« ピアノ・トリオの代表的名盤・29 | トップページ | 素敵な「ブラジル・テイスト」 »

2012年7月19日 (木曜日)

ジャズとイスラエルの旋律の融合

ベーシストのリーダー作。ベーシストのリーダー作として、リーダーとして自分の音世界をプロデューサーの様に創造していくケースと、ベーシストとしてその超絶技巧なテクニックを全面的に押し出すケース、その両方が両立した、素晴らしい成果が結集したアルバムが一番。

さて、最近のベーシストのリーダー作で優れものはあるのか。もともとジャズ・ベーシストの数は少ない。そんな数少ないベーシストの中で、優れたリーダー作を輩出する、ベーシストのリーダー作として、リーダーとして自分の音世界をプロデューサーの様に創造していくケースと、ベーシストとしてその超絶技巧なテクニックを全面的に押し出すケース、その両方が両立した、素晴らしい成果が結集した成果をコンスタントにリリースするベーシストはいるのか。

アビシャイ・コーエン(Avishai Cohen)というベーシストがいる。僕は、チック・コリア&オリジンのベーシストとしてその名を知った。超絶技巧なテクニックと歌心溢れるフレーズ。そして野太く軽快に震えるベース。1970年4月イスラエル生まれ。1992年、再渡米し、ニューヨークで音楽活動を開始、ウィントン・マルサリスなどと共演。その名を有名にしたのは、先に述べた、チック・コリア&オリジンのベーシストとしてである。

そんなアビシャイ・コーエンの最近のリーダー作として秀逸な出来の盤が『Continuo』(写真左)。このアルバムの音世界は、アビシャイの特徴であるジャズとイスラエルの旋律の融合。ジャズらしからぬ、摩訶不思議な浮遊感のあるフレーズ。それがイスラエルの旋律と理解出来るまでに暫く時間がかかった。イスラエルの旋律に関しては不勉強だった。
 

Avishai_continuo

 
ダイレクトのその良さが伝わる、人間味のある暖かなベースのフレーズが全編に渡って堪能できる。アビシャイのベーシストとしてのテクニックは凄い。しかし、そんな超絶技巧なテクニックを凌駕する、アビシャイのベースの歌心。リーダーとして自分の音世界をプロデューサーの様に創造していくアビシャイの才能を十二分に感じる。

ちなみにパーソネルは、Avishai Cohen (b,el-b), Sam Barsh (p), Mark Guiliana (ds,perc), Amos Hoffman (oud)。2005年12月の録音。パーソネルを見渡しても、アビシャイ・コーエン以外、知っているミュージシャンはいない。不明を恥じるばかり。加えて、ウード(oud)という楽器が珍しい。ウードは、リュート属に分類される撥弦楽器。プレクトラムを用いて演奏する。中東から(アラビア、イラクなど)北アフリカのモロッコにかけてのアラブ音楽文化圏で使われる(Wikipediaより抜粋)。

全編に渡って、アビシャイのベース・テクニックが堪能出来る。そして、オードの存在が効いた、中東な響き、そしてイスラエルな旋律。現役の中堅ベーシストとして、このアビシャイ・コーエンのリーダー作としての成果は、もっと評価されて然るべきだろう。

ジャズ・ベーシストのリーダー作としては、やはり、リーダーとして自分の音世界をプロデューサーの様に創造していくケースと、ベーシストとしてその超絶技巧なテクニックを全面的に押し出すケース、その両方が両立したものが一番。そういう意味で、このアビシャイ・コーエンの『Continuo』はポイントがかなり高い。良いアルバムです。 

 
 

大震災から1年が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« ピアノ・トリオの代表的名盤・29 | トップページ | 素敵な「ブラジル・テイスト」 »

コメント

こんにちは。はじめて投稿します。

Avishaiでググると、トランペット奏者にヒットするなか、私の知っているAvishaiが紹介されているブログに出会えて嬉しいです。

2006年の9月、NewYorkに駐在中、偶然BlueNoteでAvishai に出会いました。
一瞬にして虜になり、2階のショップでContinuoを購入。ちゃっかりサインしてもらいました。そしてその夜のうちに他のCDをネットで注文!
マンハッタンの夜景を眺めながら大音量で何度も繰り返し聴いたものです。

BlueNoteで次に彼が演奏したときはなんとHiromiとの二本立て。
その頃私はHiromiを知らず、Avishai狙いで行ったのに、自動的にHiromiにも出会うことができました。今思えば贅沢な話。だからBlueNote、いやNewYorkはすごい。

当時はSamのピアノとの組み合わせが絶妙でしたが、その後抜けてしまったようで残念です。Samのセッションにも行ってみましたが、期待したほどではなかった。
やはりAvishaiあってのSamだったんだなって実感しました。

Avishai日本に来ないかなぁ。。。。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ジャズとイスラエルの旋律の融合:

« ピアノ・トリオの代表的名盤・29 | トップページ | 素敵な「ブラジル・テイスト」 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2023年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

カテゴリー