超絶技巧なテクニックを誇る二人
さてさて、今日から、ジャズ・ベーシストのリーダー作のお話しに戻ろう。今日は、ジャズ・ベーシストのリーダー作の代表的パターンの2つ目である、ベーシストとしてその超絶技巧なテクニックを全面的に押し出したケースについて、の続きである。
ベーシストとしてその超絶技巧なテクニックを全面的に押し出したケースについては、ジャズ・ベーシストの何かにポイントを置いた「企画もの」のアルバムが多い。超絶技巧なテクニックを前面的に押し出したケースが大多数ではあるけど・・・。
このアルバムは、そんなジャズ・ベーシストの「企画もの」盤の一枚。Niels-Henning Ørsted Pedersen & Sam Jones『Double Bass』(写真)。超絶技巧なテクニックを誇る二人のベーシストが組んだ、二人のベーシストの個性を最大限に愛でることができる「企画もの」である。
ちなみにパーソネルは、 Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Sam Jones (b), Philip Catherine (g), Albert Tootie Heath (perc), Billy Higgins (ds)。1976年2月15,16日の録音。欧州ジャズのベース奏者の第一人者ペデルセンと、米ジャズの中堅ベース奏者サム・ジョーンズの共演盤。ドラマーは2人がエントリーされているが、ベース2人+ギター+ドラムの変則カルテット編成が基本。
ペデルセン、ジョーンズ共に超絶技巧なテクニックの持ち主だが、特に、ペデルセンのベースの演奏テクニックは群を抜いている。特に、ピチカート奏法における、旋律を奏でるギター・ライクなインプロビゼーションは傑出したもの。
しかも、クラシックの素養のあるペデルセンのベースは、ピッチがしっかりと合っていて、彼のソロの旋律弾きは聴いていて気持ちが良い。とにかく素晴らしいテクニックである。クラシックの伝統がベースにある、欧州ならではのジャズ・ベースである。とにかく、ペデルセンの「旋律弾き」は凄い。まるでギターである。これがあの図体のでかいアコベを使っての技とは思えない、驚愕のテクニックである。
サム・ジョーンズだって素晴らしいジャズ・ベースを聴かせてくれる。ジョーンズのベースは、さすが米国ジャズ出身だけあって、太い芯が通った様な重心の低い重低音でリズム&ビートを底で支える、バップ的なジャズ・ベース。ギター・ライクなインプロビゼーションも聴かせてくれるが、どちらかと言えば、リズム・セクションとしてリズム&ビートを支えるベースである。
この企画盤『Double Bass』では、どちらのベーシストも甲乙付け難い。ペデルセンもジョーンズも奏法の個性を活かしつつ、自らの個性も十分に主張する。二人のベースは、耳が良く、テクニックが優秀が故に、決して重ならないし、被らない。
これって奇跡的なこと。スピーカーに向かって左のペデルセン、右のジョーンズ。聴き分けることの出来る位、それぞれのベースの個性は異なるが、どちらも素晴らしいパフォーマンス。甲乙付け難いというか、このアルバムを聴くと、甲乙付けること自体が無意味なことだと感じる。
ジャズ・ベースが完璧に主役の凄まじい内容の「企画もの」盤です。ジャズ・ベースの演奏テクニックの真髄を聴くことが出来ます。クラシックも真っ青な、流れるような正統派テクニック。加えて、ジャズ・ベースとしてのリズム&ビートを底で支えるリズム・セクションとしてのテクニックも秀逸。
「これがジャズ・ベースだ」というキャッチフレーズが聞こえてきそうな、素晴らしい内容のアルバムです。
大震災から1年が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。
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