではないか、と想像する。しかし、当人はそんなことにはお構い無く、軽快なリズムの上で、緩く軽快に気ままにテナーを吹いている。
この軽快に気ままに吹くという風情が実に良い。実に「粋」なのだ。そして、よくよく聴くと、軽快に気ままに吹いている、とは言え、太い音色で豪快に吹き切るところは、しっかりと「決めてくる」のは、さすが大御所である。流行のボサノバについては、録音時点では、ホーキンスには馴染みが薄かったと思うのだが、演奏全体を通じて、終始、大らかにリラックスしたブロウは「余裕しゃくしゃく」。
テナーの大御所、コールマン・ホーキンスの「正統派」かつ「ど派手」なテナーが、ボサノバを演奏する。これ、安易に流行に乗ってるよな、暑苦しいホーキンスのテナーがボサノバにあう訳無いよな、なんて思ったりするんですが、どうしてどうして、このアルバムのボサノバ・ジャズは秀逸。さすが大御所プロの技、コールマン・ホーキンスのプロ魂を垣間見た気がする、素晴らしいボサノバ盤です。
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