フロイド『炎』の待望SACD化
ピンク・フロイドでは、2011年秋のリマスター盤のリリースで、やっとピンク・フロイドの原音がイメージできる「最低限の音」のレベルになった、という感を強くした。しかし、「こんなもんやないよな〜」という感も強くした。
ピンク・フロイドの音世界こそ、最近、流行ってきた「ハイレゾ音源」に相応しいと思っている。音の広がり、音の奥行き、音のきめ細やかさ、そして、低音の充実感と演奏される環境の「空気感」。それらがしっかりと兼ね備わってこそ、ピンク・フロイドの音世界の「原音」を体験できると思っている。
そういう「ハイレゾ音源御用達」のピンク・フロイドの音世界ではあるが、ハイレゾ音源への対応は遅かった。そもそも、CDのリマスターですら。今回の2011年リマスターで、なんとか、CDとしてまずまずの音を確保した程度である。ハイレゾへの対応はかなり遅い。かの超人気盤『Dark Side Of The Moon(狂気)』について、2003年にSACD対応されたが、それ以降、ハイレゾ音源へのアプローチは殆ど途絶えていた。
が、やっと今回の2011年リマスターの動きに合わせて、コレクターズ・ボックスとして、『狂気』『炎』『ザ・ウォール』の3枚のアルバムのハイレゾ音源がリリースされた。しかし、このハイレゾ音源は「Blu-ray仕様」の為、取り扱いがややこしい。気楽にリッピングして気楽にPCオーディオとして楽しむには、ちょっとめんどくさい。
これはめんどくさいし、このコレクターズ・ボックス専用に、Blu-ray対応の環境をわざわざ用意するには、費用対効果が悪いなあ、と思案投げ首していたら、ふと魅惑的な過去記事が目にとまった。「フロイドのWish You Were Here(炎)のSACDが米国でリリースされた」。昨年11月の事らしい。あれ、何故気が付かなかったのか、と思ったら、そうでした、僕は昨年の11月は緊急入院していて音楽どころではなかったのでした。
で、昨日、その事実に気が付いて、探した探した、ら、ありました・・・。良かった〜、在庫が無くなっていたら、深い後悔の海に沈んでいたところでした。当然、Amazonにて即ポチッ、即ゲットです(笑)。
今日のお昼過ぎ、無事に手元に届きました。いや〜『Wish You Were Here(炎)』のSACD盤が手に入るとは・・・。嬉しいですね〜。今回のSACDは「スペシャル・エディション」ということで、ジャケットが通常のプラケースではなく、ブック型のデジパックを採用しています。付録にヒプノシスのポストカードが6枚。さりげない「オマケ」なんですが、リアルタイムにフロイドを聴いて来たマニアとしては、かなり心の中では嬉しかったりします。
さて、その肝心の音はどうか。いや〜、やっと『Wish You Were Here(炎)』の本来の音世界に出会えた気がしています。音のエッジの滑らかさ、音の分離、音の奥行き、音の左右の拡がりは、圧倒的にCDを上回ります(当然か)。
そして、意外と音の低音がきっちりと出ていて、モコモコ感の無い、自然と伸びた低音を体感できます。ロジャー・ウォーターズのベースって、こんなにブンブンと伸びて、テクニックも良好で、かなりクールなベースラインを紡いでいたんだ、と初めて感じました(ご免、ロジャー・笑)。加えて、ドラムのニック・メイソンのバスドラが実に良く効いている。低音の輪郭「良好」です。
ボーカルは奥行感があり、浮き上がる感じ。ハイハットの鮮度は高く、文句無しに素晴らしい。そして、今回、特に「これは凄いな」と感じ入ったのは、シンセサイザーの迫力。「Wish You Were Here」でのアコギの音はイメージ通りで文句なし。
これだけの音を体感できるSACD盤、3,000円を切る価格で、かなりの「お値打ち感」があります。SACD対応のプレイヤーが必要にはなりますが、これは「買い」でしょう。もう2011年リマスターCDには戻れません。困ったものです(笑)。
大震災から1年が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« キースのオルガンを堪能する | トップページ | コリアとバートンは「抜群の相性」 »
コメント