米国・ルーツ・ロックの楽しさ
今日はジャズの話題をちょっと離れて、70年代ロックの話題を。といっても、正確には70年代ロックで活躍したミュージシャンの近況についてではあるが・・・。
レボン・ヘルム(Levon Helm)が亡くなって、約3ヶ月が経った。レボン・ヘルムと言えば、アメリカン・ルーツ・ロックの伝説的バンド、ザ・バンドのドラマー。オリジナル・メンバー5人中、唯一のアメリカ人。ザ・バンドの解散後もソロで活躍したアメリカン・ルーツ・ロックの古参であった。
1996年に喉頭癌と診断され、一時、歌うことは困難となったが、彼の声は奇跡的な回復を見せ、2007年の『Dirt Farmer』、2009年の『Electric Dirt』は良かった。喉頭癌を克服し、70歳を目前にしながらのこの活躍は、実に頼もしく感じたものだ。しかし、今年の4月19日、ニューヨークにあるメモリアル・スローン・ケタリング癌センターで逝去してしまった。71歳であった。
今日は、久し振りにレボン・ヘルムのライブ盤『Ramble at the Ryman』(写真左)を聴いた。レボン・ヘルムの元気いっぱいな姿が伺える、2008年の「The Ryman Auditorium」で行われたライヴの模様を収めたライブ盤である。
なかなか楽しいライブ盤である。数多くのゲスト・ミュージシャン達が登場し、レボン・ヘルムと共に、その素晴しい歌声を聞かせてくれています。アメリカン・ルーツ・ロックの楽しさ満載の内容。マニアには堪えられないライブ盤です。
5曲目の「Evangeline」では、シェリル・クロウが登場、レボン・ヘルムとのデュエットが素敵です。7曲目の「Wide River To Cross」では作者のバディ・ミラーが登場し、その歌声を聞かせてくれます。8曲目の「Deep Elem Blues」では、サム・ブッシュがヴォーカルを披露。そして、ラストの「The Weight」では、ジョン・ハイアットが登場し、その渋いヴォーカルを聞かせます。
本当に良い雰囲気のライブ盤ですね。アメリカン・ルーツ・ロックの楽しさ、渋さ、素朴さがビンビンに伝わってきます。リズム&ビートはアーシー。アメリカン・ルーツ・ロックのショーケースの様なライブです。そんな中で、レボン・ヘルムはとても楽しそうに唄い、ドラムを叩くのだ。う〜ん、良い雰囲気です。
バック・バンドの音もアメリカン・ルーツ・ロックを彷彿とさせるものばかり。特に、サム・ブッシュのマンドリンの音色は堪りませんね〜。アメリカン・ルーツ・ミュージック好きには堪らないマンドリンの音。これだけでももうコロッといってしまいます(笑)。そして、このライブ盤、ホーン・セクションが大健闘しています。アメリカン・ルーツ・ロックにホーン・セクションは必須です。
レボン・ヘルム亡き今、ラストの「The Weight」は泣ける。ステージ上の全員が本当に楽しそうに唄い、レボン・ヘルムも負けずに楽しそうに唄い、叩く。アメリカン・ルーツ・ロックの名曲のひとつ。レボン・ヘルムの熱唱が泣ける。惜しいミュージシャンを亡くした。もう、これだけの、絵に描いた様なアメリカン・ルーツ・ロックは聴くことは出来ないのかもしれない。
大震災から1年が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。
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