マーカス・ミラーの傑作ライブ盤
昨日は野暮用でブログをお休みした。さてさて、今日は再開。ジャズ・ベーシストのリーダー作のお話しを続けたい。
ジャズ・ベーシストの世界では、どちらかと言えば、エレクトリック・ベース(略してエレベ)の使い手の方が元気が良いように感じる。そんなエレベの使い手の代表格が、Marcus Miller(マーカス・ミラー)。
マーカス・ミラーと言えば、1970年代後半、フュージョン・ジャズ全盛時代より頭角を現し、1980年に入ると、当時、奇跡のカムバックを果たした、マイルス・デイヴィスのエレクトリック・バンドのベーシストに抜擢された。
それ以来、マイルスのエレクトリック・バンドに1982年まで参加。そして、1986年、あの晩年の傑作『Tutu』にて再加入。以降、マイルスの最後のプロデューサーとして、マイルスに付き添った。
そんなマーカス・ミラーが、2011年、マイルス・トリビュートなライブ盤をリリースした。その名も『Tutu Revisited』(写真)。2009年12月22日、フランスはリヨンの「Lyon Auditorium」でのライブ録音。
ちなみにパーソネルは、Marcus Miller (b), Christian Scott (tp), Alex Han (as, ss), Federico Ganzalez Pena (key), Ronald Bruner,Jr. (ds)。
メンバーを見渡すと、マーカス・ミラー以外、知らん顔ばかりだ(笑)。それでも、このライブ盤の内容は抜群。マーカスの究極の超絶技巧なエレベと演奏全体のアレンジメント&プロデュース、どちらも超一流の出来映えだ。
つまりは、ベーシストのリーダー作として、リーダーとして自分の音世界をプロデューサーの様に創造していくケースと、ベーシストとしてその超絶技巧なテクニックを全面的に押し出すケース、その両方が両立した、素晴らしい成果が結集したライブ盤である。
バンド全体としても、相当凄い、相当ハイレベルな演奏である。クリスチャン・スコットのトランペットはマイルスばりで良い雰囲気。ブルーナーJrのドラムは冒頭からパワー全開、これまた超絶技巧なドラミングで圧倒する。アレックスのアルトもシャープでブリリアント。
そして、なによりマーカス・ミラーのベースは超弩級な重低音の迫力とチョッパーなどのハイテクニックで、バンド演奏の底をガッチリと支え、自らのエレベを前面に押し出して、リーダー&プロデューサーとして目立ちまくり。エレギのソロの様に、エレベで目眩く旋律をいともたやすく、楽しそうに唄うように弾き上げていく。今は亡きジャコ・パストリアスの向こうを張った、充実したマーカルのエレベ。
このライブ盤、マーカス・ミラーのベーシストとしての実力とアレンジ&プロデュースの能力の二つの才能の高さを見せつける様な、素晴らしい内容のライブ盤だと思います。さすがは、マーカス・ミラー。最近のマーカスは充実しています。
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