ジョンスコの幻の初リーダー作
今や押しも押されぬ、ジャズ・ギターの重鎮。その気持ち良く捻れた変則フレーズが身上の個性的なジャズ・ギタリストと言えば、ジョン・スコフィールド(John Scofield・以降「ジョンスコ」と略す)である。
そのジョンスコの初リーダー作は、日本でのリリース時のタイトルは『John Scofield』(写真左)、米国でのリリース時のタイトルは『East Meets West』(写真右)。1977年、日野皓正クァルテットの一員で来日の折、東京にて日野兄弟と録音した初のリーダー名義作品。トリオ・レコードからのリリースだった。
1977年8月12日、18日の録音。ちなみにパーソネルは、John Scofield (g), Clint Houston (b), Motohiko Hino (ds), Terumasa Hino (tp)。日野元彦、日野皓正、いわゆる「日野兄弟」が参加。全体的に適度にリラックスした、実に良い雰囲気のセッションである。
このアルバムは何故か良く覚えている。トリオレコードからのリリースということで、入手するのは比較的簡単だった。というか、この日本盤の真っ青な海と空の色、そして、右端にジョンスコの上半身のアップ。ジョンスコがちょっと老けた感じで、なんだか、このジャケットに惹かれて入手した、という「変則ジャケ買い」なアルバムだった。
1977年の録音だから、ジョンスコ26歳の頃である。まだまだ若手駆け出し的な年齢だが、既に彼の個性的なギタースタイルは確立されている。気持ち良く捻れた変則フレーズ、不思議なアウト感覚、少し聴くだけで「ジョンスコ」と判る、フレーズ、音色共に、実に個性的なギターである。後に、マイルス・デイヴィスが自らのバンドにスカウトしたことも頷ける。
ジョンスコのギターは、伝統的なジャズに根ざしたコンテンポラリーなもの。決して、フュージョン・ギターでは無い。変に捻れているので判り難いが、あくまでジャズの範疇に根っこを残した、モーダルなギター。アブストラクトな向きもあるが、決して、アブストラクトに走らない。フリーキーに傾くが、決して、フリーキーに走らない。冷静に、実に良くコントロールされたプレイもジョンスコの特徴。
クリント・ヒューストンのベースもブンブンと重低音を響かせながら、ジョンスコを支える。日野元彦のドラムの叩き出すリズム&ビートがコンテンポラリーな響き。当時の流行のリズム&ビートと思いきや、いやいや、今の耳にも新しさを感じる、日野元彦の個性的なリズム&ビート。リズム・セクションが実にリラックスした、軽いうねりのあるリズム&ビートを供給する。適度な軽さ。魅力的である。
このジョンスコの初リーダー作『John Scofield』は、幻のリーダー作とされる。僕は偶然、所有していたので、そうかなあ、と思うんだが、録音と発売の経緯からすると、ジョンスコ・ファンのジャズ者の方々からは「こんなアルバムあったんや」という、軽い驚きを覚えるアルバムなんだろうな。良い初リーダー作です。ジョンスコを感じるに格好の一枚です。
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