コリアとバートンは「抜群の相性」
チック・コリアを1週間ほど聴かなかったら、禁断症状を発症したので、今日はChick Corea & Gary Burton『Native Sense - The New Duets』(写真左)を選択。心ゆくまで、チックのピアノを楽しんで、なんとか落ち着いた(笑)。
チック・コリアのピアノとゲイリー・バートンのヴァイブは凄く相性が良い。どちらも、ジャズ特有のファンキー色を限りなく押さえ、ジャズ特有のブルージーでマイナーな展開を限りなく押さえ、硬質でクラシカルな響きを前面に押し出し、現代音楽の様なアブストラクトな面を少し覗かせながら、メロディアスで流麗なフレーズを展開する。楽器は違えど、音の性質は同類の二人。
最初のデュエットアルバムが『Crystal Silence』。ECMレーベルからのリリースで、印象的なアルバム・ジャケットと共に、これは名盤でしたね〜。それから何枚、この二人はアルバムを出しているのかなあ、と振り返ってみると、
・Duet
・In Concert, Zurich, October 28, 1979
・Lyric Suite For Sextet
・Native Sense
・Like Minds
・New Crystal Silence
・Hot House
思いつくまま、アルバム名をあげると、ズラリと7枚。先の『Crystal Silence』を合わせると8枚。『Crystal Silence』のリリースが1973年なので、約40年の間に8枚。5年に1枚のペースになる。多作というよりは、約40年間、つかず離れずで8枚のアルバムをリリースしている、ということで、やっぱり相性の良さの方が印象として強いですね〜。
今日聴いた『Native Sense』は1997年のリリース。その前のデュオ・アルバム『Lyric Suite For Sextet』が1983年のリリースなので、14年間のインターバルがある。
まあ、1980年代〜1990年代前半は、チックの方が、エレクトリック・バンドだのアコースティック・バンドだので、跳んだり跳ねたりしていたので、バートンとのデュエットどころでは無かったからなあ。
しかし、この『Native Sense』は、15年ぶりのデュエットでありながら、その内容は、確実に進化している。15年ぶりなんだから、昔のイメージをなぞって、ナツメロ的なアプローチを取りそうなんだが、そこはジャズ職人の二人、決して、そんな安易なアプローチは絶対にしない。
以前の4枚の演奏の雰囲気より、シャープで硬質でクールな演奏になっている。テクニックも確実にアップしていて、特に、音を分担して、ぶつからず離れずの「あうん」の呼吸と間合いが凄い。この『Native Sense』では、息をのむ展開というよりは、そのテクニックの素晴らしさに嘆息するくらいの素晴らしさ。チックとバートンのデュオの最高傑作と言って良いかもしれない。
ほとんどチック作の曲で占められてはいるが、特に、往年の名曲、「Love Castle」「No Mystery」が印象深い。特に、1970年代からのチック者には堪えられない演奏である。そして、ラス前の「Four In One」はセロニアス・モンクの作。これもなかなかに味わい深い。う〜ん、今度は、チックとバートンでセロニアス・モンク作の名曲をデュエット演奏して欲しいなあ。
チック・コリアとゲイリー・バートンのデュエットはどのアルバムも外れが無い。相性抜群のデュエット。ファンキー色、ブルージーな曲展開はありませんが、このストイックで硬質でクラシカルな響きは、ほど良い緊張感も相まって、現代ジャズの最適な部分のひとつだと思います。様々な年代のジャズ者の方々にお勧めです。
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