素敵なブラジリアン・テイスト 『Canta Brasil』
ボサノバ・ジャズは今や「夏の定盤」となったが、ボサノバ・ジャズとなると、どうしてもボーカル・アルバムになりがちで、ちょっと食傷気味なのだが、そんな中、久し振りに、ベテラン・ピアニスト、ケニー・バロン(Kenny Barron)の素敵な「ブラジル・テイスト」のアルバムを選択。
そのアルバムの名は『Canta Brasil』(写真左)。2002年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Barron (p), Nilson Matta (b), Duduka da Fonseca (ds), Romero Lubambo (ac-g), Anne Drummond (fl), Valtinho (per), Maucha Adnet (vo)。
ケニー・バロンといえば、歌伴で優れたピアニストで有名だし、趣味の良いピアノ・トリオのアルバムを多数リリースしていることでも有名。特に、テナーのスタン・ゲッツとのデュオは語り草。しかしながら、今回のアルバム『カンタ・ブラジル』は、「ブラジル」をコンセプトにしたアルバムで、ケニー・バロンのアルバムの中では、結構、異色。
ブラジルをコンセプトにしているだけに、このアルバムには、ボサノバあり、サンバあり、とにかく「ラテン音楽の坩堝」的なとてもノリが良くて楽しいアルバムに仕上がっている。
しかも、単に、ブラジルというコンセプトに流されることなく、それぞれの演奏で、バロンは、ジャズ・ピアニストとして、その素晴らしいインプロビゼーションの数々を、惜しげもなく披露してくれる。ブラジル音楽の雰囲気をベースに、しっかりとジャズ・ピアノしている様は、とても好感が持てるし、耳を傾けていてとても楽しい。そう、このアルバムは、聴いていて「楽しい」のだ。
冒頭の「ズンビ」(題名からしてブラジルだよな)は、実にリズミックで力強い、このアルバムのオープニングに相応しい「熱い」演奏。2曲目はうってかわって、美しいスローなナンバー。でも、しっかりと、ラテンの雰囲気は継承される。
3曲目の「パラティ」はブラジリアン・フュージョン調のナンバー。そんな中で、バロンのピアノは実に映える。ルボンバのギターも凄い。4曲目の「アンティル・ゼン」は、ミディアム・テンポのジャズ・ボッサ。そして、ラスト前の7曲目「ディス・ワン」は、かなり複雑なリズムを持つ演奏だが、ジャズとサンバが気持ちよくブレンドされて秀逸だ。
ボサノバ・ジャズの新譜が、おおよそ女性ボーカルばかりで食傷気味の僕の耳に「グッ」とばかりにガッツをくれた、そんな素敵なアルバムです。
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