ポール2枚目ソロは未だ「過渡期」
このところ、ハイレゾ音源での Paul McCartneyの『Ram』(写真)を聴いている。音の分離、音の豊かさ、ボーカルの響きの自然さ、音の奥行きの、どれもが優れていて、やっとまともな『Ram』を聴いた気がする。今回、『Ram』というアルバムは高い音質を要求するアルバムだということが良く判った。
しかし、この『Ram』についても、前作のソロ・デビュー作と同様、僕は、このアルバムについては、まだまだ、ポールのプライベート的な録音の色彩が濃く、メロディメーカーとしての、ソロアーチストとしてのポールの「過渡期のアルバム」と認識していて、あまり高く評価する気にはなれない。
しかし、なんというジャケットだろう。なにも、「羊と戯れるポール」でなくてもいいのに・・・、と当時は思ったものだ。アルバムの名義は、ポール個人ではなく、「ポール&リンダ・マッカートニー」となっている。
当時のポールは「リンダにメロメロ」状態だった。それを個人のレベルを超えて、アルバムのそこかしこに「ちりばめられている」のには参った。
ジャケットに使われている写真は、当時カメラマンだったリンダの写真のみで構成され、その写真もポールとリンダのプライベートっぽいものばかり。ジャケットの右隅には「L.I.L.Y」の4文字(Linda I Love You の略と言われている)。普通やないですな。高校時代も、このアルバムを見るたび、こっぱずかしかったが、今でもなんだか、こっぱずかしい。
まあ、こんな、アッパラパーな精神状態で制作されたアルバムだから、まだまだ、ポールの本調子にはほど遠い。
しかしながら、さすがに、先のファーストアルバムは、ラフすぎて、しかも世間の反応も芳しくなく、やばいと思ったのか、このセカンドアルバムは、十分な時間をかけて作られている。
ファーストと比べて時間をかけて、とりあえずしっかり作られている分、「メロディーメーカーのポール」が全面に出つつあることは実に好ましい。が、部分的には、ファーストアルバム当時の「勘違い」を引きずっている部分が見え隠れする。
1曲目の「Too Many People」や2曲目の「3 Legs」、4曲目の「Dear Boy」などLPではA面の6曲中4曲が、ジョンやヨーコや他の2人のビートルを揶揄するような曲で占められており、いい加減にしてほしいなあ、という気分になる。
良きメロディーには、良き歌詞を、と思ってしまう。まあ、5曲目には、かの名曲である「Uncle Albert〜Admiral Halsey(アンクル・アルバート〜ハルセイ提督)」があり、この曲に関しては言うことなしだが・・・・。
やはり、このアルバムには、アルバムに先駆けてヒットしたシングル「Another Day」(全英2位・全米5位)を入れるべきだったのではないか。このアルバムに「Another Day」が入っておれば、適度に「締まった」良い感じのアルバムに仕上がっていたのではないかと感じるのは僕だけだろうか。
「シングルのおかげで売れた」という批判や、「LPはその構成とコンセプトが問題」などどいうしたり顔の評論家の攻撃を気にした感があるのだが、この変なところを気にするポールが、この悪しき「こだわり」を払拭するまでには、あと2枚のアルバムを経る必要があるのだった。
大震災から1年が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
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