ECMレーベルの看板ギタリスト
今日も昨日に引き続き、ECMレーベルのアルバムの話を・・・。このECMレーベル、実に硬派なレーベルで、1970年代の十八番に「欧州フリー・ジャズ」があり、今回ご紹介するアルバムの様に、時代の最先端を行く、その当時のトレンディーなジャズのアルバムも積極的にリリースしていた。
今日、ご紹介するアルバムは、Terje Rypdal(テリエ・リピダル)のファースト・ソロ・アルバム『Terje Rypdal』(写真左)。1971年8月12-13日の録音。
ちなみにパーソネルは、Terje Rypdal (g, fl), Jan Garbarek (ts,fl,cl), Ekkehard Fintl (oboe, English horn), Bobo Stenson (el-p), Arild Andersen (b,el-bass), Jon Christensen (per), Inger Lise Rypdal (vo)。意外と大所帯である。
テリエ・リピダルは、ノルウェーのギタリスト兼作曲家。歪んだトーンで独特な空間を作り出すプレイが特徴で、ジャズ・ギターというよりはロック・ギターのテイストである。ロック・ギターといっても、ジャンルはプログレッシブ・ロック。そのノイジーで歪んだ硬質のトーンは、ゲルマン・プログレの雰囲気満載である。
そんなテリエ・リピダルのソロ・アルバム。このアルバムの雰囲気は、ズバリ「エレクトリック・マイルス」。エレ・マイルスの雰囲気満載。そのエレ・マイルスの中でも『A Tribute To Jack Johnson』の音世界をバッチリ踏襲。
このマイルスの『A Tribute To Jack Johnson』については、1970年の作品。テリエ・リピダルの作品は1971年。かなりタイムリーに、その当時のトレンディーなジャズの要素を取り入れている。
ワウワウ・ペダルとアタッチメントを駆使した、捻れて浮遊感溢れる歪んだ音色。まるで、エレ・マイルスのワウワウ・トランペットのトランペットをエレギで置き換えたかのようなワウワウ・エレギ。オープン・ストロークで弾くロック・テイストなエレギは、エレ・マイルスのエレギを彷彿とさせる。カッティングなぞ、ソックリじゃ(笑)。
女性ボーカルを活かすところは、第1期Return To Foreverを彷彿とさせる。ストリングスをアレンジするところは、クロスオーバー・ジャズやニュー・ジャズを彷彿とさせる。そして、観念的で幽玄なエレギのフレーズは、ゲルマン・プログレを彷彿とさせる。
その当時のトレンディーなジャズを上手くミックスし、アレンジした作品である。加えて、楽器の音そのものを活かした現代音楽的な硬質な響き。前衛ジャズの響き。そして、個性的で限りなく静謐で豊かなエコー。ECMレーベルの面目躍如である。これぞECM的な音世界。
ファースト・ソロ・アルバムでは、そのミュージシャンの基本的な音が、基本的な音世界が詰まっていると言われるが、この『Terje Rypdal』を聴いていて、その事を改めて強く感じる。
そう、このアルバムには、テリエ・リピダルの音の「源」がギッシリと詰まっている。テリエ・リピダルを愛でるには、まずはこのアルバム『Terje Rypdal』から始めたい。
大震災から1年が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。
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