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2012年6月 2日 (土曜日)

ポール・マッカートニーの初ソロ作

ポールと言えば、ビートルズの中でも、ポップで親しみやすい曲作りが得意な、当代きっての「メロディーメーカー」だと僕は思う。

しかしながら、ビートルズ解散後、その当代きってのメロディーメーカーの才能を遺憾なく発揮するには、多少時間がかかった。一つは、ビートルズの呪縛から逃れるために、もう一つは、ジョン・レノンという幻影から逃れるために。ポールは過剰なまでに、この2つの幻影を強く意識し、自らの才能を封じ込めてしまった。しかも、多少、独善的な面も手伝ってか、ひとりよがりのアルバム作りも災いした。

今日は久し振りに、ポール・マッカートニーの初ソロアルバム『McCartney』(写真)を聴き直してみた。ビートルズ解散後、苦闘時代のポール。希有のメロディーメーカー・ポールにもこんな時代があったんだ、となぜか「しんみり」してしまう。

ビートルズ解散のごたごたの中、『Let It Be』と時を同じくして発売されたポールのファーストアルバム。ジャケットは何となく婦プログレっぽくて、そそるものがあるが、その内容はといえば・・・。

とにかくラフ。曲もアレンジもとにかくラフ。ほとんどの楽器演奏、ボーカル系の全てがポール一人で演じられている。ポール一人でじっくり構えてアルバム制作にいそしめば、それなりに、緻密な、素晴らしいアルバムが出来そうな感じがするが、とにかく、このアルバムは全てがラフ。デモテープを40分間聴いているような感じの摩訶不思議なファーストアルバムだ。

このアルバムが発表された当時、1970年前後の時代は、一気にロックムーブメントが台頭し、「ロックが歴史を変える」っていうことを本気で信じていた時代だったが故に「メッセージ性、精神性」が重視され、ポールのような「愛を歌うメロディーメーカー」にとっては、とまどいを隠せない時代だったかもしれない。
 

Mccartney_1st

 
当時のロックはメッセージ性が高く、それをストレートに、シンプルな音に乗せて伝えることが良しとされ、ビートルズが得意とした「甘い恋愛感情」や「シュールで抽象的な感情表現」は、ロックとしては「軟弱」な部類とされがちだった。

その「ストレートに、シンプルな音に乗せて伝える」ということを勘違いして、このアルバムのラフな作りになったような感じがしないでもない。そもそも、ポールは日常の感情や想いを、流麗なメロディーと確実なアレンジに乗せて歌い上げていく「正当派メロディーメーカー」だと僕は最大級の評価をしているので、いかに、「ストレートに、シンプルな音に乗せて」伝えようとラフに構えても、その歌詞の中に、当時の政治や生き方に関する「メッセージ性」が希薄なので、ラフな作りだけがマイナス要素として残ってしまうような気がする。

とはいえ、このアルバムは、その後のポールのソロ活動に期待を持たせる、宝石の原石のような「かけら」が、沢山つまっている。しかし、その「かけら」が宝石の原石なのか、ただの石の「かけら」なのかが良く判らず、とまどったポールファンが沢山いたのも事実である。例えば、ラストの「Kreen-Akrore」などは、初めて聴いた時には「ポールは我々をなめてんのか」と憤慨もした。

今になって振り返って見ると、12曲目の「Maybe I'm Amazed(恋することのもどかしさ)」はアレンジは未熟ながら、後の名曲となるものだし、6曲目の「Junk」などは、メロディーメーカーのポールの面目躍如的なメロディアスな曲だし(アレンジはラフだけど)、9曲目の「Momma Miss America」なんぞは、テーマソングとして流していたFM大阪の「ビート・オン・プラザ」を聴きながら、高校時代を過ごした僕としてはとてもとても懐かしい(演奏の「作り」は粗っぽいことこの上無し)。

しかしながら、やはり、ビートルズの緻密で理知的なアルバム作りと比べると、このラフな作りは当時、どうしても許し難く(笑)、とにかく、LPを買う「軍資金」が乏しい高校時代、「おちょくってんのか。金返せ〜!」と叫びたくなるようなものだったのを覚えている。

聴き込むにつれて、ポールの才能の様々な「かけら」を感じて、「さすがポール」と感激したりで、なんだか、複雑な気分と思い出が入り交じる「ポール・マニアの踏み絵」のようなアルバムです。

でも、さすがに、このアルバムを「ポールの傑作アルバム」と言い切るのは憚られますね。このポールの初ソロ作に出会って以来、このラフな内容でリリースした、当時のポールの心境を図りかねています。 

 
 

大震災から1年が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

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