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2012年8月14日 (火曜日)

エレ・マイルスの最高地点・1

久し振りにマイルス・デイヴィスの聴き直しシリーズ。3月23日の『Dark Magus(ダーク・メイガス)』以来。遂にやって来た。エレクトリック・マイルスの前半の最終章。奇跡の様なライブ盤である。

1975年2月、マイルスは日本にやって来た。1975年2月1日、大阪フェスティバル・ホールの「昼の部」の録音。そのアルバムの名は『Agharta(アガルタの凱歌)』(写真)。エレ・マイルスの最高峰のライブ盤である。

ちなみにパーソナルは、Miles Davis (tp, org), Sonny Fortune (ss, as, fl), Reggie Lucas (el-g), Pete Cosey (el-g, per), Michael Henderson (el-b), Al Foster (ds), Mtume (per)。伝説のエレ・マイルス七重奏団。ダブル・ギターにダブル・パーカッションの超弩級の編成である。

エレ・マイルスの基本は「リズム&ビート」。ジャジーでファンクネス溢れる「リズム&ビート」が、エレ・マイルスの基本。冒頭「 Prelude (Part One)」から、重量級なビートがズンズンズンと響き渡る。超弩級の迫力。ダブル・ギターが叫ぶ様に、超弩級のファンク・ビートを切り裂く。

マイルスはエレギのメンバーに必ず指示した。「ロック・ギターの様に弾け」。ロック・ギターの様に弾くのである。ロック・ギターを弾け、では無い。これがエレ・マイルスの「肝」のひとつ。エレギは限りなくロック・ギターの様に弾きまくるのだが、あくまで、それはジャズの範疇に留まるもの。これが限りなくロックに近づくエレ・マイルスをジャズの範疇に繋ぎ止めている。

アル・フォスターのドラムとムトゥーメのパーカッションが実にファンキーである。重心の低いファンキーなフォスターのドラムと軽快でファンキーなムトゥーメのパーカッションとがミックスして生まれる、重量級であるが軽快さを兼ね備えた、独特の「うねり」と「パッション」が唯一無二。エレ・マイルス独特の「リズム&ビート」を供給する。

Agharta

マイケル・ヘンダーソンの鋼の様な、硬質であるが柔軟性のあるエレベが心地良い。ブンブン、硬質なエレベの響きが、嫌が応にもジャジーな雰囲気を撒き散らす。エレ・マイルス独特の「リズム&ビート」に彩りと変化を供給する。ここまで来ると、もう無敵で完璧な、エレ・マイルスの個性である「リズム&ビート」の完成。

そんな無敵で完璧な、エレ・マイルスの個性である「リズム&ビート」に乗って、マイルスのペットとソニー・フォーチュンのサックス&フルートは、自由でフレシキビルな、極上のインプロビゼーションを聴かせてくれる。限りなく自由だけれど、しっかりと旋律を伴った、エモーショナルでクールなインプロビゼーション。

そして、マイルスのエレクトリック・オルガンは極上の逸品。シンプルで間を活かした、マイルスのオルガンは素晴らしい響きを供給する。無敵で完璧な、エレ・マイルスの個性である「リズム&ビート」を時には切り裂くように、時には融合するように、自由自在に響きが駆け巡る。指示をするようなオルガンが響き渡ると、バンドの演奏はガラッとその様相を変える。見事である。

この『Agharta(アガルタの凱歌)』の演奏内容については、様々な形で、様々な媒体で語り尽くされているので、ここでは多くは述べない。

一言だけ、リズム&ビートの効いた躍動感溢れるファンキーなエレクトリックな演奏と、エレクトリック楽器の豊かな音色を活かした幽玄な演奏と、その対比が素晴らしい。エレクトリック・ジャズって、こんなに豊かでバリエーション溢れる演奏が出来るんだ、と改めて感動する。
 
エレクトリック・ジャズの最高峰の演奏。エレクトリック・ジャズの奇跡の様な演奏がこのライブ盤『Agharta(アガルタの凱歌)』にギッシリと詰まっている。

そして、このアルバムこそが、エレクトリック・マイルスの最高地点。エレクトリック・マイルスの「孤高のパフォーマンス」がここにある。エレ・マイルス者の「聖典」の一枚である。

 
 

大震災から1年が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

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コメント

はじめまして ジャズとクラシックのファンです。他もちょっとは聴きます。ロックに雅楽に。popsはリンゴちゃん位ですかねえ。(ほかはもうだめ。紅白聴いていると気分が悪くなる。)

この盤、大学生のころ聴いたんですがよくわかりませんでした。電気なら、フロイドとかツェッペリンの方が気持ちよく聞けたんですね。当時、結構くるっていたブルックナーみたいな決まった音が出ないって感じ。(ブルックナーの音ってロックに意外と近いんですよ。ロックみたいに甘いとことか俗っぽいところはないけど、)

こないだYouTubeでアガルタよりちょっと前のベルリンライブを見ました。ようやく理由がわかりましたよ。ウィキペディアに、ジャズに教会旋法を導入することでアドリブの自由度は格段に増したが、逆に欠点としては調性をあいまいにすることでダイナミックな進行がないことである、と。ようやく、調性があるようでないような、シェーンベルクのようなきっぱりした無調ではいえない。あの空中を浮遊するような音の正体がわかった気がしました。(クラシックは書かれた音楽なので、同じような音でも山のような変化が出せる。でも即興だと苦しいってのもあるんでしょうね。)

ええ、今回は楽しめましたよ。あれから、教会旋法の音楽も、いっぱい聞きましたし。ギョームマショーからドビュッシーやメシアンまでね。今じゃフロイドのようなありきたりのド調性音楽はちょっと……マイルスの火の出るようなトランペット、今度は楽しめましたよ。あれ、エレギのまねなんですねえ。

おれも復活前のはいっぱい持ってますから、一遍マイルスを軸にジャズとクラシックを同時代性というところで聞き直してみてもいいなあって思います。

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