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2012年6月15日 (金曜日)

クールでセンシティブなマイルス

昨日が『Four & More』なら今日はこれ。バラードやスローなブルース中心のマイルスも、これまた「格好良い」。Miles Davis『My Funny Valentine: Miles Davis in Concert』(写真左)。

『Four & More』と同じ、1964年2月12日のライブ録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp) George Coleman (ts) Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Tony Williams (ds)。60年代伝説のクインテットの一歩手前。まだ、テナーがウェイン・ショーターでは無い。ここでのテナーは、ジョージ・コールマン。 

『Four & More』は、アグレッシブでハードボイルドで、ハードバップでモーダルな、とにかく尖った、疾走感あふれるマイルス・バンドなんだが、この『My Funny Valentine』は、その全く逆。クールでセンシティブで、限りなくフリーでモーダルな、とにかく繊細で耽美的なマイルス・バンドである。

収録されたどの曲も素晴らしいんだが、このアルバムを代表する名演は、やっぱり冒頭のタイトル曲「My Funny Valentine」。1956年のマラソン・セッションでの『Cookin'』での「My Funny Valentine」が決定的名演のひとつとして挙げられるが、その『Cookin'』の「My Funny Valentine」を超えた構築美が、この1964年のライブ盤にある。
 

My_funny_valentine

 
1950年代のハードバップの先を行く、当時、最先端の演奏スタイルである「限りなくフリーでモーダル」な演奏が素晴らしい。この『My Funny Valentine』は、バラードやスローなブルース中心ばかりで構成される。

プロデューサー、テオ・マセロの編集の腕が冴えまくる。同一日のライブ録音の中から、アグレッシブでハードボイルドで、ハードバップでモーダルな、とにかく尖った、疾走感あふれる演奏を『Four & More』に、クールでセンシティブで、限りなくフリーでモーダルな、とにかく繊細で耽美的な演奏を『My Funny Valentine』に集中させ、マイルスの持つ2面性を的確に表現する。う〜ん、テオ・マセロの慧眼恐るべし。

フロントのテナーのジョージ・コールマン、ピアノのハービー、ベースのロン、ドラムのトニー、いずれも素晴らしい演奏を繰り広げてくれる。これは『Four & More』と全く同じ。しかしながら、とりわけ、ハービーのピアノは、このバラードやスローなブルース中心の演奏の方が、より素晴らしいインプロビゼーションを展開する。緩やかな演奏を得意とするハービーの面目躍如。

良いアルバムです。『Four & More』とペアで聴くことが必須のこの『My Funny Valentine』。優しく緩やかなバラードやスローなブルース中心の収録曲の構成ではありながら、それでも、ちょっとハードボイルドでハードバップでモーダルな演奏ではあるのですが、基本的には、聴き易く入り易い、マイルス入門盤に最適な一枚です。
 
 

 
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Never_giveup_4

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