新しい「音の融合」を強く感じる
僕が学生の頃「ジャズは死んだ」と言われた。1970年代後半のことである。しかし、本当にジャズは死んだのか。本当にジャズは「芸術の骨董品」になってしまったのか。
否、ジャズは発展しているのか、ジャズは拡散しているのか、正確なところ、どうなのか判らないのだが、決して、ジャズは停滞してはいないし、当然、ジャズは死んではいない。
こんなアルバムを聴くと、「決して、ジャズは停滞してはいないし、当然、ジャズは死んではいない」、そんな気持ちを新たにさせてくれる。Robert Glasper『Black Radio』(写真左)。ジャズの名門ブルーノート発、通算5作目となる作品。
Robert Glasper(ロバート・グラスパー)とは・・・。1978年4月6日、テキサス州ヒューストン生まれ。ピアニスト、作編曲家。2005年、ブルーノートと契約。ジャズやゴスペル、ヒップホップ、R&B、オルタナティブなロックなどのエッセンスを取り入れた革新的なスタイルで、各方面から高い評価を得る。
この『Black Radio』は傑作である。本作は彼が立ち上げた「エクスペリメント・バンド」を中心に、多数のボーカリスト達の参加により完成させたプロジェクト盤。
全編に渡って実に「コンテンポラリー」な雰囲気が満載。ヒップホップ、ジャズ、ファンキー、オルタナ、ゴスペル、R&Bなど、アメリカン・ルーツ・ミュージックとアメリカン・ブラコン・ミュージックの要素がごった煮になった限りなくクールな音世界。
基本は「ヒップホップ」。そこに、オルタナなビートが漂いながら、メンストリーム・ジャズの要素が織り込まれていく。ファンキーな音の揺らぎが愛おしい、素晴らしくクールな音世界。ボーカル群はすべからく「オルタナ」で、ソウルな伝統を感じさせながらも、アンニュイな雰囲気を漂わせるところが実に「ニクい」。
このアルバムは「ジャズの枠を広げた」なんて評価もありますが、どうして、絶対に伝統的なジャズでは無いですよね。まあ、そんな音楽のジャンル分けには全く意味が無いんですが、この『Black Radio』には、ジャズをベースとした、新しい「音の融合」を強く感じます。まだまだ、ジャズの伸びしろはありそうですね。
ヒップホップ・アーティストとの数多くのコラボレートで知られるピアニスト、ロバート・グラスパー。彼の音作りのアプローチは、ジャズをベースとした新しい「音の融合」。ジャズは死んでいない。ジャズは停滞してはいない。ジャズは生きている。ジャズは深化している。
大震災から1年が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。
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