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2012年6月 5日 (火曜日)

森田真奈美『For You』は楽しい

そろそろ、この人のピアノについて語ろう。森田真奈美(Manami Morita)。バークリー音楽大学出身。在学中は数々の賞を受賞している。が、突出した受賞は無い。でも、この人のピアノは一度聴いたら絶対に忘れない。アドリブをワンフレーズ聴いただけで、森田真奈美だと判る。それほどまで、個性的なピアノである。

言葉で形容するのはとても難しいのだが、僕は「セロニアス・モンクと矢野顕子を足して2で割ったようなピアノ」と形容する。

インプロビゼーションの展開が進むにつけ、どんどん転調して拗くれていくような、とにかく不思議なフレーズが湧き出すように「出てくる、出てくる」。モンクの様に、幾何学的でスクエアな展開と変則拍子をモザイクのように組み合わせたフレーズ。考えて弾けるものでは無い。感性ひとつで、どんどん転調して拗くれていくのだろう。

そして、その幾何学的で変則的なフレーズをピアノで唄うように弾き進めていく。このボイシングが矢野顕子のボイシングのトーンにとても良く似ている(と僕は感じてニヤニヤしている)。飛んだり跳ねたり、上がったり下がったり。予測不可能なボイシングは、森田真奈美の独特なもの。

この森田真奈美の個性がギッシリ詰まったアルバムが『For You』(写真左)。彼女の2枚目のリーダー作である。ジャケットのイラストを見て欲しい。このセカン・リーダー作に詰まっているのは、このイラストのイメージがピッタリの森田真奈美の「あまりに個性的な」フレーズの数々である。

ちなみにパーソネルは、Manami Morita (p), Zak Croxall (el-b), Thomas Hartman (ds), Keita Ogawa (per), Shima (voice)。基本的にはピアノ・トリオと考えて良い。

Manami_morita_for_you

収録されたどの曲も「へんてこりん」なフレーズ展開で、とにかく楽しいやら面白いやら。ネットでは彼女のテクニックについて揶揄する声を見られるが、どうしてどうして、テクニックは確か。テクニックが確かじゃないと、これだけ、どんどん転調して拗くれていくフレーズや、飛んだり跳ねたり、上がったり下がったりの予測不可能なボイシングを音楽として聴かせることは出来ないだろう。自分で弾いてみると判る。

このピアノ・トリオ、なにも、森田真奈美が中心のものでは無い。ピアノ、ベース、ドラムが対等に、どんどん転調して捻れて、跳んだり跳ねたり、上がったり下がったり、予測不可能なフレーズを丁々発止と繰り出していく。フレーズを持った自由演奏といった面持ち。その辺は、セロニアス・モンクのグループサウンズの展開に似ている。

とにかく、冒頭の「M☆GIC」から「Catch The Pandu」「Shima」といった、どんどん転調して捻れて、跳んだり跳ねたり、上がったり下がったりな「フレーズを持った自由演奏」を聴いていると、森田真奈美は、同じ感性とアプローチを持った、優れたベースとドラムスに恵まれて、このアルバムがあるんだなあ、と感心する。

聴きものは、攻撃的ファンキーなアレンジが痛快な「Moanin’」。ファンキー・ジャズの権化の様な楽曲を解体してバラバラにして、森田真奈美風のんどん転調して捻れて、跳んだり跳ねたり、上がったり下がったり、予測不可能なフレーズで再構築した優れもの。アート・ブレイキーもビックリである(笑)。

カーペンターズの大ヒット曲「Yesterday Once More」も、実に彼女らしいアレンジで、とても現代的でコンテンポラリーな演奏に大変身している。この「Yesterday Once More」という曲は、普通のアレンジでは、なかなかジャズにならないんだが、ここまで、バラバラにして再構築したら、あら不思議、結構、現代風のジャズに仕上がるやないですか・・・。

ネットでは賛否両論。あれこれ「かまびすしい」が、この森田真奈美の個性は大事にして欲しい、と僕は思います。共演するミュージシャンをかなり選ぶ個性だとは思いますが、これはとにかく面白い個性。実にユニークです。既成概念に囚われず、ノビノビと自分の個性を育てていって欲しいなあ、と思います。次のリーダー作も期待しています。 

 
 

大震災から1年が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

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